青いひつじ

はじめまして、青いひつじです。 短編小説を中心に更新していきます。 自費出版を目標に、…

青いひつじ

はじめまして、青いひつじです。 短編小説を中心に更新していきます。 自費出版を目標に、なるべくたくさん、マイペースに更新していきます。 フォロー、スキ嬉しいです。ありがとうございます。

記事一覧

【短編小説】探しているもの

とても大きな雲が青い空に浮かぶ、昼下がりの公園。 私は今日も、とある物を探している。 「んー、それにしても見つからないな」 私は、大学で生物学を専攻している。 子…

1

【短編小説】異常である

私は宇宙人である。 正確に言うと、私自身は宇宙人である自覚はないが、この星の生物たちは、外部の星で生きる生物を宇宙人と呼んでいるらしい。 私たちがこの星を発見し…

3

【短編小説】I was a

僕には最近、気になっている女性がいる。 あれは1週間前。生ぬるい風の中、河川敷を散歩している時だった。 「ありがとうございます」 そう言った彼女の瞳には、桜が映っ…

青いひつじ
12日前
5

【短編小説】パイナップルの彼女

僕の彼女は、人を野菜や果物に例える癖がある。 彼女と初めて会ったのは、サークルの飲み会だった。 彼女は僕を見るなり「岡田くんって、玉ねぎみたいな人だね」と言って…

青いひつじ
2週間前
9

【短編小説】プレゼント

目が覚めると、一面に緑が広がり、その隙間から空を見つける方が難しいほどであった。 「ここはどこ」 女が起き上がると、横には額から血を流した恋人が、車の窓から半分…

青いひつじ
3週間前
6

自己紹介です

すごく今更なのですが。 はじめまして、青いひつじと申します。 いつも、いいねやコメント、フォローありがとうございます。 読んでいただけて、本当に幸せです。 今日は…

青いひつじ
4週間前
21

【短編小説】暮色の時

「おぉっ!ゆう!めっちゃ久しぶりじゃね?」 「うわっ、けいか。突然大きな声出さないでよ」 けいは、同じマンションに住む幼馴染で、友人である。 最近のけいは部活で忙…

青いひつじ
1か月前
3

【短編小説】第6地区

私の住んでいるこの第6地区は、まるでここだけが世界の終わりかのようだった。 第1地区から第9地区まであるこの町は、幸福の町と呼ばれている。 ただ第6地区だけは、様子…

青いひつじ
1か月前
6

【短編小説】イッツオーケー

自分のことなら、何度だって抱きしめてきた。 色のついた世界から、白黒の世界へ繋がる扉を閉めれば、簡単に涙が溢れた。 突然の雨のように泣き出す私を、手で優しくさす…

青いひつじ
1か月前
4

【短編小説】鏡

女は、とある骨董屋で大きな鏡を見つけた。 どれくらい昔の代物なのか、楕円型の鏡の周りは華やかな彫刻のゴールドフレームで囲まれているが、ひどく年期が経っていた。 …

青いひつじ
1か月前
5

【短編小説】博士の発明

その日、博士はえらく興奮していた。 「ついに、、、ついに完成したよ!!」 「博士、今度は何を生み出したんですか」 私は、いたって冷静だった。 博士は、鉛でできた4…

青いひつじ
1か月前
8

【短編小説】幸せになるための道具

私は、この崖から落ちたらしい。 目覚めると、背中は濡れており、蔦が生い茂る岩の壁に挟まれていた。 隙間の幅は2メートルほどで、高さは、かなり高い。どこからか水が流…

青いひつじ
1か月前
9

【短編小説】不法侵入

私の勤めている会社の3階には、あまり使われていない空き会議室があり、週に何度か相談役の人が来ているという。 従業員のメンタルケアをするための福利厚生のひとつとして…

青いひつじ
2か月前
3

【短編小説】桜が嫌いな理由

ベランダから見えた桜は、とてもきれいだった。 彼はきっと、桜が嫌いだろう。 桜を見つけるたびに、私のことが頭をよぎっているに違いない。 私の名前に"桜"の字が入って…

青いひつじ
2か月前
12

【短編小説】ドミノ最強王決定戦

3月某日、1通の手紙が届いた。 開くと"ドミノ最強王決定戦"と書かれていた。 それは、ドミノ大会の招待状だった。 試合の不正を防ぐため、大会の内容について詳細は記載さ…

