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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】疲労感と鍼灸

『あーーつかれるー、家事やりたくない、仕事が手につかない。。。』
身体の疲労感が原因で日常生活に影響が出て困っているが、病院にいくほどではない、または病院で検査をしたが特に異常がないと診断された。
こうした身体の疲労感についての悩みは、男女問わず、だれでも一度は経験をしたことがあるのではないでしょうか??
最近の調査では、小・中・高校生でも慢性疲労状態にあるという調査結果があり、調査回答全体のうち、9%の小学校高学年生(4~6年生)が、また19%の中学生が、1か月以上続く疲労状態にあることがわかっています。
今回は、このような疲労感の症状を東洋医学的にタイプ分けして、どうして症状がおこるのか、そのメカニズムをご紹介していきます。
なお、本編の後半では、実際に疲労感が改善した、鍼灸治療の一例をご紹介していきます。
では、スタートしましょう!


1.東洋医学における疲労感とは

一言で『疲労しやすい』といっても、実際には、身体の不調だけでなく精神的な不調も関与しており、その表現の仕方は、以下のように実に様々です。

・上半身に何かがのったように重たい
・身体を動かすと息切れや動悸がする
・横になって休みたい
・足や腰がおもだるい
・やる気が出ない
・意欲がわかない
・頭がぼーっとする
・眠気がつよい
・ため息がもれる
・胃がもたれる

では、次に、疲労感の原因を調べるために、
『どういったときに疲れを感じるか?』
疲労感を感じる条件をもとにして、そのメカニズムを東洋医学的に探っていくことにしましょう。
あなたの疲労感はどのタイプにあてはまりますか??

2.どういったときに疲れを感じるか?

2-1.夕方から夜間にかけて

東洋医学的には、気虚(特に脾気虚・腎虚)、気血両虚。
このタイプは、身体全体のエネルギーが不足していると考えられます。
食べ物を消化吸収して、身体全体にエネルギーや栄養として巡らせる機能が低下しているため、身体全体の栄養が不足し、一日のおわり頃にエネルギー切れともいえる、身体のだるさ、疲労感を感じやすくなります。
このタイプの特徴として、夕方から夜にかけて、微熱程度の発熱を伴ったり、風邪をひきやすかったりする、ことがその特徴です。

2ー2.運動した後

東洋医学的には、気虚(特に肺気虚、心気虚、脾気虚、腎虚)、気血両虚。
このタイプも、身体全体のエネルギーが不足している状態が考えられますが、運動後に息切れ、呼吸のしづらさ、動悸、腰や下半身のだるさを伴うことがその特徴となります。

2-3.睡眠不足の後

東洋医学的には、気虚、血虚(心血虚、肝血虚)、気血両虚。
このタイプは、睡眠不足が原因となって、身体に必要な栄養・エネルギーを十分に補充できなくなり、身体全体のエネルギーが不足がおこっている状態と考えられます。
東洋医学では、睡眠は、心身ともに休ませることで、身体に必要な栄養・エネルギーを補充するために重要である、と考えます。
このタイプの場合には、普段から、不安感や胸のざわざわ感があり、不眠、浅い睡眠、早朝覚醒、爪のもろさ、目の疲れ、筋肉の引きつり、などを伴うことがその特徴となります。

2-4.空腹時

東洋医学的には、脾気虚。
このタイプは、体質的に胃腸が弱く、食欲不振もあり、食事によりエネルギーを効果的に作り出すことが苦手なため、身体全体のエネルギーが不足がおこっている状態と考えられます。
このタイプの場合には、体型はやせ型で食事はたくさんとるがそのわりに太りづらく、やせの大食いであり、食後すぐ排便があり、ふわふわした目眩、四肢倦怠感・頭重感、雨の日に疲労感が悪化する、などを伴うことがその特徴となります。

2-5.イベント(肉体的な活動)後

東洋医学的には、気虚(特に肝気虚)、血虚(特に肝血虚)。
このタイプは、疲労に耐える肉体的な力が低下しており、特別なイベントの後に身体内の循環をうまくコントロールできなくなり、エネルギー不足がおこっている状態と考えられます。また、イベントで活動することにより、身体が栄養不足となり、前者同様の状態が起こっているとも考えられます。
このタイプの特徴は、普段から怒り・ため息を伴うことが多い、集中力が持続しない、爪がもろい、目の疲れやすい、筋肉疲労、などを伴うことがその特徴となります。

2-6.精神的な疲労と不快なこと

東洋医学的には、肝気虚、肝気鬱 いわゆる思考疲労。
このタイプは、精神的なストレスが原因となり、身体内の循環をうまくコントロールできなくなっている状態と考えられます。
また、精神的負荷が大きく関与することから、負担となる出来事から解放されるとすぐに疲労が回復するのが特徴です。
例えば、仕事が精神的な疲労となっている場合には、職場を離れたり休日になると症状が回復する、といったことがよくあります。
このタイプの場合、肩こり、不眠、夢が多い、口が苦い、普段から怒り・ため息を伴うことが多い、などを伴うことがその特徴となります。

