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タイサル!第29話「調査地での同居人・チンチョッとの日々のあれこれ」

みなさんこんにちは、筋肉痛に苦しめられた1週間を送った豊田です。

一年以上に渡る引きこもり生活と諸々のストレスで、すっかり毎晩ビールを飲むくせがついてしまいました。ビールだけならまだマシなのですが、レンチンの唐揚げとかチャーハンとかカップ麺とか、おつまみまで一緒に深夜に食べてしまうので良くないですね。というわけで、火曜日に30分ジョギングをしたのですが、これが過酷で。その後数日ずっと筋肉痛に苦しんでいた次第です。トホホ...

さて、今週は犬たち以外の調査地での同居人、ヤモリたちをご紹介します。


調査基地のヤモリたち

調査地の基地には、たくさんのヤモリたちが住み着いています。

数がたくさんいるのは、小さなハウスゲッコーです。タイ語でチンチョッと言います。

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彼らのごはんになる虫をおびき寄せるため、夜は玄関の電気はつけっぱなしにしています。なので、私の部屋の外はいつもヤモリたちで大賑わいです。喧嘩したりすると「キュッキュッキュッ」と鳴きます。

ちなみに、これと全く同じことを母が日本でやっています。台所の電気をつけっぱなしにしていると、毎日同じヤモリさんが窓の所にやってきます。母はその子を見るのを楽しみにしています。

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タイの基地では外も中も区別がほぼないため、もちろん部屋の中にもたくさんいます。彼らは机の裏やPCモニターの裏など、あらゆる所に潜伏していて、小さな虫を狙っています。データ入力をしていると、デスクの上に出てきてこちらの様子を伺っている子もいます。実にかわいいです。

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机の上に出てきた子。特に逃げる様子もなく、虫を狙っています。

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大物をゲットした子。

たまにこうやって壁をボーッと眺めて、虫を狙うチンチョッを観察し、獲物をゲットする瞬間を見ては「ナイスーー!」という声援を送ったりします。

ぼっち生活なのでね、こういう刺激も必要なのです...

でも流石にこれは大きすぎると思うよ...なんで食べられると思ったのか、その根拠を問いただしてみたいですね。

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タイではこんなヤモリよけスプレーみたいなものも売っていますが、私はヤモリは嫌いではないので、部屋のあちこちにいても全く苦になりません。むしろ同居人がいると思うと、寂しくないので歓迎です。

とはいえ、困ることがないわけでもなく...


迷惑①うんちが臭い

彼らの主食は虫です。おうちで爬虫類を飼ったことがある方ならわかると思いますが、うんちが結構臭います。

データ整理をしていると、唐突にどこからともなくプーンとヤモリのうんち臭が漂ってくることがあります。うんちそのものが発見できれば掃除しておしまいなのですが、狭い隙間の奥でうんちをされると、しばらく臭います。

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ヤモリのうんち臭対策がこちら。消臭剤・芳香剤をあちこちに置き、消臭スプレーを常備。扇風機には匂い袋をくくりつけます。

ちなみにこの匂い袋のHygieneというシリーズの柔軟剤は私のタイでのお気に入りです。この匂いをかぐと調査地を思い出します。なので、日本に帰ってくるときはこの匂い袋をたくさん買って帰ってきます。

タイの音楽を聞きながらこのHygieneの匂いを部屋に漂わせることで、日本にいながら調査地にいるような気分になり、現実逃避ができるようになります。


迷惑②機械が壊れる

ヤモリたちは狭い隙間でも平気で入っていきます。なので、機械が割と頻繁に故障します。

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プリンターに侵入したヤモリさん。内部でなんか音がするなと思って覗いたら案の定いましたの図。しっぽが切れているので、喧嘩して逃げ込んだ可能性があります。このままでは印刷できないので、なんとかしなければなりませんでした。この子を救出するのにあちこちいじくったおかげでインクが漏れ、しばらくまともな印刷ができなくなりました。


迷惑③謎な所でお亡くなりになる

彼らはよくわからない所でよくわからない死に方でお亡くなりになっていることがあります。開け閉めしていない窓の隙間に挟まってお亡くなりになっていることもあれば、冷蔵庫の裏でミイラになっていることもあります。