青いひつじ
2か月前
4

【短編小説】桃源郷

本物の桜を見たのは初めてだった。 詳しくないのでよく分からないが、この甘い匂いは、小さな蕾をふりふりと揺らしている、この木からだろうか。 この道を見つけたのは、1…

青いひつじ
2か月前
4

【短編小説】探しているもの

とても大きな雲が青い空に浮かぶ、昼下がりの公園。
私は今日も、とある物を探している。

「んー、それにしても見つからないな」

私は、大学で生物学を専攻している。
子供の頃はよく、昆虫を探しに森へ出かけた。帽子がどこかに飛んでいったことにも気づかず夢中だった。
初めて見る魚を捕まえようと川へダイブし、溺れかけたこともある。
昔から大体のことは無頓着の私であるが、生物のこととなると、なんとしても自分

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【短編小説】異常である

私は宇宙人である。
正確に言うと、私自身は宇宙人である自覚はないが、この星の生物たちは、外部の星で生きる生物を宇宙人と呼んでいるらしい。

私たちがこの星を発見したのは、今から5年前。
研究員の1人が、宇宙空間を観測中に青い星を見つけた。
なぜこんなにも青いのか調べてみると、それは海の青さだということが分かり、私たちはその星を海星と呼んでいた。
さらに調べてみると、海星には、私たちとよく似た外見の

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【短編小説】I was a

僕には最近、気になっている女性がいる。
あれは1週間前。生ぬるい風の中、河川敷を散歩している時だった。

「ありがとうございます」

そう言った彼女の瞳には、桜が映っていて、まるで春を詰め込んだようだった。
白いワンピースに、きれいな黒い髪を下ろしていた。
もしこの世に天使がいたとしたら、こんな感じなのかもしれないと思うほど眩しくて、僕は思わず目を逸らしてしまった。

落とし物を彼女の手に届けた瞬

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【短編小説】パイナップルの彼女

僕の彼女は、人を野菜や果物に例える癖がある。

彼女と初めて会ったのは、サークルの飲み会だった。
彼女は僕を見るなり「岡田くんって、玉ねぎみたいな人だね」と言ってきた。
僕は確か、言われたことの意味が分からず、2秒ほど固まった後に「それは、褒められてるのかな」と愛想笑いをした。

仲良くなりはじめてから、あの発言はなんだったのか聞いてみたが、彼女は覚えてないと言った。ついでに、野菜や果物が好きなの

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【短編小説】プレゼント

目が覚めると、一面に緑が広がり、その隙間から空を見つける方が難しいほどであった。

「ここはどこ」

女が起き上がると、横には額から血を流した恋人が、車の窓から半分身を乗り出すようにして、気を失っていた。

「ちょっと、目を覚まして。起きて。ねぇ!」

「んん、、、」

女の涙交じりの声に、男は目を半分開いた。

「よかった、、、意識はあるのね」

女が持っていたハンカチで男の額の血を拭き取ろうと

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自己紹介です

自己紹介です

すごく今更なのですが。
はじめまして、青いひつじと申します。
いつも、いいねやコメント、フォローありがとうございます。
読んでいただけて、本当に幸せです。

今日は、少しだけ自己紹介を。
noteでは、短編小説を中心に書いていこうと思っています。
読むのも書くのも、ホラー、恋愛、世にも奇妙な系が多いです。
(サイコホラーとか大好物です、、、)
小説は、星新一、宮沢賢治、田山花袋の作品が好きです。

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【短編小説】暮色の時

【短編小説】暮色の時

「おぉっ!ゆう!めっちゃ久しぶりじゃね?」
「うわっ、けいか。突然大きな声出さないでよ」

けいは、同じマンションに住む幼馴染で、友人である。
最近のけいは部活で忙しく、もうすぐ受験ということもあり、ここ数ヶ月、まともに会話していなかった。

「帰んの?俺も」
「あれ部活は?」
「もう引退。夏の試合が終わって終了〜。今はひたすら受験勉強よ」
「そっか、ウィンターカップは出ないって言ってたもんね。全

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【短編小説】第6地区

私の住んでいるこの第6地区は、まるでここだけが世界の終わりかのようだった。

第1地区から第9地区まであるこの町は、幸福の町と呼ばれている。

ただ第6地区だけは、様子が違った。
昔は、この地区にも桜が咲き、小川が流れていたというが、今はその面影はなく、ガラクタのような工場が黒い煙を垂れ流し、空は一面、重たそうな灰色に覆われている。

