イタリア郷土料理のお話・ウンブリア州
見出し画像

イタリア郷土料理のお話・ウンブリア州

久しぶりの「イタリア郷土料理のお話」。
今回は、イタリア中部で、海に面していない地域・ウンブリア州(Umbria)
ついてみていきます。

レシピ集でも、いくつか郷土料理をご紹介していますので、併せて、理解を深めていきましょう。


******************

1)ウンブリア州(Umbria)について

画像1

  州都:ペルージャ(Perugia)
イタリアの中心部にあり、イタリアの緑のハート(Cuore verde d’Italia)と
呼ばれるほど、緑豊かで、森の恵みを受けている地域です。
東に接するマルケ州(Marche)との間に、イタリアの背骨・アペニン山脈が
南北に走り、海に面していませんが、イタリアで4番目に大ききの湖・
トラジメーノ湖(Lago do Trasimeno)があります。

点在する古代エトルリア時代の遺跡や、美しい建築物が多く、それも観光する時の魅力のひとつです。


画像2

ウンブリア州
「イタリア地方料理の探求(柴田書店)」より、引用


2)州都:ペルージャ

都市としての歴史は古く、紀元前、エトルリアー古代ローマ時代に誕生したと言われています。
小さな渓谷の尾根に広がり、その中心部でもある歴史地区は、今もなお
エトルリア時代の城壁で囲まれています。

画像3

歴史地区を囲む城壁
(Mura che circondano il centro storico)

画像4

11月4日広場にあるマッジョーレ噴水
(La fontana maggiore in Piazza IV Nobembre )


エトルリア時代の宗教と行政の中心でもあった11月4日広場には、
13世紀後半に造られた、街のシンボル・マッジョーレ噴水が、目を引きます。

100年近い歴史がある公立の外国人大学もあり、留学生が多く、
また、秋の開催されるチョコレート祭りが有名で、この時期は、ペルージャへの道は、大渋滞。
多くの人が訪れます。
郊外には、「チョコレートホテル」なるものもあります。

☆ チョコレートホテル


*******************


ペルージャ以外にも、訪れたい街があります。

丘の上にある、巡礼地でもある聖地・アッシジ(Assisi)

画像5

丘の上にあるのが、アッシジの街(Assisi)

13~14世紀に、建立・増築のサン・フランチェスコ大聖堂が迎えてくれます。
訪れるたびに、心が洗われるような空間です。

画像6

サン・フランチェスコ大聖堂
(Basilica di San Francesco d'Assisi)


緑に囲まれた丘の上にあるスポレート(Spoleto)は、夏に開催される
音楽フェスティバルが有名です。
穏やかで小さな町が、一気に活気づき、賑わいます。

画像7

スポレートの大聖堂
(Duomo di Spoleto)


サラミ・ハムの加工の発祥の地と言われる町・ノルチャ(Norcia)
肉加工職人のことを「ノルチーノ(Norcino)」、加工品を扱う店を「ノルチェリア(Norcieria)」と呼びます。
小さな町ですが、魅力的です。

画像8

ノルチェリアが並ぶ、ノルチャの町
(Norcia)


ワインの名産地としても有名なオルヴィエート(Orvieto)も、訪れたい場所のひとつです。
私は、まだ訪れたことが無く、ご紹介できる街の写真がないのが残念です。

画像9

オルヴィエート産の白ワイン
(Vino bianco di Orviate)


忘れてはいけないが、トラジメーノ湖(Lago di Trasimeno)です。
面積128㎢、イタリア国内4番目の大きさで、湖岸周辺は、穏やかで、人口も少ないため、穴場のリゾート地として愛されています。

北側の街・パッシニャーノ(Passognano)
南側の街・カスティリオーネ・デル・ラーゴ(Castglione del Lago)
観光の中心地です。

画像10

トラジメーノ湖
(Mappa「Trasimeno2010」より引用)

画像11

カスティリオーネ・デル・ラーゴから眺める、湖畔
(In riva al lago da Castglione del Lago)

紀元前217年、カルタゴの将軍・ハンニバルが、
この湖周辺で、ローマ軍に罠をはり、大勝した歴史があります。
その時の戦いでは、多くの死者が出て、この湖が赤く染まったとか。
真偽のほどは分かりませんが、実際に、その戦いが由来だと言われる
2つの地名、サングイネート(サングエ=血)、オッサイア(オッソ=骨)
あります。


