見出し画像

タイサル!第6話「泥水との激戦を終えて」

みなさんこんにちは、サルの研究をしている自称写真家の豊田です。

調査地のお水事情、”命がけシャワー”の話に到達するまで、3回に渡りお伝えしてきました。

今回は、直近の調査地でのお水対策についてお話しておきます。というのも、現在の調査生活では、諸事情により別の方法を採用しているからです。

2015年9月から始まったタイ調査。2017年6月に無事調査全日程を終え、論文書き・学位取得のため、日本に戻ることになったのですが、その時点で、次いつタイに戻ってこられるか不明でした。そこで、調査地で構築した環境は一回全部リセットしなくてはいけませんでした。

とはいえ、また帰ってくることは間違いないわけですので、現地で買った机や椅子、棚、モニターなどなど、あらゆる家具は調査地のお部屋に置いておいたわけでありますが、残念ながら2018年にNHKのロケで調査地に戻ってきた時には全てもぬけの殻になっていた、ということはすでに第1話でお話したと思いますが...



濾過装置もなくなっていました。



苦労して構築した、対泥水最強兵器の4連濾過装置...

さよなら、我が最高傑作。さようなら、我が激戦の記憶。


...ということで、2019年の本格調査再開時にはまた泥水対策が最大の課題となったわけです。雨水タンクがあるとはいえ、またゼロからお金をかけて濾過装置を作るのもしんどい。

タイ歴もある程度長くなってきた私には、ある秘策がありました。

それは、シャワー用の水を「買う」という選択肢でした。

画像3

タイには、各地に上のイラストのようなお水の自販機があります。10Lタンクを一杯にするのに、だいたい7バーツ(25円くらい)です。また、地元商店に行けば既に充填済みタンクを買うことができます。最初にタンク料金100バーツをデポジットとして払うと、次回から空のタンクと交換制で10バーツでお水が買えます。

つまり、1日20バーツあれば、「一応」飲用可とされているきれいなお水が、20L(バケツ2杯分)買えるのです!

もし再び濾過装置を構築するとなれば、少なくとも6,000バーツの初期投資を要します。交換用フィルターも買うので、更にお金はかかります。その上、得られる水はやっぱり汚く、”無濾過状態と比べると受け入れ可能”なレベルに浄化されているというだけで、基本的には「池の泥水」です。

一方、1日バケツ2杯分の水を買ってくるだけなら、濾過装置の初期投資額分だけでだいたい10ヶ月分に相当します。圧倒的にお得。しかも「一応は」飲用のきれいな水なので、シャワー後もさっぱり!シャンプーのいい香りを漂わせながら眠りにつくことができます!何たる幸せ!

ということで、現在は、お水購入方式に切り替えて対応しています。

画像3

お水の自販機は、調査地からバイクで3分ほどのところにあります。毎日、朝と夕方に1個ずつ、職員さんに頼んでお水を補充してきてもらい、1日20Lのシャワー用水を確保しています。たまに職員さんと一緒に自分で充填しに行くこともあります。

画像4

タンクの口に合うように蛇口位置が設計されているはずなのに、タンクを押さえて位置を調整していないと全然水が入りません。こういうタイクオリティ、慣れると気にならなくなります。

画像5

調査地最寄りの水自販機周辺にはなぜかツムギアリが大量にいます。きっと近くの木に巣があって、水を飲みに来ているのでしょう。このツムギアリに噛まれると結構痛いので、自販機がツムギアリに占領されている日は萎えます。

画像1

とはいえ、節約生活が基本の海外調査ですので、雨が降った日は雨水をちゃんと集めます。雨水タンクも一応設置はされているので、そのお水も使います。

最初は雨水で体を洗い、最後に購入してきたきれいな水で洗い流してスッキリしています。


大雨の時にパンツ一丁で外に飛び出し体を洗う勇気を獲得すれば、わざわざお金を出してお水を買わずとも生きていける日がやってくるかもしれません!(雨季限定)


というわけで、調査地のお水事情は完結です。
タイサル!第7話の次回は、タイの犬たちの話題をお伝えしたいと思います。

***********
個人ホームページを開設しました。こちらからどうぞ。
Twitterはこちらです。ベニガオザルのみならず、これまで撮影してきたサルたちの写真を載せています。
Instagramはこちらです。Twitterと同期して投稿しております。

イラストレーターのはなさわさんのサイトはこちらです。
こちらもあわせて御覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?