アメリカのダウンタウンで、忽然と人が居なくなる神隠し的な現象が多発しているらしいが、未だ解決していない事から 【ギュスターヴの首運び】 と呼ばれているらしい。
隣の家から野太い男性の声で 「ぎゃっ!!」 と聞こえた翌日の朝から、玄関先に大量の盛り塩と噛み千切った風の爪が散乱している。
首をほんの少し下に傾けたまま微動だにせず、交差点の真ん中に立つ男がいるが、車はおろか自分以外の誰もその男が見えていないようだ。
「うーん、やっぱりこっちの方が収まりがいいわね」 と言い、母はアクリルの衣装ケースの中でギチギチに縮こまり眠りについた
蛍光灯を外して替えようとしたところ 「はい」 と渡され素直に受け取ったのだが、後ろには誰もいなかった
ある10階建てマンションの05と付く部屋の明かりが、9時を過ぎた辺りで上階から順に1回だけ明滅する
「誕生日おめでとう!」と渡されたクッキーから、どうにも鉄の味がする
信号で止まる斜め前のデリバリーピザのカゴから、容量を遥かに超える黒い虫が溢れ出している
本を読む時に頭の中で声がするというが、健康診断でレントゲンを撮った際、口の様な物が映り込んでいた
近所のおばさん達から頻りに 「あそこの子供は本当にしつけがなってないわよね」 と聞かされるのだが、この数年間1度も姿を見た事がない
夜な夜な自分を罵倒する声が聞こえるのだが、その出処がハムスターのいるケージからだと信じたくはない