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#あたし

21
遅刻死✈︎ 強く生きる🎠🧸🎀💔
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記事一覧

獏と白馬

獏と白馬

もしもし 
貴方は私の夢に立ち入ったのでしょう 
私 どんな顔をしていたのかしら 
青い鳥を追って高い塔から 
飛び降りるところだったのに 
貴方のせいでこの鳥籠は今日も空っぽのまま 

もしもし 
貴方は私を鏡の裏から見ているようね 
私 どうして目覚めてしまったの 
青い薔薇のお風呂に入って 
邪魔な感情を捨ててしまえば 
あの人に抱かれて眠る人形になれたのに 

もしもし 
貴方は私の悪い夢

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アンチテーゼ・シンデレラ

アンチテーゼ・シンデレラ

貴女はいつも私を子供にして 
捨てたアルバムを取り出してめくろうとする 
私は弱くて何も言えない 
喉に突っ込まれた劇薬の瓶 
飲み下して息継ぎをした 

操り人形からハサミを遠ざけた 
狡猾で愛想の良い女 
嫌いな言葉は「自立」? 
不機嫌な人間の顔をした鏡が 
今日も貴女に笑いかけているわ 

ベビーブルーの月明りで見たのは 
寝台に広がる 赤、赤、赤 
ねえ 私の身体 いま 透けているのかし

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紋赤蝶

紋赤蝶

狂い咲いた花に制裁を与えて
死神様ごっこの記憶
薔薇の花首に触れたら
完璧な終わりが欲しくなるの

雪原は過ちと迷いを記憶する
遊ぶ獣は跡を濁してしまった
後ろめたいほど白いシーツは
孤独が流した涙を拭えない

花冠と砂上の矜持
夜を引き伸ばして痛めつける虚夢
手を伸ばして触れたピアスは鏡の向こう
現実の裏で捨てた少女が
一人ぼっちで泣いている

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ノクターナル・リリィ

ノクターナル・リリィ

人工衛星の恋人になって
朝と夜の隙間を追いかけて 息をしていたい
悲しい目をした あの子の窓辺に
クリスタルを散りばめて

あと何枚の写真を撮ったら
この吐息は 白くなるのだろう
触れたものから 壊れてゆく
変わらないものは 失われたものだけね

高速道路の優しい光が
閉じかけた目に染みて 広がってゆく
少しずつ みんな いなくなって
夜行性の友達と 手をつないだ

誰かが あの日 燃やせなかった

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柘榴色一丁目五番街

柘榴色一丁目五番街

ヘッドライトを吸い込んだ ビニール傘は
オーロラ紙みたいに 浮かび上がって
君だけが その儚さに 気づかない

重機で壊された 夜の虹
堕ちてくる 七色のホログラム
黒い厚底靴は 迷わず赤を選んだ

埋まらない つまらない
それがここで生きる理由
長いアイラインを引き下げて
上手に笑っていた いつかの路上傍

踏みしめて 粉々になった 青い夢へ
僕の好きな色は
神経衰弱で混ぜ切った キャンバス

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デュメリリィ・エンゼル

クリスタルのユニコーンが駆ける
路面は透き通る アクリル板になって
死にたがりな君の吐息を止めに行く
無責任な唇で 非常識な反動で

私が手放した 平凡な日々と
君が諦めた よくある青春の2、3ページ
ダークグレーとライトグレーの間で
熱帯魚の口は 物憂げに半開き

私が持っていないジョーカーの数は
私が幸福な証拠ですか
貴方が持っているエースの数は
私が不憫な証拠ですか

ねぇ 受け取ってくれる

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撫子色二丁目交差点

砂糖水に溺れて
ばらまかれるキャンディーは 白黒ピンク
君の弱さであたしの弱さは
自分の居場所に変わったのに

乾いた喉に この瓶流し込んでしまえたらね
足取りはドリーミーなふりして
観客一人のために ふざけたセリフ
この涙目が 嘘か本当か
思い出させてよ あの日のプレイリスト

