南のよもぎ

鹿児島に住む50代の男。アイコンは息子に描いてもらった。

南のよもぎ

鹿児島に住む50代の男。アイコンは息子に描いてもらった。

記事一覧

「奇跡の人」感想

原田マハさんの「奇跡の人」、面白かった。 最初、岩倉具視とか、伊藤博文とか実在の名前が出てくるし、重要無形文化財制度制定の話も出てくるから、日本にもヘレン ケラー…

「総理の夫」感想文

強い女性が主人公の物語は面白い。 才色兼備で、清廉潔白で、豪胆無比な日本初の女性総理大臣。総理大臣になることが目的ではなく、日本の未来を救うという目的のために総…

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「9月1日 母からのバトン」感想文

「死なないで、ね・・・・・どうか、生きてください・・・・・」亡くなる2週間前、樹木希林さんは病室の窓の外に向かって繰り返していたそうです。 それを見た娘の内田也哉子さんは…

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「地球星人」感想文

工場側の地球星人である小生には、まことに衝撃の作品。 最初は、母親の愛が足りない少年少女(従兄弟同士)の妄想から始まる人間形成の物語だろうと、高を括っておりました…

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「眠れないほどおもしろい 世界の三大宗教」

ときどき、神話とか宗教の本に興味をそそられることがある。 本書もそんな軽い気持ちで手にした本。 全部は覚えきれないけど、面白かった件をいくつか。 キリストの磔 ユダ…

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「キネマの神様」感想文

ギャンブル依存症のゴウちゃん。 現金を持つと、すぐに麻雀や競馬で溶かしちゃうダメな父親。 友達にも借金しまくってて、それを返すのは家族で。 家族にとっては悩みの種…

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海の思い出

5歳のとき、家族で海に行った。 母親から、「どこか行きたいとこない?」ってきかれて、食い気味に「うみー!」即答。 記憶では、7月に入ってすぐくらい。当日は、曇り。…

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「ののはな通信」感想文

三浦しをんさんの「舟を編む」が大好きで、大好きな辻村深月さんの帯を見て、あらすじを読まずに文庫本を即買い。 読み始めるとすぐ違和感。女子高生なのになんでLINEじゃ…

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「コンビニ兄弟 -テンダネス門司港こがね村店-」感想文

「東京バンドワゴン」が好き。 登場人物がいちいち魅力的で。 一作目からの登場人物は成長し続け、新たな登場人物も絶賛増殖中。(ちょっと覚えきれない) 本作も、「東京バ…

「青空と逃げる」感想文

都会から来た母と息子が、田舎の人々の優しさで生活を立て直し、大団円。 みたいな始まり。 でも本質の問題は何にも解決してなくて、好転の兆しすら見えなくて、正しく逃…

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「あなたは、誰かの大切な人」感想文

「5分で読めて、感動する。」という類のキャッチフレーズの書店のポップ。いざ、読んでみると、短い文章の中で無理に感動させたり驚かせるために、奇を衒いすぎていて、読…

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夜空に泳ぐチョコレートグラミー 感想文

町田そのこさん。また一人、好きな作家さんが出来てしまった。 有川浩さん、恩田陸さん、瀬尾まいこさん、辻村深月さん、原田マハさん。 50歳のオジサンが、好きな作家さ…

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神様からひとこと 感想文

「お客様は神様です。」的な、顧客のクレームから会社が成長する物語。なら途中で読むのをやめるかもしれないと思ってた。 萩原浩ワールドは、期待通り、そんなんじゃなか…

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R帝国 感想文

無慈悲なバッドエンド。 しかし、そのバッドエンドを小説の中だけの出来事と、割り切れない。 むしろ、我々の世界もそうなるのでは、もしかして、もうそうなっているので…

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宮廷神官物語 十二 感想

曹鉄と櫻嵐の娘、翠嵐を中心としたストーリー。後日談にしては読み応えがあり、まさに真の完結編。 翠嵐がとても魅力的なキャラクターで、もっと翠嵐のその後のストーリー…

かがみの孤城 感想文

ポプラ社の企画には間に合わなかったけれど。。。 息子が部活を辞めた。小5から始めたサッカーを高1の2月に。 息子は双子の弟で、双子の兄は同じ高校でサッカー部をつづけ…

