点滴ルームへようこそ 8

Day 8

１０時２５分病院着。
ほぼ毎日同じ時間に出動している。
点滴ルームに入るのもすっかり慣れて、もうそこで働いている人のようにスタスタ歩き入っていく。
顔見知りになった看護師さんに「今日も元気そう。そのバック可愛いね」などと同僚に話しかけるように話しかけられる。
でもあくまでも私は患者だ。次の瞬間から看護師の真剣な表情を見ながら針を刺されることになる。
ここか境目。患者と看護師の間に流れる深い川…

今日も新しい担当看護師さん。
今日の方はチャキチャキな感じ。見た目も豪快な方で「どんと来い！」って感じの方。
「腕が内出血してて...」と泣き言を言うと、
「大丈夫、大丈夫。行くわよ〜、ほら入った。楽勝よ」と言って笑ってらしゃる。頼りになるわ〜と思う。
椅子席３人、ベッド３台、個室１部屋使用中。
椅子席の真ん中に座る。

私の少し後から来られた女性が私の横に座られて話しかけられる。
「何時間くらい点滴なさるの？」
「私は１時間です」
「そう、いいわね。私いろいろぶら下げてトータルで３時間」
「3時間は辛いですね」
「そうなのよ、でもベッドで寝るのは嫌なのよね」
「わかります。何となく…」
この方はいつもこうやって誰かに話しかけて時間をつぶしてらっしゃるのだなと思う。
その後も世間話などを話をしている内に、うつらうつらされてきたたようで自然に話をフェイドアウトさせてそのまま目を閉じられた。
『いろいろぶら下げて』という表現が面白くてちょっと笑った。

その後YouTubeをザッピングしながら時間を過ごす。
最終的には藤井風のライブ映像を食い入るように見た。
彼の歌は好き。名前のごとく風が吹いている。
私の１時間が過ぎて針が抜かれる時に隣の女性が目を覚まされた。
「あっ、終わったのね、おつかれさま」
「お先に失礼します。お大事に」
「ありがとう、あなたもね」
という会話をして退室する。
帰り道、彼女はあと２時間もああしてるんだなと思うと私のまでがちょっと落ち込む。

今日の副作用は頭痛。
ロキソニンを服用して横になる。
１時間ほどで回復して夕食の買い物に出かける。
気合を入れるために餃子にする。ビールが飲めないのが残念だけど、バクバク餃子喰って元気になってやるという気合で餃子作りをする。

2023.2.9（木曜日）８回目が終わった。
９回目（ラスト）へ続く…