背伸びして言う チルい
恥ずかしがって言う エモい
バイブスじゃなくてグルーヴって言っていたい

だってその方が

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たえて桜のなかりせば

ペットボトルに水入れて 貰った花を差した
あたし もう 君に頼らなくても 生きてしまう
いつ言葉で刺されても かっこつけられるように
小説のあのシーン ヒロインの台詞 暗記しておく

何を貰った 何を与えた 何が残った 何が消えた
呼ばれたら 枯れるまで 咲くだけ それが仕事
あたしが知り合いの娘なら こんなことするの
平凡で月並みだけど 人間として 嫌っていいよね

夢の中で 繰り返し教え

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カッシーニの間隙

こんなところの歩道橋から 道路見下ろしたって
エモくも チルくもない ここは新宿じゃない
車道の明滅は 疲れたドライバーと一般人
意味不明なスプレーの落書きは 宇宙から誤発信

リボンとピンクと垂れ目と黒髪で出来てる
アザだらけの右足じゃ 厚底履いて走れない
海を泳ぐクジラの古傷は綺麗だと思えるのに
あたしはあたしに その言葉を掛けられない

ただ一言 かわいいね って なんで言えないの

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ロマンティック・チュチュ

天使が愛した白薔薇の庭園
エメラルドの蝶が また一匹 歓迎される
いつまで経っても 最後の晩餐は始まらない

話し上手で聞き下手な神様
あなたが笑ってほしいところで
私は笑うことが出来るだけ
「なんと可憐な白昼夢なのだろう!」
アダムとイヴの物語を知らない神様
あなたはまた 湖の踊り子の幻想に酔うだけ

誰もが皆 空っぽであったなら
いっそこの世界は 汚れを知らない箱庭のままで
朽ちていける

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アベリア

あの頃好きだった 黒うさぎの人形を
窓際に置いて 風の音を聞く夜
「今宵、ブラッドムーンは昇るのかしら?」

赤、白、黄色の童謡は 鉄格子と垂れ幕の向こう
サーカスのテントは入場規制
平和の象徴も 今日は手紙を届けない
誘導灯が水中に浮かんで
世界の正しさは歪められたの

紙飛行機 飛ばなかった 鈍色の空
パステルカラーのクレヨンで塗り替える幻想
君が壊したお伽話を ゴミ箱から拾い上げる

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ブラックミラー・バックライト

太陽が昇らない世界に消えたら
普通になれるかな
これが当たり前だと思って 生きてきたけど
弾かれて 一人になっても 泣けないでしょ
知ってる その方が 意外にも
居心地が良かったこと

気にするのは みんなの目だけ 噂だけ
テストの点数取れてれば 絶対勝者のあたし
校章の意味なんて 知らなくたって 評価してよ
くだらないデスゲームに 白百合捧げて
踊り場から 二段飛ばしで 駆け下りる

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涙顔サテライト

鏡の前でプリン食べてるあの子は
ハーフツインの練習だって
リボンで手首絞めて 今日もかわいいね
可哀想が気持ちいい
自惚れてるんだよこうやって

テンプレート お子様ランチの法則
みんなが欲しがるものは
いつだって キラキラしてて 目眩がしちゃう
だけど ごめんね あたしは違うから
コケティッシュなショーケースは 撮って終わり

白い子犬の青い目が好き
チャームポイントは 分かる人に

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139号室の窓から

感傷が相手してくれる間は ずっと
死んだように 心が流れ出していく
こんなに見えない傷だらけで可愛そうだね
そのまま しばらく このまま
あたし今生きてるって 言ってたい

今日のあたしはそれなりに頭良いから
切ったり飲んだりする前に 理性が歯車を噛んで
頭の中だけ真っ赤っ赤

ホワイトアウト出来たら
とある界隈では優勝だけど
相も変わらずこの目はシラフで
黒々と広がった森が見える

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