#スタンリー・キューブリック
<映画評>「タンポポ」と伊丹十三の映画文法
伊丹十三の作品を全て観たわけではないが、最上のものは「タンポポ」だと思っている。なぜなら、映画の基本文法であるモンタージュ(簡単に言えば、「場面と場面のつなぎ」)を屈指した映像と、さらに映画自体に対するオマージュが込められているからだ。
つまり、「シェーン」を換骨奪胎した内容や、当時は安い庶民の食べ物としてあまり注目されていなかった(高級レストランや老舗飲食店でのグルメが、大衆やメディアにも
<閑話休題・映画>『2001年宇宙の旅』の最後の食事をする場面から
衛星放送で『2001年の宇宙の旅』を放映するのを知って、ちょっとわくわくしている。もちろん、このスタンリー・キューブリックの映画史上最高の傑作を、もう無くなってしまった東銀座にあったテアトル東京で観た後、苦労した末にビデオテープ(昔のべーターマックス方式)を買った時は、まるで最高級の芸術作品を手に入れた気分になって、ひどく感激した。
その後は、ビデオからDVDに進化したので、マイアミの専
<書評・芸術一般>『Stanley Kubrick ,Director(スタンリー・キューブリック、映画監督)』Alexander Walker, Sybil Taylor, Ulrich Ruchti
『Stanley Kubrick ,Director(スタンリー・キューブリック、映画監督)』Alexander Walker, Sybil Taylor, Ulrich Ruchti 共著
W.W. Norton & Company, New York /London 1999 再版・拡大版
私が個人的に最高の映画監督だと思っている、スタンリー・キューブリックの研究書で、1971年に「Pa
<芸術一般>デュシャン、ベケット、キューブリック(チェスについて)
(もちろん、異論が多々あるだろうが)20世紀最高の芸術家マルセル・デュシャン、20世紀最高の劇作家兼小説家サミュエル・ベケット、20世紀最高の映画監督スタンリー・キューブリック。
私の敬愛するこの偉大な3人の芸術家に共通するのは、チェスが好きだということだ。たぶん、その強さから言えば、キューブリック(映画の世界に入る前は、賭けチェスで生活していた)、デュシャン(フランスのチェス大会で優勝経験
<芸術一般>映画「シャイニング」について
ちょうどハロウィーンの季節と言うことで、スタンリー・キューブリックの「シャイニング」が、ホラー映画の名作として話題になっているが、何か違和感を禁じ得ない。
まず、題名の「シャイニング」からして、これはホラー映画の意味ではない。主人公の少年や、ホテルの従業員が持っている未来を予知できる特殊な能力を「シャイニング」と表現しているのだから、彼ら2人の存在こそ主役である。そして、映画は彼ら2人を中心に見