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詩・作詞

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#詩

【詩】生き直し

【詩】生き直し

朝日が昇る
ゆっくりと
変わらずに
街の輪郭が
くっきりと
浮かんでく
まだ昨日から抜け出せず
まだ昨日すらひきずったまま
起きなきゃ
今日に乗り遅れぬよう
なのに時が止まる
生まれ変われるなら
生まれ変わりたい

でも
生まれ変われないから
わたしは生き直す
生き直すことならできるでしょう

月が顔を出す
ゆらりと
変わらずに
街の瞼が
ぼんやりと
霞んでく
まだ今日の真ん中で
まだ今夜に追い

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【詩】異国人

【詩】異国人

オーストラリアのトニーはどうしてメリーポピンズを例えに出して笑っていたのだろう
何を言っているのかなんとなくわかるのにどうしても言葉で答えられない
大きなスナック菓子の自動販売機がペプシブルーにてかっていた校舎の隅に
白塗りの道化師に扮した女子たちにいつの間にか囲まれて僕はとりあえず笑った
脂身のないステーキ肉が病みつきになるほど美味しくて生まれてはじめて3枚食べた
冬の空と雲と絵になる金髪の少年

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【作詞】君がいる

【作詞】君がいる

畳で眠る16の君がいる
腹をわずかに収縮させ
呼吸を確かめる夜
何年か前より少し小さくなって
今 君は生きている
僕の目の前に君がいる

君が生きている今
この気持ちを残しておきたくて
いなくなってしまったら
もう二度とこの気持ちは残せないから

僕が後悔から学んだことは
これまでそれは失ってから残したこと
悲しみは深く ただ一色で
無理に明るく強がった
空回りのことばが並んでいた

失ってからで

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【詞】ふたたび

【詞】ふたたび

今はわからなくていい
ただ聞いてくれるだけでいい
そして忘れるくらい時間が過ぎて
ふたたび思い出して

そのときなにを感じるか
考えて理解して動いて
自信はないけれど
伝えておきたい

眠る前 いつものように
反省するかもしれない
それでも生まれた素直な思いを
ことばで託したい

今はわからなくていい
わかるものではないから
自信はないけれど
伝えておきたい

このことばがあなたの中に
埋められて

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【作詞】青い華

【作詞】青い華

青い華 黙って咲いた
弱くてごめんなさい
わたし ぽつりつぶやいた
冷たい雨の中

すれ違うと会話が一瞬止まるの
わたしの歩き方そんなに可哀想?
気まずくてね 堪らなくてね
なるべく裏道選ぶんだ
遠くでこどもの遊ぶ声がしたり
たまたま風の通り道だったり
本当 わたし しあわせ

青い華 頭を下げた
馬鹿でごめんなさい
わたし以外気づかれず
静かに風に揺れ

あんなに美味しそうに飲むじゃない
わたし

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【作詞】ひとりじゃない

【作詞】ひとりじゃない

寂しいですか あなたは今
わたしも同じ気持ちでいます
見えていますか 同じ月
わたしは足を止め見上げてます

毎日汚れた音や言葉が胸を傷めます
そのたび耳を塞いで世界遮ります

今 静かにイヤホンを外します
弾けて散った星の花火
流すなら 輝く涙を
溢れるままに 解き放ち 
ともに 空に還しましょう

届きましたか あなたへの手紙
何を書いたか覚えてません
伝わりますか この想い
わたしはずっと大

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【詩】麦の海

【詩】麦の海

「麦の海」
青い麦苗が気をつけしている
畑に降り注ぐ水の鏡
小さな体で空に挨拶をする
風は優しく遊んでくれる
お日様を掴もうとする小さな手
水の月に生まれた命よ
路をひらいて澄み渡れ
麦の海の煌き
いつかこのカメラのレンズで望むから
大きな手と温かな手に守られて
麦は恵みに満ちた粒を育む
よどみのない鮮やかな水は
いつか黄金に輝く雲となる
あなたは希望の雨になる

2024年5月8日放送回の『ピア

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【作詞】夜よ

【作詞】夜よ

翳りゆく部屋 ひとりなんて
慣れてしまった もう今では
窓の隙間から 吹いてくる
頬を冷やす 涙の轍

星よ 自由になりたい
この身 こころ すべてを
星よ ひとつになりたい
今は どんなに 離れていても

タオルにくるまった 夜の闇に
とけて消えれば 楽なのかしら
伏せてから季節は 移り変わり
写真のあなた 口を塞いだ

月よ 声をきかせて
耳に 胸に 届けて
月よ 影を伸ばして
生まれ かわれ

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【詩】ぶっ

【詩】ぶっ

ぶっ叩く
ぶっ潰す
ぶっ放す
ぶっコロす
ぶっ刺す
ぶっかける
ぶっとばす
ぶっちぎる

ぶっ
それだけなら
間抜けなのに
頭にくると
物騒な
ぶっ

【短い詩】10代ノート

【短い詩】10代ノート

紙のノートを整理していたら10代で書いていたあれやこれやが出てきました。
その内のひとつがこちらです。
なんかのおみやげ?だったかのポストカードが引き出しにあったと記憶しているのだが、それを貼って言葉をつけてみようと当時の僕が書いてたようです。
あ、やっぱり昔っから書くのが好きだったんだ。

ポストカードに著作権?的なものがあって指摘されたら削除しますが何事もなければこのままにしておこうかなと。

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【詩集家路より朗読動画未収録詩】風に揺れるミモザ

【詩集家路より朗読動画未収録詩】風に揺れるミモザ

プラチナの琴線
なめらかにしなやかに
細い指をすべらせる

五線譜がせせらいで
窓の外の小川になった

懐かしい温もり
サイフォンで淹れた珈琲
集う軽やかな音符たち
あなたの織りなすめぐりあわせ
だからここはいつでも微笑みで満ちている

絆に愛を
永く咲きますように
あなたの笑顔は
風に揺れるミモザ

五線譜が会いたがって
目には見えないメロディー

郷愁を誘う温もり
微笑みを織り機で紡いで
糸と

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【詩】ぽっちとぼっち

【詩】ぽっちとぼっち

ひとりぽっちはさびしいな

ひとりぼっちもさびしいな

これっぽっちのひとりぽっち

おいてけぼりのひとりぼっち

ひとりぽっちでくちぶえふいて

ひとりぼっちのいえじのとちゅう

ぽっちはそらをみあげてないている

ぼっちもつまさきみつめてないている

ぽっちとぼっち

どうかかおをあげて

よぞらにくもがなかったら

おつきとおほしがかがやいて

まどからひかりがさすでしょう

きみのそばから

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【詩】昼休み

【詩】昼休み

いっせいに仕事の手を止め

連れ立って歩く大人たち

チャイムが鳴って机を合わせるこどもたち

いただきますと一緒に食べる昼休み

あまった時間をどう使おう

限られてるから貴重だった昼休み

そんな昼休みが

今のわたしにはない

わたしの遅れた昼休み

列にも並ぶこともない

座りたい席を選べる

今日もいつもの席に座る

おくれて厨房から

女将さんのいらっしゃいませ

白い前掛けで手を拭き

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【詩】最後の微熱

【詩】最後の微熱

声変わりの赤道を越える夜

骨は濁音を鳴らして伸びる

第二次性徴期の微熱

脳が茹で上がったせい

あの夜鍵をかけたのは

包丁握った大人が

寝てる私を

刺しにくると

怯えていたから

第二次性徴期の微熱

少年の心が壊死をした