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タイサル!第5話「シャワーも命がけ!?お水事情その③」

みなさんこんにちは、サルの研究をしている自称写真家の豊田です。

タイサルも第5話まできました!お水事情の最終回、命がけシャワーのお話です。

そもそも雨水タンクから水を汲んでくるだけで、ヤバいサソリの住処で作業せねばならないという危険を犯しているのですが、きれいな水を獲得できるなら仕方ありません。

そうやってきれいな水が手に入ると、次なる欲求が湧いてきます。


■「温かいお湯でシャワーを浴びたい」

もちろん日本人なので「お風呂に入りたい」は常に頭の中をグルグルしています。ですが、それはどう考えても叶わぬ夢ですので、とっくに諦めています。

トップ画のように、池に入って水浴びしてる犬たちを見ては羨む日々。

でもせめてシャワーくらい、温水で浴びたい。


私は朝起きて調査に行く前にもシャワーを浴びるのですが、タンクに汲み置きの水ゆえ、やっぱり冷たいんですよね。朝はそのヒヤッ!とした感じで目が覚めるので良いのですが、調査から帰ってきて汗だくの状態でシャワーを浴びる時は、石鹸もシャンプーの泡もしっかり洗い流したいので、お湯のほうが良いわけです。

しかしガスは来ていないしお金もかかるので給湯器なんてものは設置できず、どうしたものかと考え、部屋にあるものを見回して、あることに気が付きました。


ポットでお湯を沸かしてそれをシャワーに使おう!


ということで、その日から私の温水シャワー計画が始まりました。


■ポット案

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ポットで地道にお湯を沸かしていく案です。

100Lのタンクからお湯を汲んで沸騰させてタンクに戻し、また水を汲んで沸騰させてタンクに戻し...これを繰り返すと、徐々に温かいお湯が100Lできてきます。

しかし、これには相当時間がかかりました。ポットで沸かす作業を大体10〜15回位繰り返さないと、100Lタンクの水は温まりません。

データ整理をしながらのお湯沸かし作業なので、うっかりしていると忘れてしまったり、たまに寝落ちしたりしてしまいます。そうして作業間隔が空いてしまうと、タンクにあるお湯がどんどん冷えていってしまうのです。それまでの努力が水の泡になります。

さらに、危ないのが、たまに感電するんです。

お湯が湧いたらポットの水をタンクに入れ、新しく汲んできてまたコードにつないで沸騰させるのですが、どうしても手や本体が多少濡れてしまいます。すると、ポットと磁石でひっつくタイプの電源コードをつなぐ時に、ビリっとくることがあります。

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最初何回か感電した時は大したことなかったのですが、調子に乗っていたある日、結構ビリビリきた時には流石に考え直しました。

タイは電圧が高いこともあり、これは下手したら死ぬのでは?

お湯シャワーのために感電して死んでは困るので、こればかりは流石になんとか改善せねばなりませんでした。

毎回タオルで拭くのは面倒だし、でも一度経験したお湯シャワーを手放したくないし...いずれにしてもポットを使う以上感電リスクがあるのは仕方がないので、なんとか1日のシャワーでこのお湯沸かし回数を減らすことで、感電するかもしれない頻度そのものを減らそうと考えました。

結果的に、お湯にする量は20L(バケツ2杯分)だけにして、石鹸やシャンプーを洗い流す時と、最後にざっと水浴びする時だけお湯を使うという方法で落ち着きました。

これなら、お湯を沸かす作業は数回で済むので、感電リスクを多少は軽減できます。博士研究の2年間はこの方式でなんとかお湯シャワーを獲得していました。

お湯にすると、池の濾過水はちょっと臭いが復活してくるのが残念なところですが、雨水タンクの水と併用しながらなんとか我慢していました。


■お湯シャワーへの飽くなき探究

その後も効率的かつ安全なお湯シャワーに対するこだわりが諦めきれず、最初から最後までたっぷりのお湯でシャワーを浴びたいと常に考え続けた結果、ある時偶然、Amazonで画期的な文明の利器に出会いました。


投げ込み式コイルヒーターです。

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そもそも、タイで売っている安い卓上湯沸かし器をみると、ポットの底にこのコイルヒーターがついているだけの簡単な作りです。分解してコイルヒーターだけ取り出すか?とか、何ならポットごとタンクに沈めてもイケるんちゃうか?とか、あれこれ考えていたのですが、やっぱりこれで感電して死ぬのは勘弁して欲しい...

そんなこんなでやっと見つけたのが、この投げ込み式コイルヒーターでした。値段は1000円くらいでしたが、これで簡単に楽にお湯を用意できるので便利です。タンクに投げ入れておくだけでいいし、感電リスクも少ない...

2019年の調査再開時から利用を開始しましたが、シャワーに革命が起きました。今では調査生活三種の神器のひとつみたいなものです。

日本にいる間も、常に調査に使える道具を探していると、たまにこういう良い発見があるものです。

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こんな風に設置します。

コイル上部まで水につけると感電するという注意書きがあったので、調査部屋裏にある竹林から丁度いい枝を拾ってきて、タンクに吊るす装置を自作しました。

だいたい、20分もあれば、タンクのお湯が全部温かくなります。

それ以上やると熱すぎたり、最悪沸騰してタンクが熱変形する危険性もあるため、ヒーターをセットしたらアラームのセットは必須です。でもおかげでタンク一杯分のお湯が手間なく安全にお湯になるので、シャワー生活がとても快適になりました。



そんなこんなで、温かいお湯でシャワーを浴びるだけなのに、なんでこんな感電するリスクを負ってまで準備をせねばならないのかと思うこともあるわけでありますが、これも海外調査生活の愉しみみたいなものです。

日本にいると、身の回りで感電するリスクというものがあまりないのでピンとこないのですが、タイでは普通にコンセントにプラグを差し込むだけでバチバチ火花が飛ぶような国なので、感電リスクは日常生活で普通にあるものです。そんな国で水場周りで電化製品を使うのは、止めたほうが良いですね。

いつか自前の調査基地を持つことができれば、水設備だけはちゃんと確保したいです!


それではまた次回。

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