眞砂以田子

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    詩、掌篇。または吉田悠軌さん作『一行怪談』のオマージュ。 気が向いたら続きを書く。

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記事一覧

歌集『家路』

満月は三日月とちがい水に浮くんだよこれは四月の嘘だよ なんにでも成れるかにぱんの足をもぐ なんにも成れないわたしもぐもぐ この星はいろとりどりのピクミンで満たさ…

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断捨離記

これはゴールデンウィーク五日間の雑記。この連休は持ち物の断捨離をする期間と決めたので、その意気を絶やさないため書き留めた。 5/1初日 薫風というには野蛮すぎる風が…

7

続・筋トレ記

簡単な筋トレをはじめてから1ヶ月半が経過した。 飽き性のわたしが最低でも週5回はやるというルーティンを続けただけでも本当にすごい。えらい。というわけで、このモチベ…

5

CATSの話するためにアマプラで配信してる'98年ブロードウェイ版をまた流してる。ラムタムタガーのキャラクターが刷新されたバージョンも一度みてみたいけど、最近のブロードウェイの映像はどこかで配信されてるのかな…

筋トレをはじめた

ここ4年ほど、椅子を立ったり座ったりする以外の運動を全然していない。実のところ立ったり座ったりするのは生活するうえで必然に起きる行動であって運動ではないので、つ…

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サウンドトラック『愛の不時着』を語りたい

Netflixで配信している韓国ドラマ『愛の不時着』にドボン!と派手に音の立つレベルで景気良く沼入りしてから2週間、先日ついに全16話を完走した。 財閥令嬢の主人公・セリ…

4

道端に転がる動物の死骸を覗いてみると、開かれた腹の内には単三電池が整然と並んでいた。

2

旬を食す(牡蠣編)

この時期に山盛りの牡蠣を食べるのが我が家の恒例行事になっており、先の日曜日、それが開催された。 うちは仲が良いんだか悪いんだかよく分からないが、家族で小旅行へ出…

今日はどのテレビ番組をみても、演者の一人に全身が焼け焦げたように真っ黒のマネキンらしきものが紛れ込んでいる。

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散歩考・生の触感

昼、久しぶりに外を歩いた。 日の影になるところは肌寒いものの、ひとつ道を抜けるとぼんやり暖かくて、近所の家の松はついに雪吊りを外されていた。わたしは寒椿こそが最…

5

公園で遊んでいる子供のひとりに「つぎはあなたが鬼」と言われた瞬間、みるみる肌が変色し額から骨のようなものが生えてきた。

2

不注意で落とした赤べこの首が折れ、むきだしになった胴体のなかから同じ顔をした小さな首がわらわらと這い出してくる。

1

乙女心の無責任

今日は満月だという。そんな日に一歩も外に出ず、部屋の掃除に明け暮れていた。 ここ最近「推し」が出来てからというもの、部屋の収納力に限界を感じつつあって、気を抜く…

4

初めから化物になることを予定されて生まれてきたのか、環境が彼をあのように歪ませてしまったか、今では分る由も無い。どこまで時間を遡ればこの結末を回避できたのだろう。予想しうる分岐点は星の数ほどあれ、然しそのどれもが醜い運命の糸に絡めとられて結局はここへ帰結するのだった。
『おろち』

いつも一年ぶりくらいに開いて、ちょこっと更新して、一年後まで閉じてるのそろそろやめたい。Twitterで文章にもならない思考をダダ漏れさせるよりは、溜めた言葉を練って文章にしていきたい。そんな2020年。

君の地図帳の大西洋に、新しい島を作っておいた。いつか君がまぼろしと気付く日まで、この島は実在している。

4
歌集『家路』

歌集『家路』

満月は三日月とちがい水に浮くんだよこれは四月の嘘だよ

なんにでも成れるかにぱんの足をもぐ なんにも成れないわたしもぐもぐ

この星はいろとりどりのピクミンで満たされている うららかな孤独

青信号だけがぼくらに行けという春から逃げる夜のバイパス

ほどかれた髪からませて薫る風ひらりひらめく本のはしがき

高らかに鳴る炊飯器のファンファーレふたりで暮らしはじめた部屋にて

残さずに食べてくださいそ

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断捨離記

断捨離記

これはゴールデンウィーク五日間の雑記。この連休は持ち物の断捨離をする期間と決めたので、その意気を絶やさないため書き留めた。

5/1初日
薫風というには野蛮すぎる風が吹いていて、もてあそばれた枝葉の踊るのを横目に映画館へ向かう。タイトルは「旅立つ息子へ」。大型連休の初日というのに客入りはまばらだ。イスラエルの作品をみるのははじめてだった。知的障害を持つ成人した息子・ウリと、息子を施設へ入れることで

