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日本経済を分析するためのノート(13)

もう一つ、これは小泉内閣の頃から盛んに言われてきたことですが、規制緩和によって市場原理が働き生産性の低いところから高いところに労働が移動して全体の生産性を高めるという議論について考えてみましょう。
竹中平蔵氏などを先頭にしてこのようなことが言われてきましたが、じっさいのところは第二次産業の従業者が減り、第三次産業の従業者が増えています。第二次産業の方が明らかに生産性が高いにもかかわらず。
さらに第三次産業の中身についてみてましょう。
下のグラフは、第三次産業の2000年から2020年までの産業別の労働生産性の推移です。

出典:厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/21/backdata/column02-02-01.html

情報通信業が圧倒的に高くなっています。
そして次は2002年から2023年の産業別の就業者数の推移です。

「労働力調査 長期時系列データ 第12・13回改定日本標準産業分類別就業者」
〔政府統計の総合窓口(e-Stat)(https://www.e-stat.go.jp/)〕より加工して作成

労働生産性の「保健衛生・社会事業」の内訳は「医療・保健、介護、 (政府)保健衛生、社会福祉 (非営利)社会福祉」ですから就業者数の「医療・福祉」と同じです。

これを見ればわかるように労働生産性の低い「医療・福祉」の増加がきわめて大きく、「情報・通信」はわずかしか就業者数が上がっていません。
どう見ても、労働は労働生産性の低い方から高い方に移っているとは言えません。これは種々の規制のためとも言えないでしょう。
部門別の就業者の割合は、少子高齢化社会の到来という社会構造の変化とそれに伴う社会的需要の変化、海外生産のできる製造業とできないサービス業の違い、資本集約型か労働集約型かという産業の特質などによって決まっていると言えるでしょう。

2023年時点の産業別雇用者の割合は
製造業 16.8%
卸売業・小売業 16.0%
医療・福祉 14.5%
建設業 6.6%
宿泊業・飲食サービス業 5.7%
運輸業・郵便業 5.5%
情報通信業 4.2%
となっており、
労働生産性が「卸売業・小売業」以下の産業部門で48.3%が占められています。

つづく

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