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歌うたいの猫と、魔法の万年筆。【ヒカリの向こうへ】


【ヒカリの向こうへ】


なんという眩しさでしょう。
猫が、ぎゅうっと瞑った瞼の裏は、チカチカ光るお星さまで埋め尽くされていました。

猫は万年筆がどうなったのか気になります。けれど、眩しいお星さまは、猫の目の中からなかなか出て行ってはくれません。


何だか少し寒いような、後ろ脚やふさふさのしっぽがゾワゾワするような、そんな気持ちがしました。


猫は何度か、前脚で顔をゴシゴシと洗いました。
そして、ようやくそーっと目を開けることができました。



猫はまた、あの不思議な万年筆を探すため、歩き出そうとしました。







コツン…。







猫の前脚に、何か触れました。

万年筆です。

でも、お星さまのように輝いていた、あの万年筆とは、ずいぶん違うようです。


色は茶色だし、ところどころ、古ぼけていて、キズが付いたりしています。

前脚でちょいちょいっとしてみたり、ふさふさのシッポでぺしぺししても、何も変わりません。

さっきまで、あんなに楽しそうにお話していたのに…。猫は、何だか悲しいような、寂しいような、目からまた「ナニカ」が零れ落ちそうな。そんな気持ちになりました。


猫はそっと、万年筆を前脚で拾いました。

猫の前脚は、ギターをたくさんたくさん、弾いていたので、「普通の猫」より器用なのでした。



「にゃにゃ〜…。」



猫は、ため息のような、うなだれ声を出しました。万年筆がなぜ、古ぼけた万年筆になってしまったのか、まったく分からなかったからです。

猫は、うなだれていた頭をよっこらしょっと、持ち上げて、ぼんやりと光る森を眺めていました。





………? ぼんやりと光る森………?




空は、宙になったはずです。
猫は、宙にお星さまがキラキラ光るのは知っていました。しかし、ぼんやりと森が光っているなんて、今まで見たことがありません。

猫の心臓が「ドキドキ、ドキドキ。」と、いつもりよ大きな音を出し始めました。



『あの光の向こうに、行かにゃくちゃ。』



そう、「なんとなく」分かったからです。

猫は、前脚で包んでいた万年筆を、ギュッと握りしめました。

すぐに、森の住処に戻ります。
お気に入りのポシェットを首に引っ掛けて、万年筆を大事に大事に、しまいました。


森の音楽会は、もうできないかもしれません。

「なんとなく」そんな気がします。森の動物たちには、足あとのお手紙を描いておきました。



そして、宝物のギターをしっかりと背負い、ぼんやりと光る森に向かって、走り出します。







「ドキドキ、ドキドキ。」








ぼやけた森の光に向かう途中も、猫の心臓の音はどんどんどんどん、大きくなります。

風を切る音、草の擦れる音、小枝の弾ける音。
宙を覆う、木々の葉が何か「秘密のお話」をしているような、不思議な音もします。

「はぁはぁ」と息が上がるくらい、猫は走りました。ようやく、ぼやけた光がハッキリと見えてきました。

その頃には「ドキドキ」は落ち着いて、「ワクワク」になっていました。

ハッキリと見えるようになった光の中心には、何かが浮かんでいるようです。






つづく…。



☆彡 Inspired by 『#春とギター』 ☆彡


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  [ RSF : ロマンティック・サイエンスフィクション ]

[『愛すべき登場人物、みんな幸せになって欲しい。』ストーリー部門第一位 ]_(・ω・´)ちぇけら☆


☆彡 素敵な虹色の光のお写真はTakeKurokiさん

見出し画像として、ほっとするような虹色の光、お借りしました!

素敵なお写真がたくさん!ぜひみなさんも覗いてみてください~!
( ・`д・´)ノ" [ 要ちぇけら ]✨

TakeKurokiさん、ありがとうございます♪



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