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あれからもう1年!? 変化を認識する、現状維持バイアス回避の視点とは

「あれからそろそろ1年になるのか…。風景化するのは危険だな…」

今日は4月7日。1年前を覚えていますでしょうか?第一回目の緊急事態宣言が出たのがちょうど1年前とのこと。あれから早いもので1年になります。

当時の東京の感染者数は87人でした。「87人」で、当時は「ヤバイ!」という感覚でしたが、今の我々の感覚では「少ないなぁ」と感じるかもしれません。

そして、第2回目の緊急事態宣言は今年の1月7日。その時の東京の感染者数は2,447人。1回目と比べると約30倍ですね。そして直近の感染者は250人程度。目下のところ危機的な状況は大阪で800人を超えました。

改めて、1年の節目で鳥の目で俯瞰して、我々が持つべきマインドセットについて考えてみたいと思います。

ニューノーマルはノーマルへ

昨年の緊急事態宣言下で生まれた言葉が「ニューノーマル」。それからの1年はコロナのニュースが報道されなかった日はありません。連日のように発表される「感染者数」。世間はこの情報にある種の慣れが出始めていると思います。

一時的に抑え込み直前まで行ったことも経験し、恐怖心が薄れていますし、毎日見聞きする情報に関心自体の薄れも起こっています。これはもはやニューノーマルが「ノーマル」になったと言えるのではないでしょうか。

生命の危機では「生理的欲求」が優位になる

例えば、感染者数のニュースに触れた時、「今日は昨日よりも減っている、もしかしたらこのまま落ち着くかも…」とちょっと期待を持ったりします。無意識に安心したい、もしくは悲観的感情を許容したいという心理が働くことがあります。

一方で、感染者がゼロにならない日々が続くことで、「自分もどこかで感染するかも?」という不安は拭えませんし、それが消えることは今の状況ではありえないでしょう。

このような環境下で人はどんな心理状態を抱くでしょうか。マズローの5段階欲求で考えると、コロナ前の世の中では社会やコミュニティに帰属する「社会的欲求」や、さらに上位の「承認欲求」、「自己実現欲求」というように、より生きる意味を見出す上位の欲求へと関心を高めていっていました。

一方で今のコロナ禍で我々が意識するのは「まず感染しないようにする」という生存の維持の欲求です。経済不安定の中でも生活できるように生活基盤を確保するという「安全欲求」や、さらには一番下の「生理欲求」に下降していっています。

これは、人のマインドが5段階欲求の下方の生命維持モードに入っているということです。その状態では、「無意識の心理的動作が起こりやすい状態」になっていると言えます。

無意識に働く心理的動作は「認知バイアス」と呼ばれるものです。このバイアスの存在を認識し、どんな時、どのように自分の中で作用しているかを把握することが大事です。

自分の思考や行動はこうしたバイアスの影響を受けやすい状態であるということを再認識しておきましょう。

気をつけたい現状維持バイアス

認知バイアスの中に「現状維持バイアス」があります。これは変化や未知のものを避けて現状維持を望む心理作用のこと。 現状から未経験のものへの変化を「安定の損失」と認識し、現在の状況に固執してしまうことです。

人はもともと変化を嫌います。変化には今まで居心地のよかった安定した環境を失うリスクが伴います。それゆえ人はなかなか変われません。

気付づいていながらも、「今のままがここちよい」と思ったり、「そのうちに何とかなる」と楽観視しているうちに、重大な事態に発展しかねません。

現状維持バイアスを回避する

認知バイアスは無意識に働く心理的動作ですので回避するのが難しいですが、そんなバイアスがあると認識すれば対処もできます。現状維持バイアスを回避するヒントを3つご紹介します。

1.「虫の目」から「鳥の目」へ

「今の状況」を客観的な視点で捉えることが重要です。イメージは虫の目ではなく「鳥の目」です。なるべく高い視座から物事を見て、冷静に状況を把握する事が大切です。

今日は緊急事態宣言からちょうど1年という節目。こうした節目や区切りを利用して、客観的に俯瞰して状況を見ることで、変化に気づけます。

この「鳥の目」で、学びのある寓話を一つご紹介します。

あるお坊さんがいました。
そのお坊さんは「山に入る」という言葉を村人に残し、山にこもりました。
お坊さんはそのまま3年間、山で暮らしました。
お坊さんが山から下りて来た時、村人がお坊さんに言いました。
「お坊さん、どうですか久しぶりの下の世界は?
 3年も山に登ってたので変化が分からないでしょう?」
するとお坊さんはこう言いました。
「3年山に上っていたから、変化が分かるんですよ」

このお話は近視眼的に情報に触れ続けるのは重要な変化を見落とすリスクがあることを教えてくれるお話です。お坊さんの存在が正に「鳥の目」のメタファーですね。

変化とは「ある状態・位置から、他の状態・位置に変わること」という意味であり、ギャップです。村人はずっと村にいるので、村の変化を全て掌握していると思っています。しかし、実はその変化はいずれも小幅な変化すぎて、ギャップを掴み切れていません。一方で、お坊さんは一定期間村から離れていたのでそのギャップを明確につかめるということです。

毎日「感染者数」の情報に触れている我々ですが、この寓話の村人の様に「変化」に気付けていない可能性があることを理解しておきましょう。

2.自分に「?」を問う

変化対応とは「変化に気づいて行動する」ということ。この「気付く」とは頭の中に「?」が浮かぶということです。これ、目の前を風景のように流れる日常の中ではなかなか難しいです。そんな時に役立つのが「問いを立てる」ということ。

 「今のまま進んでよいのか?」
 「自分に求められているものは?」
 「今自分は何をすべきか?」

自分に向けて「?」を問うことで、このままではいけないという問題意識が芽生えます。現状を無闇に肯定せずに、状況が少しでも良くなるために自分ができることに思いを巡らす。そのためにも自分に「?」を問うことは有効です。

3.いつもと違うことをする

現状維持バイアスから抜け出すには、自分の中に「変化」を生み出すことが大切です。その工夫として、自分の日々の行動の優先順位を見直すという手法があります。

意図的にいつもと違う行動をとるという手法が有効です。「たまには自分優先で動いてみる」「たまには先延ばしにしてみる」「あえてやめてみる」など、自分が日ごろ取らない行動をあえてすることで、その行動の意味を考えるきっかけになります。自分に変化をつくり、現状維持に浸らない習慣をつくることにつながります。

まとめ

この1年、「あっという間」という人もいれば「長かった」と感じる人もいるでしょう。その感覚は人それぞれですが、1年経ったという事実は揺るぎません。

日々それほど変わらない毎日を私たちは送っていますが、この1年で世の中は少しずつ変化してきました。そして残念ながら1年経ってもコロナの脅威は目の前にあります。

小さな変化は気づきにくく、「風景」になりがちです。そこで我々が無意識に影響を受けるのが現状維持バイアス。このバイアスは変化に気づき行動することを妨げます。

「鳥の目を持つ」「自分に問いを立てる」「いつもと違うことをする」といったアクションで、現状維持バイアスを回避し、変化に対応できるようにしましょう。

人は変化を嫌う生き物ですが、「変わる」ことがデフォルトになれば、変わらないことが違和感になるとも言えます。積極的に自分をアップデートし、変化を自分のものにすることで、環境変化に後れをとらない自分に近づけるのではないでしょうか。

生理的欲求が優位にあるコロナ禍の今は心理バイアスが働きやすい状態です。そんな中でも冷静に、環境変化にも適応していけるように「自分を変える」ことを意識していきたいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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