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不水溶性な日常

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少しのこと、たくさんのこと、いっぱい考えたこと…についてのエッセイ。 あんなことやこんなことを誰かと共有できたらいいなと思っています。
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#昭和女の生活

【essay】永遠を求めない、スープの話

【essay】永遠を求めない、スープの話

あれは、2024年があけてまだ1週間も経たない時だった。
宅配便で身に覚えのない荷物が届けられて、中身を確認してみると
『おめでとうございます。当選したました』という印刷された挨拶文とともにスープメーカーが入っていた。
その挨拶文を読んでみると、私は半年くらい前に、よく覚えていないが雑誌のプレゼントキャンペーンに応募していたらしく、それの3等が当たったらしい。それがスープメーカーだった。
さて1等

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新年、後ろからズドン

新年、後ろからズドン

2024.1.3(水曜日) New Yesr

まずは …
1 月 1 日に発生した令和 6 年能登半島地震によりお亡くなりになられた方へご冥福をお祈り致しますとともに、被災者のすべての方に心より見舞いを申し上げます。

本来であれば「おめでとうございます」と、朗らかに投稿始めをするつもりでいた。
しかし、実際には不穏な新年の幕開けとなった。
元旦に起こった能登半島地震、2日には羽田空港でJAL飛

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濡れた言葉を干す

濡れた言葉を干す

2023.12.12(火曜日) washed my words in a washbowl

言葉を干す夢を見た。
言葉を干すとはどういうことか?
今も風変わりな夢を見たなぁと思っている。
夢の中で、私はフェイスタオルくらいの大きさの和紙に言葉を書いている。
文章ではなくあくまでも単語だったり熟語だったりで意味はあるようであまりないような言葉ばかりだ。
その言葉が書かれた和紙が何枚もある。
私はそ

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いつまでも たどり着けない ドアの外

いつまでも たどり着けない ドアの外

出かける時の段取りの悪さは、だいたい女房の方と昔から相場が決まっているのだが、我が家の場合はそれは亭主である。

女房は一旦外に出るとなると、心身ともにいろいろ時間がかかる。
やれ髪型が決まらないとか、予定していた服が似合わないとか、挙げ句の果てにはアイラインが綺麗な線になってない…などと言い出す。
そして何もかもなんとかサマになったところで「さて、出かけるわよ。わたくしのお出ましよ」と、一端の女

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点滴ルームへようこそ 9 (the final)

点滴ルームへようこそ 9 (the final)

Day 9

夜中から降り出した雨が朝になっても止まない。
9日間の最後にして初めての雨。
雨も嫌いではないが、今はあまり歓迎する気にはならない。
しかも、冷たい雨。先日までの変な暖かさを一変して真冬の寒さがまたやってきた。
年に数回しか出番のないダウンジャケットを着て出かける。

「雨の日の病院は空いている」という勝手な推測をしながらスタスタ歩く。
今日でなくてもいい人はわざわざ寒い雨の日にはや

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点滴ルームへようこそ 8

点滴ルームへようこそ 8

Day 8

10時25分病院着。
ほぼ毎日同じ時間に出動している。
点滴ルームに入るのもすっかり慣れて、もうそこで働いている人のようにスタスタ歩き入っていく。
顔見知りになった看護師さんに「今日も元気そう。そのバック可愛いね」などと同僚に話しかけるように話しかけられる。
でもあくまでも私は患者だ。次の瞬間から看護師の真剣な表情を見ながら針を刺されることになる。
ここか境目。患者と看護師の間に流れ

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点滴ルームへようこそ 7

点滴ルームへようこそ 7

Day 7

10時25分着。いつも通り。
椅子席に誰もいない。
こんな日もあるんだなぁと思いながら窓際の席に座る。
患者数が少ないせいか、看護師さんたちも余裕があるようでにこやかに話をされている。
今日はまた違う看護師さんが担当になった。
ベテランさんだ。年齢は私と同じくらいか少し年上かなと思う。
作業を進めながら世間話を上手にされる。

「今日で7回目ですね、少しは落ち着きました?あとちょっと

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点滴ルームへようこそ 6

点滴ルームへようこそ 6

Day 6

今日の担当は、とてもノーマルな感じの看護師さんだった。
いい意味でどこにでもいる感じの人。自意識過剰の反対のパターン。
優しさも笑顔も声のトーンもとてもノーマル。
ふと人生相談なんかをしたくなるような雰囲気がある。
落ち着く。
他の患者さんの担当で通りかかった先日のテキパキ看護師さんが私に気がついて「イトカズさん、調子はどう?あと少しだね、頑張って」と声をかけてくれる。声に張りのある

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点滴ルームへようこそ 5

点滴ルームへようこそ 5

Day 5

やっと、やっと、5日目にして窓際の席を確保する。
勝手なイメージで月曜日って混んでいると思っていたけど点滴ルームは椅子席にひとりいるだけで空いていた。
テキパキ看護師さんが「あぁ、イトカズさんおはようございます。好きな席座って。今日は窓際も空いてるよ〜」とまるで女子会の席順を決めるみたいな楽しさを込めて言ってくれる。
入り口近くに座る同じ歳くらいの女性に「おはようございます」と軽く挨

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点滴ルームへようこそ 4

点滴ルームへようこそ 4

Day 4

救急外来で点滴を受ける。
日曜日は一般外来が閉まる。
その対策として救急外来の処置室で点滴を受けることになっている。
注意書きに『救急患者さんが優先となるため、多少お待たせすることもあります。ご了承ください』と書いてある。
そりゃそうだろう。というか、救急の現場で点滴を受けれるというのが私としては予想外なのだけど。
救急外来のインターフォンを押して用件を伝えると解錠されて中に入れてく

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点滴ルームへようこそ 2

点滴ルームへようこそ 2

Day 2

昨日からの症状は改善されないまま2回目の点滴治療に行く。
歩いて5〜6分ほどの距離にある病院だけど気持ちは遠い。
それでも1度通えば常連客のような厚かましさもある私ゆえ、長年歩いてきた道を行くようにスタスタ歩いて受け付けを済ませる。
病院は大盛況。
スタッフは大忙し状態でワサワサしている。

昨日の帰りに「眠れないかもしれません」という嫌なお知らせを受けていたが、妙に眠れた。処方され

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点滴ルームへようこそ 3

点滴ルームへようこそ 3

Day 3

今日は点滴ルームにジャズの音楽が流れている。
モードジャズとでもいうのか、少々おとなしい調べではあるが、クラシックほど仰々しくなく人々を癒す効果はあるようだ。
でもどうして?
あっ、土曜日だから?
朝10時半という時間帯にとてもマッチしているBGMが心地いい。
先客が椅子席に2人ベッドに3人いらして、私はまた入り口から2番目の椅子席に座る。
椅子席の先客は2人とも若い男性。それぞれス

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眠れない夜に、ほろ苦いわたし。

眠れない夜に、ほろ苦いわたし。

もう日付が変わって夜中の1時をまわったところだ。
あまりよく眠れないのはいつものことだが、今回ははっきり目が覚めてしまって、もう体が眠ることを受け付けなくなったようだ。
横になっても不快感しかない。
『眠れない時は無理に寝ようとすると余計に眠れないので、いっそのこと起きて好きなことをすればいい』と、誰かが言っていたのでそれを実行する。
起き上がって、喉が渇いていたのをいいことにビールを開けて、そし

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