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続・筋トレ記

簡単な筋トレをはじめてから1ヶ月半が経過した。

飽き性のわたしが最低でも週5回はやるというルーティンを続けただけでも本当にすごい。えらい。というわけで、このモチベーションを保つべくこれまでの振り返りと今後のビジョンを表明していきたい。

・起きた変化正直、1か月そこらで劇的な変化が出るなんてこたあ無い。これは減量目的ではないから特に食事制限しているでもなく、ただ運動不足な日常にプラスワンという感

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CATSの話するためにアマプラで配信してる'98年ブロードウェイ版をまた流してる。ラムタムタガーのキャラクターが刷新されたバージョンも一度みてみたいけど、最近のブロードウェイの映像はどこかで配信されてるのかな…

筋トレをはじめた

ここ4年ほど、椅子を立ったり座ったりする以外の運動を全然していない。実のところ立ったり座ったりするのは生活するうえで必然に起きる行動であって運動ではないので、つまりは運動を一切していない。
ありがたいことにこの世の中は人前に出るときは着衣で、と決まっているので顔に肉がつきにくく、さらに着ヤセするタイプのわたしは今まで特にたるんだ肉体を指摘されることなく生きてきた。この事情を知らない人には、むしろ褒

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サウンドトラック『愛の不時着』を語りたい

Netflixで配信している韓国ドラマ『愛の不時着』にドボン!と派手に音の立つレベルで景気良く沼入りしてから2週間、先日ついに全16話を完走した。
財閥令嬢の主人公・セリはパラグライダーの飛行テスト中に竜巻に巻き込まれ、あろうことか北朝鮮に不時着してしまう。そこで出会った北の軍人・ジョンヒョクに助けられ、なんやかんやあって匿ってもらうことに…などとまあ物語の導入は荒唐無稽だが、家族の愛憎・恋の波乱

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道端に転がる動物の死骸を覗いてみると、開かれた腹の内には単三電池が整然と並んでいた。

旬を食す(牡蠣編)

旬を食す(牡蠣編)

この時期に山盛りの牡蠣を食べるのが我が家の恒例行事になっており、先の日曜日、それが開催された。

うちは仲が良いんだか悪いんだかよく分からないが、家族で小旅行へ出掛けることがしばしばあって、それも皆で思い出を作りにいくというよりは美味しいものを食べたいだとか面白いものをみたいだとかいう欲望によって動いている節がある。当たり前だが世の他の家族の暮らしぶりなど知る由もないのでこれを一般的に仲良しと判定

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今日はどのテレビ番組をみても、演者の一人に全身が焼け焦げたように真っ黒のマネキンらしきものが紛れ込んでいる。

散歩考・生の触感

昼、久しぶりに外を歩いた。
日の影になるところは肌寒いものの、ひとつ道を抜けるとぼんやり暖かくて、近所の家の松はついに雪吊りを外されていた。わたしは寒椿こそが最も美しい冬の花と思っているので、路上にくずおれた椿をみるにつけて今季は雪も積もらず咲く甲斐もいまひとつの年だったことに同情心を覚えてしまうが、ともあれ早春ここに来たると思うほど気持ちのよい陽気だった。

久しぶりに、というとまるで家に閉じこ

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公園で遊んでいる子供のひとりに「つぎはあなたが鬼」と言われた瞬間、みるみる肌が変色し額から骨のようなものが生えてきた。

不注意で落とした赤べこの首が折れ、むきだしになった胴体のなかから同じ顔をした小さな首がわらわらと這い出してくる。

乙女心の無責任

今日は満月だという。そんな日に一歩も外に出ず、部屋の掃除に明け暮れていた。
ここ最近「推し」が出来てからというもの、部屋の収納力に限界を感じつつあって、気を抜くとすぐに雑然としだす。まず圧倒的に本棚が足りない。いままで文庫本ばかり持っているような人間だったので、背の高い本を仕舞える場所が無い。雑誌も!写真集も!でかい!入らん!
でも買う。そして困る。それの繰り返し。

ちなみに件の推しは荒木宏文さ

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初めから化物になることを予定されて生まれてきたのか、環境が彼をあのように歪ませてしまったか、今では分る由も無い。どこまで時間を遡ればこの結末を回避できたのだろう。予想しうる分岐点は星の数ほどあれ、然しそのどれもが醜い運命の糸に絡めとられて結局はここへ帰結するのだった。
『おろち』

いつも一年ぶりくらいに開いて、ちょこっと更新して、一年後まで閉じてるのそろそろやめたい。Twitterで文章にもならない思考をダダ漏れさせるよりは、溜めた言葉を練って文章にしていきたい。そんな2020年。

君の地図帳の大西洋に、新しい島を作っておいた。いつか君がまぼろしと気付く日まで、この島は実在している。