お亡くなりになると、当然ですが、死臭がします。どこからともなく死臭が漂ってくると、「あー、またどこかで誰かがお亡くなりか...」となり、ご遺体の捜索をせねばなりません。

ある時、電子レンジを使うたびに異臭が漂うようになったことがあります。最初私は過去の食中毒のトラウマから、「また食べ物が腐ってるのか!?」と恐怖し、そのごはんを処分したりしていました。しかしどうも、レンジを使ったときだけ毎回異臭が漂うので、これはもしや...となるわけです。

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レンジの庫内にご遺体はありません。となると、残る可能性は唯一つ。基盤内部に侵入してお亡くなりになっているご遺体が、レンジを使うたびに温められて、排気とともに死臭を漂わせている...


解体するしかありません。


私は機械に詳しくないので、解体したものを元に戻せる自信はありません。おまけに、小さい時に理科の授業で作ったコイルのでかいやつをゲットしようとして、家にあったミキサーを解体し、回転しているところを見ようと解体途中で電源をつないでボタンを押して、感電したことがあります(今から考えると単なるバカ)。

でもレンジは使わないわけにはいかないし、死臭とともに温められたごはんを食べるわけにもいかないので、覚悟を決めて解体しました。

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電子レンジは壊すわけにはいきません。電子レンジなしでは食中毒のリスクに怯える日々に逆戻りになってしまうからです。スマホで解体途中を録画しながら、なんとか外装を外し、ご遺体を取り出し、無事に元通り修理できたときは感動しました。

こんな単純な作業でも、あの家電修理屋に持ちこんだら、またいくらぼったくられることか...(恨み)


タイでヤモリといえば

日本ではヤモリは「家守」といわれ、家を守る生き物として親しまれています。

タイではそういう扱いはないようですが、プラクルアン探しをしていると、よくヤモリをモチーフにしたものを見かけます。

多くは尻尾が二叉や三叉になっているもので、中には本物の液浸標本を封入したらしきものまであります。ヤモリの尻尾は再生するので、人為的に尻尾を二叉にする方法があるのかもしれません。縦に切るとか。プラナリアみたいな発想だな...

私のようにお借りしてきたお守りを日本に持って帰る場合、生体由来の皮膚や歯、毛、あるいは生体そのものを使ったプラクルアンは、空港で引っかかったり、素材となっている種によってはもっと厄介な事案になる可能性もあるので、気をつけなければなりません。いいなーーーーと思いつつ、眺めているだけです。

こちらは金属製の二叉尻尾のヤモリのお守り。金属製なので持ち帰りも大丈夫。パッと見ではワニに見えるかもしれませんが、目の位置とかはヤモリです。お守りのモチーフになるくらいなので、縁起がいい生き物扱いなのでしょうかね。

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お守りのモチーフになる動物は色々います。私が今まで見たことがあるのは、カメ、ヤモリ、鯉?っぽい魚、スズメバチ、トラ、サル、くらいでしょうか。


チンチョッ以外のヤモリ

タイで見かけるヤモリは、この小さなチンチョッだけではありません。

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こちらは大型のヤモリ、トッケイヤモリ。30cmほどあります。トッケイさんは大きいので、ダンボールの裏や天井裏を歩いていると足音がします。近づくと口を開けて威嚇されます。私の部屋には数匹住んでいます。

夜になると結構な声量で鳴きます。
こんな声で鳴きます→ https://www.youtube.com/watch?v=Wy8o320YZU4

自分でもこのトッケイの鳴き声をフルシークエンスで録音したいと思っているのですが、いつ鳴くかわからないので結構難しいです。

個体によって声の高さが違ったり、リピート回数が違ったりします。きっと体の大きさや年令によっても違うんだろうなぁと思うので、「トッケイヤモリの鳴き声の音響解析:年齢・体サイズ・縄張りサイズと音響特性との関係について」とか「トッケイヤモリの成長に伴う鳴き声の変化について」っていう研究やってみたいです。個体間で鳴き方の学習とかしてるのかな...

