マガジンのカバー画像

フィギュアスケート

19
運営しているクリエイター

#エッセイ

夢の終わりは始まりで ~羽生結弦~

夢の終わりは始まりで ~羽生結弦~

この人は、想像の全てを超えていく。
羽生結弦のことだ。

今日おこなわれたスケートカナダのフリーで、彼は素晴らしい演技と世界最高得点で優勝を決めた。その時に思い浮かんだのが、冒頭の一文だった。彼はいつだって「終わりはまだここじゃない」ということを示してくれる。

「フィギュアスケートに恋して その3」で書いたように、2011年からずっと彼の演技を見続けてきた。同時代を生きていることが奇跡の

もっとみる
カザフの英雄に赤い花を

カザフの英雄に赤い花を

若い、まだとても若い、才能ある人の命が失われた。
なんて言葉にしたらいいかわからない、辛い。

昨晩カザフスタンのフィギュアスケート選手、デニス・テンが強盗によって刺殺されたとのニュースが流れた。頭に浮かんだのは、は?とか、え?とか、そういう言葉で。読んだ文字が頭にしみこんでくるまで、しばらく呆然としていた。意味がわからない、わかりたくない、刺殺って、死亡って、なんなん…なんなん…

気がつい

もっとみる
広島NHK杯の衝撃と哀しみ、決意

広島NHK杯の衝撃と哀しみ、決意

フィギュアスケートの新シーズンが始まる。
つい先日、グランプリシリーズのアサインも発表された。

今年はフィギュア過疎地の地元・広島でNHK杯ということで、随分と期待をしてこの日を待ち侘びていたのだけれど。アサインされた選手の一覧を見て、愕然とした。

推しが、誰ひとり来ない…。

ワールドメダリストのコリヤダ君は当然として、羽生君もビチェンコさんもジェイソンも来ないらしい。(ワールドの表彰台3人

もっとみる
尊敬できる人は誰ですか?

尊敬できる人は誰ですか?

昔から、この質問に対する答がみつからなかった。

親兄弟、教師、過去の偉人…一般的に挙げられやすいのはこういった人物だろうか?だけれどもいずれも自分にとって「尊敬する相手」と言い切るには、しっくりこない相手だった。

しかし7年前から、胸を張って「わたしの尊敬する人です」と言える人が出来た。それが今回の平昌オリンピックで連覇を成し遂げた羽生結弦選手だ。

素晴らしい技術、高い表現力、彼が成した様々

もっとみる
男子シングル、選手紹介 〜フィギュアスケート〜

男子シングル、選手紹介 〜フィギュアスケート〜

平昌五輪、ついに開幕しましたね。

フィギュアスケート団体戦・初日が終わっての感想は「オリンピックの魔物、こわっ!!!」でした。男子はまさかの大崩れをする有力選手達に震える中、宇野昌磨選手の強心臓が引き立ちました。ペアではロシアのタチアナ・モロゾフ組が圧巻の演技、競技に詳しくなくとも「これはすごい!」と思えるような素晴らしいパフォーマンスに大興奮。

そして、いよいよ男子の試合もあと1週間とな

もっとみる
そうだ、この人は羽生結弦だった

そうだ、この人は羽生結弦だった

先月末あたりからちょこちょこと羽生くんの特集番組をやっている。それらを見ていたら…今シーズン、怪我以降からずっとひっそりとどこかに存在していたそこはかとない不安がいつのまにか消えていた。

羽生結弦くんのどこが良いかって。勝ちたい、1番強いのは自分でありたい…という気概が半端なさそうな所が良い。それをハッキリと口に出し、その為にひたすら頭を使い、努力をする。Twitterでもつぶやいたけれど、

もっとみる
フィギュアスケートTV観戦案内(男子シングル)

フィギュアスケートTV観戦案内(男子シングル)

フィギュアスケートを見るのが好きだ。

それを知っている友人から時々、「テレビで見ていたけれど、なんでこの選手が勝ったのかわからなかったから教えて」と尋ねられることがある。

フィギュアスケートというのはスポーツであるだけでなく、その美しさから人気のある競技ではあるけれど。たしかに好きで見ている自分であっても、まだまだ細かい採点基準の把握は難しい…という競技でもある。

だけれども、テレビや新聞で

もっとみる

フィギュアスケートに恋して ~その5~

フィギュアスケートに恋して ~その4~ の続きです。

* * *

ここから先は皆さん知っての通り。紆余曲折を経て彼は五輪王者となり、歴代最高得点を何度も叩き出し、そして今また新たな挑戦に向かっている所だ。

来年2月のオリンピックに向けて彼を追う若いライバル達、これまでに無い熾烈なジャンプ争い。立ちはだかるのは若手ばかりではない、彼の1番の敵は過去の自分自身。

歴代最高を叩き出したプログラム

もっとみる

フィギュアスケートに恋して ~その4~

フィギュアスケートに恋して ~その3~ の続きです。

* * *

このシーズンの彼は、本当に魅力的だった。
一試合毎に成長が目に見えて、全く同じ失敗は繰り返さないようにしているのが見ている方にも伝わってきた。言葉にするのは簡単でも、結果をもって見せるのは簡単な事じゃない。

客観的な視点がもたらす細かな分析や、合理的な対処ができる頭の良さ。そして人を惹きつけるパッション。その2つを兼ね備えてい

もっとみる

フィギュアスケートに恋して ~その3~

フィギュアスケートに恋して ~その2~ の続きです。

* * *

約10年ぶりに出会った、心惹かれる選手。

それが、羽生結弦君だ。
今となっては、日本人の殆どがその名を知っていると思う五輪王者。

でもその頃は、前年にシニアに上がったばかりの選手で。「伝説のニース」と言われる、2012年の世界選手権もまだだったし。ノービスやジュニアから見ているような熱心なファン以外は、あまり注目していなかっ

もっとみる

フィギュアスケートに恋して ~その2~

フィギュアスケートに恋して ~その1~ の続きです。

* * *

あれは2012年。

ソルトレーク五輪で最終滑走のアレクセイ・ヤグディンがフリーの演技を始める直前、ちょうど部屋を横切ってテレビの前を通りかかって。何気なく「ああ、オリンピックか。」と、見始めたのだけれど…

顔を覆うようなポーズから、ゆったりと動き始めて。
柔らかく、まるでパントマイムのような身体の使い方に目を惹かれた。

もっとみる

フィギュアスケートに恋して ~その1~

何気なく目にしたものに、自分でも驚く程に心を奪われた事はあるだろうか?

数分前までは、自分の人生に何の力も及ぼしていなかったものが一瞬にして。
もっと知りたい、もっと見てみたい…と興味の最優先事項になる。

まるで恋に落ちるような、出来事。

自分は人生の中で、2度そういう経験がある。
1度目は、10歳の時に我が家で飼う事になった子犬に触れた瞬間。
そして2度目は、2002年のソルトレーク五輪で

もっとみる