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「奇跡の人」感想

「奇跡の人」感想

原田マハさんの「奇跡の人」、面白かった。
最初、岩倉具視とか、伊藤博文とか実在の名前が出てくるし、重要無形文化財制度制定の話も出てくるから、日本にもヘレン ケラーと同じ三重苦の人がいて、その実在の話かなと思ってた。
先生の名前が去場安(さりばあん)、三重苦の生徒の名前が介良れん(けられん)とわかった瞬間に、やっぱりヘレン ケラーの話なんかぁーい。とツッコんでしまった。
でも、話の大筋が分かっても、

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「総理の夫」感想文

「総理の夫」感想文

強い女性が主人公の物語は面白い。

才色兼備で、清廉潔白で、豪胆無比な日本初の女性総理大臣。総理大臣になることが目的ではなく、日本の未来を救うという目的のために総理大臣になる。素晴らしい。かくあるべき。

もう一人の主人公の総理の夫。前半の政敵に隙を見せてしまう無自覚ぶりにはイライラした。
まっ、私も同じ立場だったら、同じようなことになるんだろうなぁ。

「本日は、お日柄もよく」の久遠久美さんが、

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「9月1日 母からのバトン」感想文

「9月1日 母からのバトン」感想文

「死なないで、ね・・・・・どうか、生きてください・・・・・」亡くなる2週間前、樹木希林さんは病室の窓の外に向かって繰り返していたそうです。

それを見た娘の内田也哉子さんは、お母さんがおかしくなってしまったと思ったそうです。

その日は9月1日。一年の中で一番(ダントツ)子供の自殺が多い日。それを知っていた樹木希林さんは、命がもったいないと一生懸命祈っていたそうです。

本書は、生前の樹木希林さん

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「地球星人」感想文

「地球星人」感想文

工場側の地球星人である小生には、まことに衝撃の作品。

最初は、母親の愛が足りない少年少女(従兄弟同士)の妄想から始まる人間形成の物語だろうと、高を括っておりました。(少年少女を人間として形成させるなんて、正しく地球星人の発想。)

奈月と由宇のように、小生も従姉妹が多く、お盆の田舎での過ごし方にも、共感とノスタルジーを感じた次第だったので。あんな一線を超えるような出来事が起こるなんて。。。

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「眠れないほどおもしろい 世界の三大宗教」

「眠れないほどおもしろい 世界の三大宗教」

ときどき、神話とか宗教の本に興味をそそられることがある。
本書もそんな軽い気持ちで手にした本。
全部は覚えきれないけど、面白かった件をいくつか。
キリストの磔
ユダヤ教は、イエスを偽メシアの一人として、磔にした。キリスト教では、イエスが磔にされたことで、アダムとイヴの原罪が贖われたと考える。
エヴァンゲリオン
イエスの生涯と言葉を記したもは「福音書」と呼ばれる。「福音」は英語でゴスペル、ギリシア語

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「キネマの神様」感想文

「キネマの神様」感想文

ギャンブル依存症のゴウちゃん。
現金を持つと、すぐに麻雀や競馬で溶かしちゃうダメな父親。
友達にも借金しまくってて、それを返すのは家族で。
家族にとっては悩みの種。ってか悩みの大木。それさえ無ければ家族は幸せになれるのに。それがあるから幸せになりきれない。

でも、側から見ると憎めないキャラクター。憎めないから、友達はお金を貸しちゃうのです。志村けんさんのイメージがしっくり。

ゴウちゃんは、ひょ

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海の思い出

海の思い出

5歳のとき、家族で海に行った。

母親から、「どこか行きたいとこない?」ってきかれて、食い気味に「うみー!」即答。

記憶では、7月に入ってすぐくらい。当日は、曇り。ってか小雨。鹿児島でもさすがに寒かった。

海にはウチの家族だけ。水着を着てるのは僕と、2コ上の兄貴だけ。

でも、ギャアギャア言いながら波に立ち向かったり、人型に砂に埋められたり。

真紫の唇で、僕と兄貴は父親のカメラに向かってマン

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「ののはな通信」感想文

「ののはな通信」感想文

三浦しをんさんの「舟を編む」が大好きで、大好きな辻村深月さんの帯を見て、あらすじを読まずに文庫本を即買い。

読み始めるとすぐ違和感。女子高生なのになんでLINEじゃないの?
すると「日出処の天子」だの「怪人21面相」だの、50歳の私の記憶にギリ残る古臭いワード。

なんだ、昔の女子高生の話か。

読み進めると、「おいおい、まさか手紙のやりとりだけで話を最後まで進めるつもりー!?」
結局、そうだっ

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「コンビニ兄弟 -テンダネス門司港こがね村店-」感想文

「コンビニ兄弟 -テンダネス門司港こがね村店-」感想文

「東京バンドワゴン」が好き。
登場人物がいちいち魅力的で。
一作目からの登場人物は成長し続け、新たな登場人物も絶賛増殖中。(ちょっと覚えきれない)
本作も、「東京バンドワゴン」みたいにずっと続いて欲しい。
だって、店長の五人兄弟のうち三人しか出できてないし、店長の実家も気になるし。恒星、小関、美冬の関係性の進展も見届けたい。
町田その子さんも、続編を考えてらしい記事を読み、今から楽しみ。