ウンブリア州・滞在記は、下記から、ご覧頂けます。


*******************

3)ウンブリア州の料理の特徴

海に接していないウンブリア州。
湖、川から獲れる淡水魚は食べられますが、メインは、肉類、山の幸
豆類、きのこ類等も使われ、素朴な郷土料理が多いです。

アーモンド、クルミ等の木の実類も産地でもあり、料理、デザートにも使われます。

良質なオリーブオイルも量産、美味しいワインも造られています。
また、有名なチョコレートメーカーもあります。

それでは、それぞれ、見て行きましょう。

******************

  ① 肉類・加工品

牛、豚、鶏肉、そして、他の地域でも食べられている、羊、猪、鳩など。
また、キジ、鹿などのジビエ(野禽獣)も使われ、ロースト、煮込み等、
シンプルな料理法で食べられています。

ハム、サラミ等の肉加工品の発祥の街・ノルチャを有するだけあり、
それらの種類も多く、内臓を使ったサラミ、レバー料理も食べられています。

画像12

イノシシの煮込み
(Umido di cingiale)

画像13

鳩のグリル
(Griglia di piccione)

画像14

ノルチャ風アンティパスト
(Antipasto di Norcia)



  ② 魚料理

湖、川周辺では、淡水魚類(うなぎ、鱒(マス)、鯉、カワカマス、
ザリガニ等)
が食べられていて、魚卵も使われています。

私は、トラジメーノ湖で食べた魚料理が印象的でした。
特に、鯉の卵は、初めての経験。
その美味しさに、驚きました。

画像15

鯉の卵のブルスケッタ、ザリガニとねぎのソテー
(Bruschetta con uova di Carpa e Porri e gambero di fiume)

画像16

鯉の卵とトマトのリングイネ
(Linguine con uova di carpa e pomodorini)

画像17

うなぎの串焼き
(Spiedini di Anguilla)

画像18

鯉のポルケッタ&レンズ豆の煮込み
(Porchetta di Carpa & lenticche cotte)


☆トラジメーノ湖での食事の様子は、こちらからご覧頂けます。


  ③ パスタ・スープ類

卵が入らない手打ちパスタ・ストリンゴッツィ(Storingozzi)が食べられています。

画像19

きのこのストリンゴッツィ
(Storingozzi con salsa di funghi)

画像20

黒トリュフのストリンゴッツィ
(Storingozzi al tartufo)


トスカーナ州でも、卵なしパスタ・ピチ(Pici)が食べられています。
ピチは、手で伸ばして成型するので、マシーンで仕上げるストリンゴッツィ
より、太麺になるのが特徴です。


  ④ 食材

ウンブリア州と言えば、トリュフ(Tartufo)の産地としても有名です。
基本的に、通年、使用され、加工品も造られています。

画像21

白トリュフ & 黒トリュフ
(Tartufo bianco e tartufo nero)

画像22

黒トリュフソース
(salsa tartufata)


「豆食い」と言われるトスカーナ州同様、豆類を良く食べます。
その中でも、レンズ豆(lenticche)は、よく登場する豆のひとつで、
煮込み、スープなどに使われます。

画像23

食材店の店頭に並ぶ豆類

画像24

レンズ豆と野菜のスープ
( Zuppa di lenticche e verdure )


  ⑤ デザート類&チョコレート

栗、くるみが多く採れるので、デザートにもよく使われます。
また、アーモンドペースを使った焼菓子も多く作られています。
特に、くるみは、小さなレシピ本がある程です。

画像25

トラジメーノ湖畔で購入した、くるみのレシピ本
(Ricettario di Noci)

画像25

チャンベッラ・サンタ・キアーラ & ロッチャータ
(Ciambella Santa Chiara & Rocciata)

画像26

ロールケーキ & くるみリキュール「ノッチョーラ」 & はちみつリキュール
(Salame di Re` &  Nociolla  &  idromiele)


そして、忘れてはならないのが、チョコレート
ペルージャ郊外にも、チョコレートホテルがあることをお話しましたが、
有名なチョコレートメーカーがあります。

それは、ペルジーナ社(Perugina)
日本でも、「バーチ(Baci)」という商品が入荷しています。
涼しくなる秋から冬にかけて、よく出回りますので、是非、チェックしてみて下さいね。


そして、ペルージャを訪れたら、是非、足を運んで頂きたいお菓子屋さんがあります。
1860年創業の
「パスティッチェリア・サンドリ(Pasticceria SandriSandri)」です。
       (2021年9月末現在、コロナの影響で臨時休業中)

