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タイサル!第4話「シャワーも命がけ!?お水事情その②」

みなさんこんにちは、サルの研究をしている自称写真家の豊田です。

ゴールデンウィークが始まりましたね。
来週はせっかくのお休みなので、ちょっと更新頻度をあげてみようと思います。

さて、前回は、池の泥水と戦うために濾過器を導入したお話でした。

今日の第4話は「お水事情その②」、雨水タンクのお話です。


雨水タンクがやってきた

濾過装置を構築し、泥水との戦いを制した約半年後、2016年の6月に、新たに雨水タンクが導入されました。

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上の写真は導入された雨水タンク初号機とシロスケ。

雨が降ると蓋を開け、屋根伝いに流れてくる雨水を回収し、貯水します。

ここからバケツに汲んで浴室まで運び、それをシャワー水に使います。

しかしこの雨水タンク、なかなかのくせ者なのです。


■乾季には役に立たない

当然ですが、雨がふらない乾季にはタンクはあっという間に空になります。

中の水がなくなると、給水車がきて水を足していくのですが、その水はどこかの川から汲み上げてくる水らしく、結構濁りがひどい時があったりします。

それでも池の水よりマシなので、ろ過システムの水量不足時のバックアップとして、タンクに汲み置きしておき、定期的に上澄みを回収したりして使っていました。


■まともなタンクがきたことがない

私の調査中、この雨水タンクは何機も交換されています。すぐに壊れて水が漏れるからです。であるにも関わらず、交換されてやってくるタンクもまた、はじめから亀裂が入っていたり、修理が中途半端で常に水漏れしていたりして、とにかく厄介者でした。

グルーガンで修理してみたり、アルミテープで補修したりしてみるのですが、なにもしないよりはマシな程度で、水漏れは止まりません。

ある日、タンクが空になったので給水車がきて水を満タンまで入れてくれた事があるのですが、そんなボロボロ状態のタンクに一気に満タンまで水を入れたらどうなるか、おわかりですよね。

当然水圧がかかって亀裂が大きくなり、気休め程度に貼っていた防水テープも剥がれ、新しく補給された水は3時間もしないうちに全部流れ出てしまいました。

半分までくらいにしてくれればなんとか持ちこたえられたのに...

マイペンライ気質のタイ人らしい仕事ぶりといえば、それまでなのかもしれませんね。


■生き物たちのオアシスに...

そんなこんなで、一事が万事いい加減なメンテしかされていないので、常にタンク周りが湿っています。

そうすると、いろんな生き物がタンク周りに集まってくるようになります。

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丸々した可愛らしいカエルさん。これくらいなら良いのですが...

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こちらはヤバいやつ。たぶんウッドバークストライプ?か何かだと思いますが、明らかにキョクトウサソリ科のフォルム...森の中にいるチャグロサソリの方はペットにもなるくらいで毒も強くなく危険性は低いのですが、このサソリは刺されたらヤバいやつ(たぶん)です。

タンクから水を汲んでいる時に足元から出てくるのを何度も目撃し、その度に冷や汗をかきます。タンクの周りは素足サンダルでは歩けません。

ちなみにこのサソリは森の中でもたまに見かけます。くぐり抜けようと思っていた木の幹にピトッと張り付いていてゾッとしたこともありますし、調査から帰ってきてゲイターを脱いだらそこから現れたこともあります。勘弁して欲しい...


■貯まるものは雨水のみではない

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上の写真は、最も理想的な状態を維持して雨水タンクとして水を回収できている時の様子です。しかし、このような状態はほとんど維持できません。

この部屋にはサルたちがやって来ることはすでに書きましたが、サルたちは当然、タンクの上に乗って遊びます。タンクの蓋は真っ先に取れます。チューブは破壊されて、子ザルたちのオモチャになります。タンク上の場所を巡ってケンカもします。すると、ウンチをしてしまう子がいます。当然、タンクの中に数個落ちます。


......こういうのは、知らない方がいいんですよね。
まぁ実際はタンク内にウンチが数個落ちたところで、正直わかりません。希釈効果恐ろしや。でも、カエルがタンク内で死んで水の中で腐ると、明らかに臭います。そうなると数日は臭い水になってしまうので、濾過水に頼るしかなくなります。


■蛇口からオタマジャクシ

そんなこんなで、気がつくと蓋がなくなっています。直しても直してもサルたちにやられるので、途中でもう諦めてしまいます。すると今度はいつの間にかカエルたちの産卵場所になってしまうのです。

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雨水タンクに産卵しにやってくるのはこのカエルさん。タンク下に住み着いている丸い子と違って、結構骨ばっている印象。

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雨水タンクの蛇口から出てきたオタマジャクシ(と虫の死骸)。

タンクの中にオタマジャクシがいっぱいいると思うと、そのままシャワーに使えないどころか、お皿洗いの時などに流すとみんな地面に流れてしまってそのまま死んでしまう事になって大変です。なので、雨水タンクの蛇口にはフィルターを設置して使うことになります。

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フィルターといっても既製品はありません。ただ単に、蛇口にウェットティッシュを巻きつけて輪ゴムで固定しているだけです。簡単なものですが、オタマジャクシたちにも安全だし、一応目に見えるサイズのゴミも除去できるので、一石二鳥です。



...泥水よりは圧倒的にきれいな水が手に入る雨水タンクですが、運用環境が適切でないために困ったことばかりでした。こういった苦労も、田舎の生活の醍醐味なのかもしれません。

次回はお水事情の最終回、お湯シャワーを獲得するまでの道のりをご紹介します。


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