昔、この地区を襲ったのは正体不明の疫病と、災害だった。
そして

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【短編小説】イッツオーケー

自分のことなら、何度だって抱きしめてきた。

色のついた世界から、白黒の世界へ繋がる扉を閉めれば、簡単に涙が溢れた。
突然の雨のように泣き出す私を、手で優しくさすった。

24時間は、意外とたいしたことない事で削られていく。
朝が動き出し、今日の占いが流れている。
ぼんやりと朝礼を聞いた後、私は外回りに出る。
何も決まらない会議では、次に会議する日程を決める。
使い古したボロ雑巾のまま行われる長い

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【短編小説】鏡

女は、とある骨董屋で大きな鏡を見つけた。
どれくらい昔の代物なのか、楕円型の鏡の周りは華やかな彫刻のゴールドフレームで囲まれているが、ひどく年期が経っていた。

「そこのお嬢さん、鏡をお探しかね」

「あ、いえ。そうゆうわけではないのですが、この鏡は、不思議な存在感がありますね」

「ほほぅ、お目が高いですね。これは100年前、とある王室にあったとされている鏡なのです」

「そんな貴重なもの、なぜ

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【短編小説】博士の発明

その日、博士はえらく興奮していた。

「ついに、、、ついに完成したよ!!」

「博士、今度は何を生み出したんですか」

私は、いたって冷静だった。
博士は、鉛でできた4つの輪っかを見せてきた。

「なんですかこれは」

「これは、悩みが吹っ飛ぶ機械だよ!」

博士曰く、これを両腕と両足首につけると悩みが吹っ飛ぶらしい。

「うーん。それはまた、へんてこなものを作りましたね」

「いや、これはきっと

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【短編小説】幸せになるための道具

私は、この崖から落ちたらしい。

目覚めると、背中は濡れており、蔦が生い茂る岩の壁に挟まれていた。
隙間の幅は2メートルほどで、高さは、かなり高い。どこからか水が流れてきているのか、じゃりで覆われた地面は微かに湿っている。
どうやら、山の隙間に落ちたらしい。
起き上がると、ひどい頭痛がして、頭を抑えると、手のひらが赤黒く滲んだ。

「おーい、だれかーー、いないかーーー」

私の声は青い空を貫いて、

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【短編小説】不法侵入

私の勤めている会社の3階には、あまり使われていない空き会議室があり、週に何度か相談役の人が来ているという。
従業員のメンタルケアをするための福利厚生のひとつとして、最近導入されたらしい。

「おい、3階のあれ知ってるか?」

「あー、相談室ができたらしいな」

「お前、試しに行ってこいよ」

「いやぁ、別に相談することは無いのだが」

「なんでもいいだろ。自分のことでなくても、親のこととか」

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【短編小説】桜が嫌いな理由

ベランダから見えた桜は、とてもきれいだった。

彼はきっと、桜が嫌いだろう。
桜を見つけるたびに、私のことが頭をよぎっているに違いない。
私の名前に"桜"の字が入っていること。
毎年、桜が咲く季節には、2人で花見に出かけたこと。
いつか桜の木の下で、"ずっと一緒にいようね"と話していたことからそう考える。

彼と出会ったのは、大学の入学式だった。
多分、高校時代はそうでなかっただろう髪色の男性陣の

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【短編小説】ドミノ最強王決定戦

3月某日、1通の手紙が届いた。
開くと"ドミノ最強王決定戦"と書かれていた。 それは、ドミノ大会の招待状だった。

試合の不正を防ぐため、大会の内容について詳細は記載されていなかった。
よくある地域の大会だろう。
そう思い、概要を流し読みしていると、あるところで目がぴたりと止まった。

"優勝賞金1000万円"

この地域のどこに、そんな金が眠っていたのか疑問である。
そして、その金をこんな大会に

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【短編小説】桃源郷

本物の桜を見たのは初めてだった。
詳しくないのでよく分からないが、この甘い匂いは、小さな蕾をふりふりと揺らしている、この木からだろうか。

この道を見つけたのは、1ヶ月ほど前だった。
なんとなく、同じ道を歩くのに飽きた私は、いつも曲がる小道ではなく、ひとつ前の、より細い小道に入ってみることにした。

少し進むと、先を塞ぐように枝が広がっていたので掻き分けると、その先は道ではなく、ちょっとした広場の

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