単発の鳴き声ではなく、複数の音で構成される鳴き声を出す爬虫類ってなかなか珍しいんじゃないかな、と思います。日本ではペットとしてもたくさん流通しているので、実は結構研究もされていたりして...



さて、このnoteも次回で第30話となります。こんな感じで調査地の日常をダラダラと発信し続けているこのタイサル!ですが、一体誰の役に立っているのか?というか、一体僕はなぜにこんなくだらない日々の記録を好き好んで世の中に垂れ流しているのだろう...と、ふと思い返したりするわけです。

そんなわけで来週は、丁度いい節目ということで、これまでのnoteの活動を振り返りながら、今後の方針について思うことなどを綴ってみようと思います。

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タイサル!シリーズ過去の配信アーカイブはこちらから↓

連載コラム「タイでサル調査!研究奮闘記」配信開始のお知らせ
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n28a1dc0c9402
第1話「海外調査の生活拠点」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n985accf6fef3
第2話「調査地で楽しむタイ料理!食事編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n5444528ab0bb
第3話「シャワーも命がけ!?お水事情その①」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nf5bcd9a17bc1
第4話「シャワーも命がけ!?お水事情その②」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n7c4f68bf12d1
第5話「シャワーも命がけ!?お水事情その③」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n56d26d529251
第6話「泥水との激戦を終えて」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n375ca4ab7be2
第7話「調査生活のオトモ!タイの犬たち」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n7968f75aea75
第8話「その日のことはその日のうちに!調査の1日のルーティンワーク」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nfdac8fac1ec6
第9話「忘れ物確認ヨシ!調査時の装備について」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n4fef7eb2e320
第10話「写真へのこだわり」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/na4da37e13e8d
第11話「誰だ誰だかわからない!個体識別の話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n1648bde20bab
第12話「ゲシュタルト崩壊!全頭識別への道」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n24c3478ea661
第13話「サルたちの名前の付け方の話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nb6a8e6119ced
第14話「タイの仏教文化とサルたちの関係について」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n9a7a6814730d
第15話「タンブン行為で私が心配していること」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nd1360f5568af
第16話「タイ生活の必需品、プラクルアンとは?」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n6bcc5b875bb5

タイ南北調査特集はこちらから↓
第17話「南北調査シリーズ開始&YouTubeチャンネル開設のお知らせ」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/ncab1c13b6bf9
第18話「南部調査その①:Puckerを拝みに...キタブタオザル編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n5d3df0969439
第19話「南部調査その②:白いメガネが印象的!ダスキールトン編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/na32091a5b055
第20話「南部調査その③:見慣れたサルのはずなのに...ベニガオザル編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n3488e5942c1a
第21話「南部調査その④:アナタどこにでもいるわね!カニクイザル編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n219720155be3
第22話「北部調査その①:黄金の赤ちゃんを求めて〜ファイヤールトン編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/ndeb079c8825c
第23話「北部調査その②:ガイコツの隣でうんち拾い...アッサムモンキー編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/naf23f701a677
第24話「南北調査おまけ:噂のココナッツモンキーを求めて−モンキースクール編」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nfb50e551aa1a

第25話から調査地シリーズに戻ります↓
第25話「年に一度の風物詩!コウモリ集団飛翔の撮影秘話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n0b4911b372e2
第26話「気づけば部屋が虫だらけ!マレーンマオ大量発生の悲劇」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n264fade216ea
第27話「思い出いっぱい!タイで購入したmy冷蔵庫の話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n071966d6f39a
第28話「クリスマスにひとりで死にかけた話」
https://note.com/arctoidestoyoda/n/nead29459b1db

番外編の過去の配信アーカイブはこちらから↓
私論:「ココナッツモンキー」は動物虐待なのか?
https://note.com/arctoidestoyoda/n/ne6add28fc064
遺跡の街ロッブリーに住むカニクイザルの歴史
https://note.com/arctoidestoyoda/n/n1679cb4029b2

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個人ホームページを開設しました。こちらからどうぞ。
Twitterはこちらです。ベニガオザルのみならず、これまで撮影してきたサルたちの写真を載せています。

イラストレーターのはなさわさんのサイトはこちらです。
こちらもあわせて御覧ください。

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