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読書感想文『暇つぶしじゃない読書』

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暇つぶしじゃなくて、本と向き合う時間をつくるぞ。
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2023年に『乳と卵』を読む②

2023年に『乳と卵』を読む②

「そういえば読んでなかった。」と大学生の頃に古本屋で買った『乳と卵』(川上未映子 著)を2023年に読んでみたことで、感じてことをまとめようと思う。
前回は、この本を読んで触発された私の「美的感覚」についての考えを書いてみた。
その他にもこの物語を通して、子を持つことについても考えを巡らせたので、二回目の今回はそれを記してみる。

0.はじめに作品の紹介

本作は、第138回芥川龍之介賞受賞作品で

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2023年に『乳と卵』を読む①

2023年に『乳と卵』を読む①

体調を崩し、急遽仕事を何日か休ませてもらっている。胃腸が荒れていて、あまり物が食べられない。お粥なんかを食べているけど、どうしても空腹感はある。

空腹感はあるのに、食欲が湧かないもどかしさを忘れるために、「そういえば読んでなかった。」と大学生の頃に古本屋で買った『乳と卵』(川上未映子 著)を手に取ってみた。
今回は、2000年代に発表された本作を、あえて2023年に読んでみたことで、感じてことを

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死んだら さすがに「可哀想に」と言ってもらえますか。

死んだら さすがに「可哀想に」と言ってもらえますか。

狭く深くか、浅く広くか。

自分の知的好奇心をどちらかに例えるなら、私は後者だ。
浅く広くのタイプだから、わたしには「なんとなく知っているし、話題に出たらついていけるけど、特段の思入れはない物事」というのが多い。
そういった事柄に、もっと当事者意識を持って向き合いたいと思い、暇な時間を使って今まで軽くしか触れてこれなかったものについて記録していきたい。

カフカ『変身』この小説について、記憶に残っ

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絶望は、きっと、無味無臭

絶望は、きっと、無味無臭

「死にたくなったら電話して」。
これは私が最近読み終えた小説のタイトルである。
敬愛なるYouTuber、にゃんたこ様が動画にしていたのを見て、就職活動の合間にネットで購入した。

彼女が言うには「自分が大学生の時に出会っていなくてよかったと思う作品」であり、かつ「大学生の方はぜひ手に取ってみてほしい作品」らしい。
残された大学生活が一年を切った私は、迷うことなく購入ボタンをクリックした。

しば

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暇つぶし読書をやめたい

暇つぶし読書をやめたい

小学校生の頃から、高校生の頃まで、唯一好きだった夏休みの宿題がある。読書感想文だ。
小さい頃からテレビやゲームを制限されて育ったため、本は私にとって身近な娯楽だった。とはいっても、その読んだ本の内容を記録したり、自分の感想を聞いてもらったりすることはなく、また、同世代の誰かと本を読んでどう感じたかと語らうこともなかった。
特に、私の通っていた中学校では夏休み明けの数週間は、国語の授業内で、宿題とし

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