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未来ジョブ理論:ジョブ理論を発展させた未来のサービスを生み出す理論

未来ジョブ理論(遠未来ジョブ理論)

未来ジョブ理論は、ジョブ理論を発達させ、先の未来において必要な需要やサービスを考える理論である。

未来ジョブ理論では、『①究極化②究極統合(限界集約化)③根本否定』の三つの共通部分によってジョブ理論の『顧客がちょうど片付けたいと思っているジョブ』の最深部を探す。通常のジョブ理論がちょうど今の顧客の潜在需要を焦点にしているのに、対し未来ジョブ理論では現在〜未来の顧客の潜在需要や、最終的な顧客の需要の行き着く先を見つける。

ジョブ理論の具体例

具体的に使っていく。リモートワークであれば、通勤をしなくて済むというジョブの解決をしており、そこには満員電車による疲れる通勤の解消(→他の解決策・フレックスタイム制)などが含まれている。

また具体的で独自のジョブを発見し、これの解決を行うことで競争を回避するのがブルーオーシャン戦略であると言える。この独自のジョブを作るには4P・6P分析などを具体的に行なって、ターゲットを明確にして具体的にしていく。

リモートワークでは広くて競合は多いが、『新宿駅の朝の時間帯の混雑を回避するための適切な電車到着時間を調べるITソリューション開発』といった形で細分化できれば、具体的な付加価値を生み出せるようになる。

このようにジョブ理論は事業を行う上で欠かせない理論であり、顧客がちょうど片付けたいジョブを発見することで課題解決型サービスを提供することができる。

未来ジョブ理論の実行①究極化

そこで、未来ジョブ理論をリモートワークに使ってみる。まずリモートワークの究極化を行う。リモートワークが究極化するということは100%リモートワークになることを意味する。

すると起こることは、「家かサードプレイスで仕事をする。会社のオフィスが消滅する。通勤が消滅する。社宅が消滅する。サードプレイス職場サービスが生まれる。会社の地域での壁が一切なくなる。世界中に仕事を発注できる」などである。

未来ジョブ理論の実行②究極統合(限界集約化)

このフェーズではどのサービス、製品、部品などが消滅するか、コンパクトになるかを示す。

リモートワークは「通勤(定期券、自動車→ガレージ・駐車場、電車、バス→燃料)、オフィス(会社のデスク)、社宅、家賃補助、現場会議、飲み会」などを減らしたり、無くしたり、消すことができる。このうち、究極化と合致する部分が得にリモートワークに置き換えられる。究極化を先に考えておくことで、簡単にこの統合フェーズを考えることができる。

このうち特に統合できることが多いサービスについてはより拡大しやすい(逆に言えば目をつけられやすく、独自化が難しい)。具体的には電気自動車やスマートフォンなどである。

未来ジョブ理論の実行③根本否定

次が根本否定フェーズだ。ここがかなり重要で、これこそが未来ジョブ理論の真価を発揮する。

リモートワークを根本否定するとすれば、『現場で集まって対面で仕事をすることに価値がある』となる。

現場で集まることで、『集中力を高めることができる、よりビジョンを共有できる、対面なのでより深く意識に残る、対面として仕事をするUXを生み出す、創造性が豊かになる、通勤分は運動できる』といったメリットがあるだろう。

これにより、逆にリモートワークの真価を見極めることができるのだ。

未来ジョブ理論の実行④ ①〜③を統合する

そこで③を解決しながらも①②も達成する方法を検討する。①②では通勤・オフィス・社宅・家賃補助を消滅させる。しかし、③で対面・現場で仕事をする価値はあることが確認された。

ということは、必要な時だけ対面・現場集合するが、それ以外は全てリモートにして、通勤・オフィス・社宅・家賃補助は無くすという流れになる。

となると、ここから導き出されるのは『社員が必要な時だけ集まるサードプレイス』である。常駐のオフィスから、臨時のサードプレイス型オフィスに転換するのだ。

すると、リモートワークに対する未来ジョブ理論の答えは、『臨時のサードプレイス型オフィス』になる。

それから、創造性などを高めるといった観点と、自然に触れ合うと創造的なるという観点から、自然公園のオフィス化や、キャンプ型オフィスなどのアイデアも生み出される。

すると、自然サードプレイス型オフィス事業がこれでアイデアとして生み出された。

少しはこうした動きはあるものの、確かにまだ世の中でこの新たなサードプレイス事業は中心になっていない。

なので、公園などと交渉してこの事業を行うとすればスタートアップを作ることができる。しかも、このソリューションはジョブ理論によって下支えされているので、需要を期待することができ、しかも未来に進むほど事業拡大性があることも分かるのだ。

これを既存事業や、新規事業に対して行なっていくことで、ある程度未来を予想することもできるし、ジョブ理論に支えられた新たな新規事業を生み出すこともできるのだ。

ジョブ理論では今のジョブを解決するので、他の競合への不安が大きいが、未来ジョブ理論では未来のジョブへのソリューションなので、競合が少ない。仮に出てきているならば、その事業に対して未来ジョブ理論を使えばいい。

未来ジョブ理論の注意点

このようにイノベーティブな新規事業の創造に大きな力を発揮する未来ジョブ理論だが、注意点が一つある。

それはタイミングまでは読めないという点だ。今回考案したサードプレイス事業であれば、そもそもリモートワークが拡大するのは事実だとしてもそれがどの程度、どのレベルで、どのスピードで行われるかまでは明らかにできない。

これは、リモートワーク率の関数化、リモートワークによるオフィス離れがどのくらい起きているか?などを具体的に読んでいく必要がある。

その市場サイズや拡大スピードを読んで、具体的な計画に変えるためのサーチが別に必要なことに注意が必要だ。

未来ジョブ理論はこれからの時代のジョブ理論だ

SNSが人々を不幸にするという研究結果が出るなど、ITに対してもただ一方的に推進するだけでなく、進めるためにも一度は根本否定してみることが必要な時代になっている。そして、サービスが生まれる速度は加速しており、未来を作ることが今の仕事だ。

だからこそ、本質的な未来作りができる未来ジョブ理論が効力を発揮する。

この未来ジョブ理論を使えば、そのサービスの本質を見極めるだけでなく、さらにその弱点を克服するサービスの提案もできる。未来ジョブ理論を使って、シリアルアントレプレナーを目指すこともこれからの時代の戦略となる。

この未来ジョブ理論を使えば、もしそのサービスが広がった後に次に必要になるものは何か?が分かる。時代の一手先から攻めることができるのが、本理論の一番魅力的な所である。


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