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芸術一般

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芸術について、なんでも書きます。はじめはヨーロッパ絵画をかなり題材にしていましたが、現在は映画評論・芸術論・文学論などが多くなっています。
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2023年7月の記事一覧

<書評・芸術一般>『Stanley Kubrick ,Director(スタンリー・キューブリック、映画監督)』Alexander Walker, Sybil Taylor, Ulrich Ruchti

<書評・芸術一般>『Stanley Kubrick ,Director(スタンリー・キューブリック、映画監督)』Alexander Walker, Sybil Taylor, Ulrich Ruchti

『Stanley Kubrick ,Director(スタンリー・キューブリック、映画監督)』Alexander Walker, Sybil Taylor, Ulrich Ruchti 共著
 W.W. Norton & Company, New York /London 1999 再版・拡大版

 私が個人的に最高の映画監督だと思っている、スタンリー・キューブリックの研究書で、1971年に「Pa

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自由律俳句(その6)

自由律俳句(その6)

〇 6月7日 雨が続いたため、久しぶりに公園に行く。雨上がりのせいか、鳥の声が沢山聞こえる。

公園で迎えてくれる かまびすしい鳥の声 私はまだ死んでないよ

いつの間にか逃げなくなった鳥たちよ やっと友になれたのか

草むら入り 足を掻く そこにも命が生きていた

〇 6月12日午後3時 霧雨の中を近所のスーパーへ買い物に行く。下校途中の小学校低学年が沢山歩いている。

先になり後になり でも私

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<芸術一般・エッセイ>ナンデ君とダカラ氏との12の対話(そしてときどき、ワカッタ嬢の闖入)(後編)

<芸術一般・エッセイ>ナンデ君とダカラ氏との12の対話(そしてときどき、ワカッタ嬢の闖入)(後編)


6.ナンデ君「なんで、生き物を殺したらいけないのですか」

 ナンデ君、少しわかったような顔をしながら、今日もダカラ氏の家を訪ねてきた。

ナ「死ぬことを避けなきゃというのは、なんとなくわかったんだけど、じゃあ、今度は殺すこと、もちろん人を殺すのはいけないのはわかっているけど、他の生き物、例えばハエや蚊、そしてゴキブリとかは、普通に殺していますよね。・・・これって、どうなんだろう?」
ダ「うん、

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<芸術一般・エッセイ>ナンデ君とダカラ氏との12の対話(そしてときどき、ワカッタ嬢の闖入)(前編)

<芸術一般・エッセイ>ナンデ君とダカラ氏との12の対話(そしてときどき、ワカッタ嬢の闖入)(前編)

(前口上として)

 ある本(『日本人にとっての東洋と西洋』谷川徹三・福田定良 法政大学出版局)を読んでいたら、問答と対話とは異なるものだと説明されていた。それによれば、問答とは仏教、なかんずく禅の基本としてあり、師が弟子の問いに答えるものだそうだ。そして、この場合は、師が弟子に一方的に答えを伝え、弟子はその答えに疑問を挟んだり、さらにヘーゲルの弁証法のように、アンチテーゼ(反対となる命題)を提示

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<散文詩>「前奏曲集第1巻」

<散文詩>「前奏曲集第1巻」

 クロード・アシル・ドビュッシー作曲「前奏曲集第1巻」から,その各曲の題名と曲想をイメージした散文詩を作ってみた。これは,ドビュッシーの世界でもあり,私の世界でもある。

1.デルフィの舞姫

老夫婦は,エーゲ海の小さな島を訪れた。
デルフィという名の島だった。
二人は言葉を交わすこともなく,
島の中央に残る古代の神殿跡を目指した。

神殿跡には,
腰掛けるのにちょうどよい大理石があった。
二人は

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