2-8.ささいなことでの疲労

東洋医学的には、腎虚。
このタイプは、虚弱体質、働きすぎ、加齢などを理由に、身体の基礎的な体力が弱り、エネルギー不足になっている状態と考えられます。
このタイプの場合、下肢倦怠感・頭重・耳鳴り、などを伴うことがあります。

2-9.長時間の同一姿勢

東洋医学的には、経絡の気滞、気虚気滞。
このタイプは、座位での長時間にわたるパソコン作業などで、身体を同一姿勢に保つことから、身体の循環が停滞して、エネルギーが上手くめぐらない状態になっていると考えられます。
また、そもそも身体エネルギーが不足しがち人の場合、じっとして身体を動かす機会が減ることで体内循環がより停滞して、前者と同様のことがおきるとがあります。

3.疲労感に対する鍼灸の施術例

次に、疲労感に対する鍼灸の施術例をご紹介します。

一度の施術で使うツボは1つです。施術時間は、休憩含めておおよそ1時間程度です。
なお、鍼をする前には、予め、詳しく問診をする必要があり、疲労感の症状だけでなく、他にもある様々な身体の症状(随伴症状といいます)、その人の体質や体格、その時の体調、施術をする時の季節、天気なども考慮する必要があります。
その上で、その人の身体全体の状態(脈、舌、顔色、身体の熱冷のかたより、身体の緊張、手足ツボの反応など)から、トータル的にみて、最も原因にふさわしいツボを選び鍼灸の施術をします。
そのため、疲労感の症状や原因が同じでも、その時々で使用するツボも変えることが必要となります。

【患者】20代女性、身長15Xcm、体重4Xkg。
【初診】202X年7月X日
【主訴】からだのだるさ(疲労感)
【問診】
発症は古く、中学生の頃から既に疲れやすかった。
子どもの頃からやせ型。風邪をひきやすかった。
子どもの頃から痩せの大食い。排便状態は軟便、下痢傾向だったが、社会人になった頃から便秘、軟便、下痢と様々な便が出るようになった。
胃腸は以前より強くないほうだと思う。
一日の中では夕方、曇り、雨の日に悪化する。
発症からの症状変化としては、社会人になって仕事をするようになってからは、仕事後によりからだのだるさを感じるようになった。
仕事は一日パソコンを使う仕事だが、納期があり、締め切り間近や繁忙期になるとパソコンに向かう時間が長くなり、残業も増える。仕事をする時間が長くなればなるほど、帰宅後の疲労感が強くなる。
仕事を始めてから、肩こりと腰痛を感じるようになった。
友人と休みの日に遊びに出かけて楽しみたいが、疲れが気になりなんとなく気乗りしない。
病院では検査を何度かしているが異常はなく、診断つかず。
インターネットで、体質改善する方法を探し、鍼灸での治療を試してみたいと来院をした。
【初診時の症状】
・来院時は曇天。
・身体全体、特に上半身に何かがのっかっているような、身体のおもだるさを感じる。
・肩こりの症状あり。
【診断と治療方針】
体質的な胃腸の弱さがあり、身体に必要な栄養吸収を行うのが得意ではないため、子供の頃から疲労感が出やすかった、と考えられる。
さらに、社会人になって、精神的なストレスと同一姿勢を継続する時間が増えたことをきっかけに身体が過緊張状態となり、体内の停滞により疲労感が悪化したと、診断。
上記の診断に基づき、胃腸の弱りを改善しながら、身体の過緊張をとることを中心にしたツボを選び、処置を行う。
【日常生活での注意点】
・適度に運動。

【経過】
初診 鍼をした直後から緊張がゆるみ、肩こりがゆるむとともに、身体全体のだるさが改善する。
2診〜4診 仕事に身体のだるさが出づらくなってきたと感じる。4診後には、休日友達と久しぶりに外出をしてみようと思えるようになって、実際に外出をしたが、症状は大きく悪化しなかった。
5診~ 治療を現在も継続している。その後は、少しずつ、天気に左右されることがなくなり、排便状態も安定するように身体が変化するとともに、身体のだるさが解消してきているように感じる。

4.まとめ

いかがでしたか? 
今回は、疲労感についてご紹介をしてきました。
ご自身の抱えている疲労感はどのようなメカニズムで起こっている可能性があるか、お判りいただけましたでしょうか。
また、東洋医学においても、疲労感に対して鍼灸でのアプローチが可能なことはご理解いただけたでしょうか。

今回はここまでとなります。最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132
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