ここで、ホットチョコレート(Cioccolata)を、是非、飲んで頂きたい。
濃厚で、美味しいですよ。

画像27

チョッコラータを注いでくださるバリスタさんと記念撮影

このお店には、アーモンドペーストを使ったウンブリア州の伝統菓子トルチリオーネ(Torciglione)も置いてあります。
こちらも、是非、チェックしてみて下さいね。

画像29

トルチリオーネ(Torciglione)
「イタリアの地方菓子(料理王国社)」より、引用

  ⑥ チーズ

羊乳チーズ(ペコリーノ:Pecorino)が、多く造られています。
チーズの歴史は古く、紀元前3000年頃には、すでに、エトルリア人が、
羊の飼育をし、乳からチーズを作っていたと言われています。

画像28

ペコリーノチーズ盛り合わせ
(Pecorini misti)

  ⑦ ワイン&食後酒

オルヴィエート(Orvieto)の白ワイン、
モンテファルコ(Montefarco)の赤ワイン等をはじめ、多くのワイン、
リキュール、食後酒が造られています。
お料理、デザートにも使われます。

画像29

赤ワインのリゾット
(Risotto al vino rosso)


画像30

自家製くるみのリキュール
(Nocino fatto in casa)

画像31

食後酒 フラ・サント
(Fra Santo)

  ⑧ オリーブオイル

良質のオリーブオイルの産地でもあります。
青みがかっている色も特徴のひとつで、出来たてのホヤホヤの
「新オリーブオイル」は、フルーティな、青リンゴのような香りもします。

画像32

画像33

オリーブオイルの木々(トラジメーノ湖畔にて)
( Alberi di olive a Lago Trasimeno )


ウンブリア州のオイルメーカー「ピエトロ・コルチェッリ社」の
新オリーブオイルは、毎年、年末年始の楽しみ。
青っぽさ、青りんごの風味を、強く感じられる一品です。

画像34

新オリーブオイル(Olio di oliva novello)
アルドイーノ社(リグーリア州:左)  ピエトロ・コルチェッリ(右)

☆ピエトロ・コルチェッリ社HP


オリーブの木を使った器具類も魅力的です。
木目が、しっかりと見え、それが、デザインとしても生きています。
とても丈夫で、よく使えます。

画像37

オリーブの木の板&木べら
(Tagliere in legno d'ulivo, spatola in legno)


  ⑨ その他

サフラン(Zafferano)の産地のひとつです。
他に、アブルッツォ州、サルデーニャ島でも、作られています。

画像35

サフラン(Zafferano)
(「Guide d’Italia Abruzzo」より引用 )

画像36

トリュフのフラスカレッロ・サフラン仕立て
(Frascarello con tartuffo allo zafferano)

フラスカレッロも、ウンブリア州の手打ちパスタのひとつです。
米粒ほどのもので、リゾットのようですが、食感は、やはりパスタでした。


*******************

いかがでしたか?
中部イタリアらしい食文化が残る、ウンブリア州。
最近、テレビ等でも特集されている街もあり、今後、注目の地域です。
これを機に、興味を持って頂けると嬉しいです。

引き続き、イタリアに関する情報を、様々な形で、お伝えしていきます。
これからも、どうぞよろしくお願いします。

定期購読マガジン「オフィスアルベロ・レシピ集」でも、
各地の郷土料理を、ご紹介していきますので、是非、ご覧ください。


********************


これまでの、「イタリア郷土料理のお話」は、こちらから、ご覧頂けます。

☆ ヴェネト州のお話


☆ リグーリア州のお話


☆ フリウリ=ヴェネツィア・ジューリア州のお話

この続きをみるには

この続き: 0文字
この記事が含まれているマガジンを購読する
料理教室16年目。(料理の仕事30年) 毎月、レシピ4記事(水曜日 or 木曜日予定)+ α(不定回数:レシピ&食材&食文化等について)を掲載。 購読後は、2020年1月からのマガジン内の「無料記事」は、全てご覧頂けます。

料理脳を鍛えよう! レシピは、料理の謎解き本。食文化もお伝えします。 男女問わず、料理好き&イタリア好きの皆さまに、 日々の食卓に活用で…

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
食の工房オフィスアルベロ【イタリア料理教室 in 神戸】

お読み頂き、ありがとうございます。 サポート頂ければ、心強いです。

Grazie!ありがとうございます!🍀
イタリア郷土料理研究・レシピ作家。🇮🇹 コックとして現地で修行。大好きなイタリア全20州を巡った旅行記&活動、美味しい情報を記録として綴ります。 定期購読マガジン「レシピ集」もスタート。 仕事依頼、問い合わせ等は、こちらまで→ info@albero-cooking.com