「青空と逃げる」感想文

「青空と逃げる」感想文

都会から来た母と息子が、田舎の人々の優しさで生活を立て直し、大団円。

みたいな始まり。

でも本質の問題は何にも解決してなくて、好転の兆しすら見えなくて、正しく逃げるだけ。

解決に向けて訪れた仙台で、母親が体調を崩して、解決どころの話ではなくなる。

青空どころか真っ暗。

そんな中、出会った谷川ヨシノ。

その名前が目に入った瞬間、「おおぉー!」感動にも似た感覚と、「もう安心」と安堵感。

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「あなたは、誰かの大切な人」感想文

「あなたは、誰かの大切な人」感想文

「5分で読めて、感動する。」という類のキャッチフレーズの書店のポップ。いざ、読んでみると、短い文章の中で無理に感動させたり驚かせるために、奇を衒いすぎていて、読後に「はぁ?」が頭から消えない作品が多い。
「あなたは、誰かの大切な人」は、読後に広がりを感じる。登場人物がその後、「ああなったのかな?」とか、「こうなって欲しいな。」とか、読者の頭の中で物語が続いていく。
「短編で読みやすいですよー」みた

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夜空に泳ぐチョコレートグラミー 感想文

夜空に泳ぐチョコレートグラミー 感想文

町田そのこさん。また一人、好きな作家さんが出来てしまった。

有川浩さん、恩田陸さん、瀬尾まいこさん、辻村深月さん、原田マハさん。

50歳のオジサンが、好きな作家さんが女性ばかりって、どうなんだろう?

自己分析するに、女性作家さんが描く男の登場人物がカッコいい!と思う。

本作のりゅうちゃん、哲太、芙美さん、重史、宇崎くん。みんな魅力的でカッコいい男(おんこも含む)

本作は、カッコイイ登場人

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神様からひとこと 感想文

神様からひとこと 感想文

「お客様は神様です。」的な、顧客のクレームから会社が成長する物語。なら途中で読むのをやめるかもしれないと思ってた。

萩原浩ワールドは、期待通り、そんなんじゃなかった。良かった。

クレームという名の脅迫への対処は、推理小説のようでもあり、爽快だったなぁ。

終盤の会社に対する糾弾は、半沢直樹を彷彿とさせた。調べてみたら、半沢直樹シリーズの約2年前の作品で、ビックリ。

タイトルを含めた全ての伏線

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R帝国 感想文

R帝国 感想文

無慈悲なバッドエンド。

しかし、そのバッドエンドを小説の中だけの出来事と、割り切れない。

むしろ、我々の世界もそうなるのでは、もしかして、もうそうなっているのでは。

それを回避する答えを私は持たない。作者も持っていないのでは。この世界の誰も持っていないのでは。

誰でも加害者にも被害者にもなり得る社会。

作者は、物語のなかで、物理的運動と表現していたが、星が公転と自転を続けるように、破滅な

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宮廷神官物語 十二 感想

宮廷神官物語 十二 感想

曹鉄と櫻嵐の娘、翠嵐を中心としたストーリー。後日談にしては読み応えがあり、まさに真の完結編。
翠嵐がとても魅力的なキャラクターで、もっと翠嵐のその後のストーリーを読みたくなった。
でも、やっぱり天青。期待通りに成長していて、爽快な活躍をしてくれた。
物語の根底にある、身分制度。藍昌王、鶏冠ともに、身分制度の廃止を目指しているが、その世界までは描かれなかった。
現在の日本には麗虎国のような身分制度は

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かがみの孤城 感想文

ポプラ社の企画には間に合わなかったけれど。。。

息子が部活を辞めた。小5から始めたサッカーを高1の2月に。
息子は双子の弟で、双子の兄は同じ高校でサッカー部をつづけている。
私は辞めて欲しくなかった。部活での仲間は一生の財産になるとか、進学就職に有利になるとか、好きなものを買ってやるとか、なりふり構わず説得した。
息子の気持ちは変わらず、辞める理由もハッキリ分からなかった。
部活の仲間とは良好な

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