masahiro ito

アーティスト・プログラマー, MFA [修士(芸術)] 写真をメインとする、現代アー…

masahiro ito

アーティスト・プログラマー, MFA [修士(芸術)] 写真をメインとする、現代アートの思考やプロセス、制作にいたる過程、関連書籍などを綴ったnote https://www.masahiro-ito.net https://www.fw-sol.com

マガジン

  • 日記・雑記

  • 書籍・図録・映像

    書籍・図録・映像などのまとめ、要約、感想などを綴っています。

  • 研究ノート

  • 絶対写真論ー解説

    自身初の書籍「絶対写真論ーアルゴリズム・オブジェクトとしての写真へ」について、各チャプター毎に本書を紐解いていきます。

  • コンセプチュアル・アート

    トニー・ゴドフリー著『コンセプチュアル・アート』を読み解いています。

記事一覧

【雑記】制作メモ

1917年にニューヨークで催されたアンデパンダン展は、出展料さえ払えば誰でも展示ができるという趣旨の展覧会であった。 マルセル・デュシャンは本展に男性の小便器を逆さ…

masahiro ito
3週間前
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【雑記】仮名の成り立ち

今年から小学校に通っている長女。こくごの宿題でひらがなやカタカナをみていたときのこと。 そもそも仮名はいつ頃どうやってできたのだろうか、とふと気になった。 漢字…

masahiro ito
1か月前
2

【雑記】音楽と数学の親和性

今年の5月から長女はヤマハの幼児科からジュニアへと進級したことで、コード進行や移調、転調などといったより理論的な部分も習うようになってきた。 かくいう私も、小学1…

masahiro ito
2か月前
4

【雑記】kawaiiのその先

長女は大のシナモロール好きである。それならばと思いGW中にサンリオピューロランドに行ってみた。 テーマパーク、はたして何十年ぶりだろう...。もはや記憶にはない。。…

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3か月前
4

【雑記】展示をみる

長女の卒園→入学やピアノの発表会など、超過密スケジュールであっという間に過ぎ去った3~4月。 ようやく少し落ち着いてきたため、合間を縫って最近全く行けずにいた展示…

masahiro ito
4か月前
2

【雑記】スクールフォトの行く末

先日、こどもの卒園式があった際、園の提携先のカメラマンが撮影に来ていた。 こどもが通っている保育園では今年度から提携業者が変わったそうで、写真のクオリティがかな…

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6か月前
7

【雑記】写真のこれから

Stable Diffusionによる画像生成技術によって、テキストを用いてイメージへと変換することが容易となった。 さらにはphotoshopの生成拡張機能によって、既存のイメージか…

masahiro ito
7か月前
9

【書籍】マン・レイ 軽さの方程式

シュルレアリストやレイヨグラフなどで知られる巨匠の一人、マン・レイ。彼の芸術家としての「軽さ」とは何であろうか。 マン・レイといえば、昨年クリスティーズ・ニュー…

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8か月前
5

【雑記】制作のモチベーション

気付けば初めて新作を制作しなかった2023年。 毎年なんらかの形で新作を制作していたにも関わらず、今年はそのモチベーションも湧き上がりきることなく新たな年を迎えよう…

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8か月前
4

【雑記】AIテスト

前々からやってみたいとは思っていた、AIアシスト機能。どんな回答が返ってくるのか気にはなっていたので、試しにやってみた。 Q:一般社会におけるアートの役割とは何か …

masahiro ito
9か月前
3

【書籍】化粧せずには生きられない人間の歴史

人は一体いつ頃から「化粧」という行為を始めたのであろうか。化粧史の始まりを知りたいと思って手にとった本書。 というのも、写真のデジタル化、およびスマートフォンに…

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11か月前
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【雑記】感覚的なものの言語化

現在、自転車の練習中である娘。まだうまくこげないため、練習に付き合ってみるものの、これが意外と難しい。 まず第一に、私自身がどうやって乗れるようになったのか覚え…

masahiro ito
11か月前
7

【雑記】現代写真の市場価格

現代写真における市場価格が軒並み下落しているとの記事を目にした。 アンドレアス・グルスキー、トーマス・シュトゥルート、杉本博司など、2010年頃をピークに下落の一途…

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1年前
6

【雑記】ポートレート写真

先日、台東区蔵前にあるギャラリー「空蓮房」で催されている展示を観に行った。 兼子は撮影の際、被写体に歌ってもらいながら撮影したという、男性と女性のスナップ的ポー…

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1年前
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【雑記】AI画像

