とても大きな雲が青い空に浮かぶ、昼下がりの公園。 私は今日も、とある物を探している。 「んー、それにしても見つからないな」 私は、大学で生物学を専攻している。 子…
私は宇宙人である。 正確に言うと、私自身は宇宙人である自覚はないが、この星の生物たちは、外部の星で生きる生物を宇宙人と呼んでいるらしい。 私たちがこの星を発見し…
僕には最近、気になっている女性がいる。 あれは1週間前。生ぬるい風の中、河川敷を散歩している時だった。 「ありがとうございます」 そう言った彼女の瞳には、桜が映っ…
僕の彼女は、人を野菜や果物に例える癖がある。 彼女と初めて会ったのは、サークルの飲み会だった。 彼女は僕を見るなり「岡田くんって、玉ねぎみたいな人だね」と言って…
目が覚めると、一面に緑が広がり、その隙間から空を見つける方が難しいほどであった。 「ここはどこ」 女が起き上がると、横には額から血を流した恋人が、車の窓から半分…
すごく今更なのですが。 はじめまして、青いひつじと申します。 いつも、いいねやコメント、フォローありがとうございます。 読んでいただけて、本当に幸せです。 今日は…
「おぉっ!ゆう!めっちゃ久しぶりじゃね?」 「うわっ、けいか。突然大きな声出さないでよ」 けいは、同じマンションに住む幼馴染で、友人である。 最近のけいは部活で忙…
私の住んでいるこの第6地区は、まるでここだけが世界の終わりかのようだった。 第1地区から第9地区まであるこの町は、幸福の町と呼ばれている。 ただ第6地区だけは、様子…
自分のことなら、何度だって抱きしめてきた。 色のついた世界から、白黒の世界へ繋がる扉を閉めれば、簡単に涙が溢れた。 突然の雨のように泣き出す私を、手で優しくさす…
女は、とある骨董屋で大きな鏡を見つけた。 どれくらい昔の代物なのか、楕円型の鏡の周りは華やかな彫刻のゴールドフレームで囲まれているが、ひどく年期が経っていた。 …
その日、博士はえらく興奮していた。 「ついに、、、ついに完成したよ!!」 「博士、今度は何を生み出したんですか」 私は、いたって冷静だった。 博士は、鉛でできた4…
私は、この崖から落ちたらしい。 目覚めると、背中は濡れており、蔦が生い茂る岩の壁に挟まれていた。 隙間の幅は2メートルほどで、高さは、かなり高い。どこからか水が流…
私の勤めている会社の3階には、あまり使われていない空き会議室があり、週に何度か相談役の人が来ているという。 従業員のメンタルケアをするための福利厚生のひとつとして…
ベランダから見えた桜は、とてもきれいだった。 彼はきっと、桜が嫌いだろう。 桜を見つけるたびに、私のことが頭をよぎっているに違いない。 私の名前に"桜"の字が入って…
3月某日、1通の手紙が届いた。 開くと"ドミノ最強王決定戦"と書かれていた。 それは、ドミノ大会の招待状だった。 試合の不正を防ぐため、大会の内容について詳細は記載さ…
本物の桜を見たのは初めてだった。 詳しくないのでよく分からないが、この甘い匂いは、小さな蕾をふりふりと揺らしている、この木からだろうか。 この道を見つけたのは、1…
青いひつじ
2024年5月9日 15:31
とても大きな雲が青い空に浮かぶ、昼下がりの公園。私は今日も、とある物を探している。「んー、それにしても見つからないな」私は、大学で生物学を専攻している。子供の頃はよく、昆虫を探しに森へ出かけた。帽子がどこかに飛んでいったことにも気づかず夢中だった。初めて見る魚を捕まえようと川へダイブし、溺れかけたこともある。昔から大体のことは無頓着の私であるが、生物のこととなると、なんとしても自分
2024年5月6日 15:00
私は宇宙人である。正確に言うと、私自身は宇宙人である自覚はないが、この星の生物たちは、外部の星で生きる生物を宇宙人と呼んでいるらしい。私たちがこの星を発見したのは、今から5年前。研究員の1人が、宇宙空間を観測中に青い星を見つけた。なぜこんなにも青いのか調べてみると、それは海の青さだということが分かり、私たちはその星を海星と呼んでいた。さらに調べてみると、海星には、私たちとよく似た外見の
2024年4月29日 13:59
僕には最近、気になっている女性がいる。あれは1週間前。生ぬるい風の中、河川敷を散歩している時だった。「ありがとうございます」そう言った彼女の瞳には、桜が映っていて、まるで春を詰め込んだようだった。白いワンピースに、きれいな黒い髪を下ろしていた。もしこの世に天使がいたとしたら、こんな感じなのかもしれないと思うほど眩しくて、僕は思わず目を逸らしてしまった。落とし物を彼女の手に届けた瞬
2024年4月20日 22:41
僕の彼女は、人を野菜や果物に例える癖がある。彼女と初めて会ったのは、サークルの飲み会だった。彼女は僕を見るなり「岡田くんって、玉ねぎみたいな人だね」と言ってきた。僕は確か、言われたことの意味が分からず、2秒ほど固まった後に「それは、褒められてるのかな」と愛想笑いをした。仲良くなりはじめてから、あの発言はなんだったのか聞いてみたが、彼女は覚えてないと言った。ついでに、野菜や果物が好きなの
2024年4月14日 15:45
目が覚めると、一面に緑が広がり、その隙間から空を見つける方が難しいほどであった。「ここはどこ」女が起き上がると、横には額から血を流した恋人が、車の窓から半分身を乗り出すようにして、気を失っていた。「ちょっと、目を覚まして。起きて。ねぇ!」「んん、、、」女の涙交じりの声に、男は目を半分開いた。「よかった、、、意識はあるのね」女が持っていたハンカチで男の額の血を拭き取ろうと
