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日本経済を分析するためのノート(12)
次に規制緩和が進まないことが日本経済の停滞をもたらしているという議論について考えてみましょう。
諸々の規制を緩和して自由な競争を実現することが、経済活動に活力を与え経済成長を促す、といった考え方です。
これはあまりに安易な考え方です。というのも、競争は生産の効率化へのインセンティブを促すだけでそれを実現するわけではないからです。
生産の効率化は生産そのものの技術性を上げなければ実現されません。その
日本経済を分析するためのノート(11)
労働生産性とGDPについて具体的に見てみましょう。
下図は2005年から2013年までの労働生産性の平均値を要因分解したものです。
このグラフから当時の日本では次のようなことが起こっていたと推定できます。すなわち、
生産を効率化したが、需要が増えずに価格を下げ労働投入量も減らしたため、得られた付加価値(名目GDP)が減り、労働生産性は変わらなかった。
しかし物価全体が下がったため、その分実質労働
日本経済を分析するためのノート(10)
さて、きわめて粗っぽく日本経済の構造をまとめてみましたが、こうした見方を補足するために二つの考え方について考えてみることにします。
その一つは、日本経済の停滞は労働生産性の上昇が停滞しているためであるというとらえ方です。そしてもう一つは規制緩和が進まないのが停滞をもたらしているという考え方です。野口氏の著書においてもこうした見解がしばしば見られます。
まず、日本経済の停滞は労働生産性の上昇が停滞
日本経済を分析するためのノート(8)
③政府支出の経済構造への組み込み
三つ目の特質は政府支出のGDPに対する割合が大きくなっていることです。
2019年の時点で見ると
日本:39.2%
米国:38.5%
ドイツ:45.0%
となっています(出所:内閣府、OECD)。
1960~64年平均では、日本14.9%、米国28.7%、西独34.4%
1990年は日本27.6%、米国37.7%、ドイツ(1991年)46.5%でした(出所:OE
日本経済を分析するためのノート(7)
②第三次産業中心の経済構造
現在の先進諸国経済の第二の特質として産業構造が第三次産業中心になっていることがあげられます。
GDPにおける割合では
日本:第一次産業1.2% 第二次産業26.6% 第三次産業72.2%(2018年)
米国:第一次産業0.8% 第二次産業18.2% 第三次産業79.0%(2019年)
ドイツ:第一次産業0.9% 第二次産業30.5% 第三次産業68.6%(2018年)
日本経済を分析するためのノート(1)
野口悠紀雄氏の『プア・ジャパン』という本を読みました。
野口氏は早くからアベノミクスについて、マネタリーベースを増やしてもマネーサプライが増えていないことを指摘して──つまり日銀券を大量に市場に出しても流通しなかったということ──アベノミクスが失敗であったことを明らかにしてきた方です。
しかしこの野口氏であっても、今後の日本経済の活性化のためには労働生産性の高いIT産業を興隆させればよいと、あの竹
【フィギュアスケート報道に一言申す:とくに男子シングルに限って】
いまだに「プロ転向」した羽生結弦氏(ご本人は「引退」とは言いませんでしたが、要するに現役アマチュア選手を辞めるということでしょう)を押し立てて、「英雄が去った」「シン・フィギュア」(フジテレビ)などと番宣をつくり、現役選手の紹介にも─本人の意思とは無関係に─彼の話題を突っ込む放送・報道姿勢。これは、今現に自らを研鑽している現役の選手たちを不当に貶めるものでしかないと思います。
また、ふつうに