集英社『週刊プレイボーイ』発行のAIによるデジタル写真集「AIグラビアアイドル・さつきあい」が販売終了となった記事を目にした。 学習素材、権利、法整備などなど、課題…

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1年前
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【雑記】価値の再評価

先日、ある記事に目が止まった。 キュビスムの創始者のひとりであり、生涯でおおよそ15万点を制作したパブロ・ピカソ(1881-1973)。没後50年を迎える今年は改めてその作…

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1年前
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【雑記】制作メモ

【雑記】制作メモ

1917年にニューヨークで催されたアンデパンダン展は、出展料さえ払えば誰でも展示ができるという趣旨の展覧会であった。

マルセル・デュシャンは本展に男性の小便器を逆さにして台座に乗せ、「R・MUTT 1917」と署名した『泉』という作品を出展した。

ところが、主催者側から展示拒否を言い渡された本作品は展示されることはなく、アルフレッド・ステーグリッツによって写真に収められたのみであった。

現代

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【雑記】仮名の成り立ち

【雑記】仮名の成り立ち

今年から小学校に通っている長女。こくごの宿題でひらがなやカタカナをみていたときのこと。

そもそも仮名はいつ頃どうやってできたのだろうか、とふと気になった。

漢字を元に作られていたのはなんとなく知ってはいたが、調べてみると「万葉仮名(まんようかな)」をさらに簡略化してとあった。

万葉仮名、あぁ、万葉集に書かれている文字ね、とみていたところ、色々とこれまで気にしていなかったことがつながってきた。

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【雑記】音楽と数学の親和性

【雑記】音楽と数学の親和性

今年の5月から長女はヤマハの幼児科からジュニアへと進級したことで、コード進行や移調、転調などといったより理論的な部分も習うようになってきた。

かくいう私も、小学1年〜中学3年までヤマハでピアノを習っていた。その後パッタリと辞めてしまい、長女がピアノを始めたのと同時にピアノに触れることとなった。

Ⅰ度、Ⅳ度、Ⅴ7、、はて、幼少期に習ったかしら...。C、D、G7とかはあったけどなーな、微かな記憶

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【雑記】kawaiiのその先

【雑記】kawaiiのその先

長女は大のシナモロール好きである。それならばと思いGW中にサンリオピューロランドに行ってみた。

テーマパーク、はたして何十年ぶりだろう...。もはや記憶にはない。。ちなみにかの有名な世界的ランドには行ったことがない(正確にいうと、好きではない)。

そして今年はキティーちゃんの生誕50周年だそうで、それを目的に来園している人も大勢いるであろう。とにかく人は多いが、各々が好き勝手に楽しんでいるのを

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【雑記】展示をみる

【雑記】展示をみる

長女の卒園→入学やピアノの発表会など、超過密スケジュールであっという間に過ぎ去った3~4月。

ようやく少し落ち着いてきたため、合間を縫って最近全く行けずにいた展示を観に足を運んだ。

撮るという行為に意味がある作品。そこにフォーカスしてしまうと被写体の方に意識がうつってしまい、なんだかもったいないなーと思いながらみていたり。

もっと、凝り固まった肩の可動域を和らげるように、気楽な写真の方がいい

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【雑記】スクールフォトの行く末

【雑記】スクールフォトの行く末

先日、こどもの卒園式があった際、園の提携先のカメラマンが撮影に来ていた。

こどもが通っている保育園では今年度から提携業者が変わったそうで、写真のクオリティがかなり下がり、ママたちには不評とのことを小耳にはさんだ。

そんな事情もあってか、式後に催された謝恩会での撮影依頼が私に回ってきた。(もちろん、ボランティアである。)

おおよそ10年ほど前、私も学校写真、いわゆるスクールフォトに携わっていた

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【雑記】写真のこれから

【雑記】写真のこれから

Stable Diffusionによる画像生成技術によって、テキストを用いてイメージへと変換することが容易となった。

さらにはphotoshopの生成拡張機能によって、既存のイメージから周囲を補完したり新たなイメージがいとも簡単に生成できるようになった。

こうした技術が追い求める最終的な到達点とは、実世界に存在しそうなイメージを生成することにある。つまり違和感のない「写真になる」ことに意味があ

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【書籍】マン・レイ 軽さの方程式

【書籍】マン・レイ 軽さの方程式

シュルレアリストやレイヨグラフなどで知られる巨匠の一人、マン・レイ。彼の芸術家としての「軽さ」とは何であろうか。

マン・レイといえば、昨年クリスティーズ・ニューヨークに出品された《Le Violon d'Ingres》(1924)が写真史上最高額おおよそ16億円で落札されたのは記憶に新しい。

