見出し画像

暇つぶし読書をやめたい

小学校生の頃から、高校生の頃まで、唯一好きだった夏休みの宿題がある。読書感想文だ。
小さい頃からテレビやゲームを制限されて育ったため、本は私にとって身近な娯楽だった。とはいっても、その読んだ本の内容を記録したり、自分の感想を聞いてもらったりすることはなく、また、同世代の誰かと本を読んでどう感じたかと語らうこともなかった。
特に、私の通っていた中学校では夏休み明けの数週間は、国語の授業内で、宿題として書いてきた読書感想文をクラスの前で読み上げるというイベントが行われていた。
そこでは自分の読んだ本の感想文を40人ほどに聞いてもらえるだけでなく、同い年の友人たちが「宿題」という共通の義務の中で、どんな本を選び、どんな感想を残すのかを知れるため、自分にとっては全く苦痛ではなく、むしろ楽しいことだった。

一方で、このイベントの悪いところもある。まだ読んだことのない小説などの”ネタバレ”を度々食らってしまうことだ。
一度話の筋を聞いてしまうと、なかなかその作品に手を伸ばしづらくなるのは想像に容易いと思う。
夏が来るたびに読書感想文の宿題が課されていたわけだから、1クラス40人程度だったのを踏まえると、120作品程度は内容を知ってしまっていることになるのだ。
それに、字数稼ぎのために丁寧に作品のあらすじや展開を書く生徒や、ネット上に第三者のレビューが多くあげられているよなうな名作を選ぶ生徒も多い。
こういった中学生の浅はかな思惑のせいで、私は「話を知ってしまってなかなか手を出せていない名作小説」というのが多いのだ。

”ファスト映画”という部類のYouTubeチャンネルの運営者が逮捕されたのも記憶に新しい。
私の感覚では、読書感想文の発表だけで知ってしまっているというのは、ファスト映画で映画を観た気になっている状態に近いのではないかと思う。

そういった思いもあり、就職活動が終わり、大学一年生の頃の計画では海外を飛び回っている予定だった今の時期の暇をつぶすにはちょうど良いと思い、ちゃんと向き合えていなかった作品というのに触れていこうと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?