2024年4月12日 14:22
すごく今更なのですが。はじめまして、青いひつじと申します。いつも、いいねやコメント、フォローありがとうございます。読んでいただけて、本当に幸せです。今日は、少しだけ自己紹介を。noteでは、短編小説を中心に書いていこうと思っています。読むのも書くのも、ホラー、恋愛、世にも奇妙な系が多いです。(サイコホラーとか大好物です、、、)小説は、星新一、宮沢賢治、田山花袋の作品が好きです。
2024年4月11日 14:38
「おぉっ!ゆう!めっちゃ久しぶりじゃね?」「うわっ、けいか。突然大きな声出さないでよ」けいは、同じマンションに住む幼馴染で、友人である。最近のけいは部活で忙しく、もうすぐ受験ということもあり、ここ数ヶ月、まともに会話していなかった。「帰んの?俺も」「あれ部活は?」「もう引退。夏の試合が終わって終了〜。今はひたすら受験勉強よ」「そっか、ウィンターカップは出ないって言ってたもんね。全
2024年4月8日 15:52
私の住んでいるこの第6地区は、まるでここだけが世界の終わりかのようだった。第1地区から第9地区まであるこの町は、幸福の町と呼ばれている。ただ第6地区だけは、様子が違った。昔は、この地区にも桜が咲き、小川が流れていたというが、今はその面影はなく、ガラクタのような工場が黒い煙を垂れ流し、空は一面、重たそうな灰色に覆われている。昔、この地区を襲ったのは正体不明の疫病と、災害だった。そして
2024年4月6日 15:38
自分のことなら、何度だって抱きしめてきた。色のついた世界から、白黒の世界へ繋がる扉を閉めれば、簡単に涙が溢れた。突然の雨のように泣き出す私を、手で優しくさすった。24時間は、意外とたいしたことない事で削られていく。朝が動き出し、今日の占いが流れている。ぼんやりと朝礼を聞いた後、私は外回りに出る。何も決まらない会議では、次に会議する日程を決める。使い古したボロ雑巾のまま行われる長い
2024年3月30日 13:57
女は、とある骨董屋で大きな鏡を見つけた。どれくらい昔の代物なのか、楕円型の鏡の周りは華やかな彫刻のゴールドフレームで囲まれているが、ひどく年期が経っていた。「そこのお嬢さん、鏡をお探しかね」「あ、いえ。そうゆうわけではないのですが、この鏡は、不思議な存在感がありますね」「ほほぅ、お目が高いですね。これは100年前、とある王室にあったとされている鏡なのです」「そんな貴重なもの、なぜ
2024年3月25日 14:31
その日、博士はえらく興奮していた。「ついに、、、ついに完成したよ!!」「博士、今度は何を生み出したんですか」私は、いたって冷静だった。博士は、鉛でできた4つの輪っかを見せてきた。「なんですかこれは」「これは、悩みが吹っ飛ぶ機械だよ!」博士曰く、これを両腕と両足首につけると悩みが吹っ飛ぶらしい。「うーん。それはまた、へんてこなものを作りましたね」「いや、これはきっと
2024年3月15日 15:46
私は、この崖から落ちたらしい。目覚めると、背中は濡れており、蔦が生い茂る岩の壁に挟まれていた。隙間の幅は2メートルほどで、高さは、かなり高い。どこからか水が流れてきているのか、じゃりで覆われた地面は微かに湿っている。どうやら、山の隙間に落ちたらしい。起き上がると、ひどい頭痛がして、頭を抑えると、手のひらが赤黒く滲んだ。「おーい、だれかーー、いないかーーー」私の声は青い空を貫いて、
2024年3月11日 12:43
私の勤めている会社の3階には、あまり使われていない空き会議室があり、週に何度か相談役の人が来ているという。従業員のメンタルケアをするための福利厚生のひとつとして、最近導入されたらしい。「おい、3階のあれ知ってるか?」「あー、相談室ができたらしいな」「お前、試しに行ってこいよ」「いやぁ、別に相談することは無いのだが」「なんでもいいだろ。自分のことでなくても、親のこととか」「
2024年3月7日 16:16
ベランダから見えた桜は、とてもきれいだった。彼はきっと、桜が嫌いだろう。桜を見つけるたびに、私のことが頭をよぎっているに違いない。私の名前に"桜"の字が入っていること。毎年、桜が咲く季節には、2人で花見に出かけたこと。いつか桜の木の下で、"ずっと一緒にいようね"と話していたことからそう考える。彼と出会ったのは、大学の入学式だった。多分、高校時代はそうでなかっただろう髪色の男性陣の
2024年3月1日 15:02
3月某日、1通の手紙が届いた。開くと"ドミノ最強王決定戦"と書かれていた。 それは、ドミノ大会の招待状だった。試合の不正を防ぐため、大会の内容について詳細は記載されていなかった。よくある地域の大会だろう。そう思い、概要を流し読みしていると、あるところで目がぴたりと止まった。"優勝賞金1000万円"この地域のどこに、そんな金が眠っていたのか疑問である。そして、その金をこんな大会に
2024年2月23日 21:21
本物の桜を見たのは初めてだった。詳しくないのでよく分からないが、この甘い匂いは、小さな蕾をふりふりと揺らしている、この木からだろうか。この道を見つけたのは、1ヶ月ほど前だった。なんとなく、同じ道を歩くのに飽きた私は、いつも曲がる小道ではなく、ひとつ前の、より細い小道に入ってみることにした。少し進むと、先を塞ぐように枝が広がっていたので掻き分けると、その先は道ではなく、ちょっとした広場の