マン・レイといえば、ダダ、シュルレアリスト、レイヨグラフなどで有名ではあるが、果たしてその理解のみで正

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【雑記】制作のモチベーション

【雑記】制作のモチベーション

気付けば初めて新作を制作しなかった2023年。

毎年なんらかの形で新作を制作していたにも関わらず、今年はそのモチベーションも湧き上がりきることなく新たな年を迎えようとしています。

制作におけるモチベーションは何だろうと考えたとき、現状の閉塞感からの脱却であったかと思います。

では、今年はというと全くなかった訳ではないですが、制作よりも日常生活の方がタイトであったような気がします。

引越して

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【雑記】AIテスト

【雑記】AIテスト

前々からやってみたいとは思っていた、AIアシスト機能。どんな回答が返ってくるのか気にはなっていたので、試しにやってみた。

Q:一般社会におけるアートの役割とは何か

個人の感性を刺激し、豊かな表現を通じて社会的な問題を提起する手段としてのアートの役割を考えることができる。

定型化された社会的な枠組みからの脱却を促し、個人の自由な発想や感情表現を引き出すことができる。

アートを通じて人々が異な

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【書籍】化粧せずには生きられない人間の歴史

【書籍】化粧せずには生きられない人間の歴史

人は一体いつ頃から「化粧」という行為を始めたのであろうか。化粧史の始まりを知りたいと思って手にとった本書。

というのも、写真のデジタル化、およびスマートフォンにカメラ機能が搭載された点、およびSNSの普及によって、誰しもがセルフポートレートを気軽に世界中にアップできるようになった。

しかも、アップされる写真はアプリなどを用いて加工されていることが当然の行為として認知されている。加工された写真は

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【雑記】感覚的なものの言語化

【雑記】感覚的なものの言語化

現在、自転車の練習中である娘。まだうまくこげないため、練習に付き合ってみるものの、これが意外と難しい。

まず第一に、私自身がどうやって乗れるようになったのか覚えていない=乗れていないときの記憶がない。

そして、普段自転車を乗るのに、あえて意識することはしない。頭の位置はどこ、腕はどのように、足の置く場所はここで、といった具合に。「当たり前」にできてしまうことに対して、意識せずとも体(=感覚)が

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【雑記】現代写真の市場価格

【雑記】現代写真の市場価格

現代写真における市場価格が軒並み下落しているとの記事を目にした。

アンドレアス・グルスキー、トーマス・シュトゥルート、杉本博司など、2010年頃をピークに下落の一途を辿っているという。

上記の記事ではスマホによる写真のコモディティ化=一般化を指摘しているような書きっぷりではあるが、そういう訳ではない気はする。

記事で指摘があるように、写真作品=エディション制、版画におけるエディションを写真に

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【雑記】ポートレート写真

先日、台東区蔵前にあるギャラリー「空蓮房」で催されている展示を観に行った。

兼子は撮影の際、被写体に歌ってもらいながら撮影したという、男性と女性のスナップ的ポートレート。横位置2組。

横山は吃音のため、うまくは伝えられないながらもその被写体を撮影したいという思いをもちながら撮影した、椅子に腰掛けるスタイルで撮影したスクエアフォーマットの男性と、仕事着か作業着を想起させる装いの、真っ直ぐと見つめ

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【雑記】AI画像

【雑記】AI画像

集英社『週刊プレイボーイ』発行のAIによるデジタル写真集「AIグラビアアイドル・さつきあい」が販売終了となった記事を目にした。

学習素材、権利、法整備などなど、課題はまだ山積しているであろうが、ここ最近の「写真」にたいする私なりの考えを整理するためにも、一度書いておこうと思う。

①なぜAIによって生成されるイメージはリアリティを求めるのか
AIだからこそ生成可能な画像(指がバグっているのは、あ

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【雑記】価値の再評価

【雑記】価値の再評価

先日、ある記事に目が止まった。

キュビスムの創始者のひとりであり、生涯でおおよそ15万点を制作したパブロ・ピカソ(1881-1973)。没後50年を迎える今年は改めてその作品の価値を高めようという思惑があったに違いない。

しかしながら、着目されたのはピカソの女性遍歴である。

性的虐待や浮気癖など、昔であれば「芸の肥やし」といわれ、純粋に作品に対して価値付けがなされてきた。言ってみれば、作品の

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