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My Eternal Flame

新宿・歌舞伎町。全ての愛、全ての憎しみを心から身から隅々まで教えてくれた街。人を欲望のままに愛し、人を呪いたいくらい嫌いになった相反する5年間だった。私の身も心も愛し尽くした者、痛めつけた者、死を過ぎらせた者、努力することを教えてくれた者、お金の稼ぎ方を教えてくれた者。そんな5年間で出逢った全てのホストに感謝したい。

靖国通りから見える区役所通りは、とてもとても欲望にまみれている。区役所通りに入ると、まるで欲望の渦に巻き込まれたように、心身共にコントロールが効かなくなる。職安通りから見える区役所通りは、如何に異世界かのように歪んでいるのかを物語っている。自分はこんなところに5年もいたんだなと。よく頑張って生きてこられたなと。その長い長い真っ暗なトンネルを抜けて、改めて過去の様々な出来事の重みに気付いたのだ。

2023年5月13日。歌舞伎町という欲望にまみれた街が、もう自分の居場所じゃないと明確に悟った日。今年に入って初めて、あることがキッカケでホストクラブに足を踏み入れた。最初は、半年ぶりに行くホストクラブに足がすくむ程、緊張していた。区役所通りを目の前にするだけでも発作が起きそうで、交差点手前の空き店舗の中で小一時間も行くかどうか悩んでいたのである。かつて、週5回はマストで足繁くホストクラブに通っていた私にとっては、衝撃的な光景であった。

そして、店内に入った瞬間、そこは既に私にとって異世界になっていたのだ。店内もホストもお客の雰囲気も、鳥肌が立つくらいに全ての色欲が剥き出しになっていた。それは、まるで、「青春カブキテウ」という長尺フィルムが半年前までの私を目の前に映し出しているような感覚だった。半年前までの私にとったら、ホストクラブはディズニーランド同様に、ドーパミンが出まくりな夢の国であった。そして、半年ぶりに訪れると、最初は私が変わったのか、開けた扉がランダムにパラレルワールドに変わっていたのか、冷静な判断ができない程に異様な空間になっていた。しかし、そこが異世界だと思えたことが自分の成長の証であると悟った。そんな異世界は、架空の長尺フィルムを通して成長の尺度を教えてくれたのである。

自分がどれだけ成長できたのか、どれ程までに稚拙だったのかを痛感することができ、なんだか嬉しくなった。そう思った瞬間、まだ終わりの時間が来ていないのに、お金だけを置いて騎虎の勢いでお店を飛び出した。本当に私は歌舞伎町から卒業できたんだ。少女のようにウキウキした気分で、心の中でスキップをするように区役所通りを駆け抜けた。その区役所通りは、つい1時間前に通ったそれとはまるで違って見えた。発作を起こしそうなくらい歪だった通りが、一瞬にしてオーロラを纏ったように鮮やかに見えた。そして、全ての愁いの垢を落とし、そのオーロラの中に翼を生やして飛び込んだ。

その帰りの電車内、BANGLESの"Eternal Flame" を聴き、隠れた笑みと同時に少しの涙が溢れてきた。それ程までに、その日の喜びは感に耐えたのだ。

I believe it's meant to be, darling
I watch you when you are sleeping
You belong with me
Do you feel the same? Am I only dreaming?
Or is this burning an eternal flame?

Say my name
Sun shines through the rain
A whole life so lonely
And then come and ease the pain
I don't want to lose this feeling, oh

私の青春の全てだった歌舞伎町。この歌詞が私の5年間の青春を凝縮して代弁してくれている。5年間が四半世紀にも感じるくらい、とてもとても長かった。なぜなら、歌舞伎町での3ヶ月は、歌舞伎の民には1年という暗黙の単位で捉えられているからだ。時空も空間も情愛も全てが異次元な街。それが歌舞伎町なのだ。生きること、愛すること全ての青春、"Eternal Flame"を教えてくれたのも歌舞伎町だった。

私を見つけてくれてありがとう。私と出逢ってくれてありがとう。大好きで、大嫌いだった担当ホストたちへ。

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