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【時評】黙示・シネコン・絶望──『ボーはおそれている』および「映画」への怖れについて
(画像引用元:https://youtu.be/XrCg9G_OHAA?si=jGRtkQogFGxclDq3 ) 物語を成り立たせるもの。それはしばしば「工学」にもなぞらえられるほど精緻で隙のない構造・類型…
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【時評】ツギハギたちの憂愁──『哀れなるものたち』によせて
(記事サムネイル画像引用元:https://youtu.be/kl0lv3IVCzI?si=CaRN6wFk-uZiiFjQ) 成熟。それは近代市民社会を通貫するタームであり、個人の実存に分かちがたく食い込ん…
亡霊、ひび割れたイノセンス──『ガールズバンドクライ』のために
はじめに
本記事ではアニメ『ガールズバンドクライ』の物語・表象分析を通じて、それが胚胎していた可能性を描出する。
それはさらに、追懐としても機能する。過ぎ去ってしまったすべてのもの。失われてしまったすべてのもの。いつかの放課後、いつかの曇天、いつかの夢、いつかの失望、いつかの敗北。そうした一切にまつわる感傷を精緻に再構成し、しかるのちに解体・葬送すること。奇蹟からも破局からも疎外されたど
【コラム】ブログカルチャーと人文学についての雑感
ブログカルチャーのゆくえについて考えている。あるいは、かつて存在した(と思われる)ブログカルチャーが胚胎していた可能性を。
既存の流通ネットワークのオルタナティヴとしてのブログ。商業出版の世界からは立ち上がりようもない言葉を掬い上げ、しかるべき場所・
人に配送するシステム。そう書いたとき、われわれは東浩紀の名を思い起こすかもしれない。網状言論・波状言論。彼とその追想者たちが行っていた活動。そ
【エッセー】河原木桃香はOrangestarを聴いていたのか?──『ガールズバンドクライ』と初夏の追想
1.近接するノスタルジー
河原木桃香。2004年生まれ、20歳。バンド:トゲナシトゲアリのギター。無論、それら言葉の連なりが指し示すのは、複数のクリエイターによって形成され、絶えず更新され続ける幻像──有り体に言えば「設定」だ。しかしそれゆえに、その存在は一つの切実さをもってわれわれに迫る。
2004年に生まれるということ。それはゼロ年代に生まれるということであり、そして2010年代(テ
【リスト】城輪アズサ・文フリ東京38寄稿一覧
タイトルにあるように、5/19に東京流通センターで開催される文学フリマ東京38に際して、僕(城輪アズサ)が、いくつかの批評同人誌に寄稿した原稿を紹介していきます。ライトノベル、アニメ、少年漫画……。10代のころに触れていたコンテンツを中心に、幅広く書かせていただきました。
神戸在住者ゆえ(というか、学生特有の金欠のゆえ)今回当日の参加はできないのですが、行かれる方のご参考になればと思います。
【散文】「ゴジラ」と批評のエア・ポケットについて──アカデミー・ミレニアム・怪獣特撮
今日(2024.3.11)、米アカデミー賞の全部門における受賞者・受賞作が発表された。日本からは宮崎駿監督『君たちはどう生きるか』、そして山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』がそれぞれアニメーション部門、視覚効果賞を受賞し、とりわけ後者は、スタンリー・キューブリック以来となる監督・VFX兼任の監督作が受賞したことによって「快挙」と評されていた。
キューブリック、あるいはスピルバーグ。そうした固有名
【時評】黙示・シネコン・絶望──『ボーはおそれている』および「映画」への怖れについて
(画像引用元:https://youtu.be/XrCg9G_OHAA?si=jGRtkQogFGxclDq3 )
物語を成り立たせるもの。それはしばしば「工学」にもなぞらえられるほど精緻で隙のない構造・類型だ。なればこそ、批評家はそこに精神分析的な視座を持ち込むことができた。構造体としての物語を、解体することなくつなぎ直すこと。そこに、提示されたものとは異なった仕方の秩序を見出すこと。それは
【時評】終わらない楽園のための賛歌──『仮面ライダー555 パラダイス・リゲインド』と20年を駆ける本能について
1.ゼロ年代における『仮面ライダーファイズ』
「仮面ライダー」は、しばしば「仮面」をめぐる物語を展開してきた。
仮面。正体を文字通り覆い隠し、装うことを可能にするレイヤー。それは外的現実に介入するための武装である以上に、その正体を、内にあるものを秘匿するための膜であり、そしてそれゆえに、仮面ライダーという実存は常にいま・ここの現実から半歩遊離した存在として機能していた。
いま・ここの
【時評】ツギハギたちの憂愁──『哀れなるものたち』によせて
(記事サムネイル画像引用元:https://youtu.be/kl0lv3IVCzI?si=CaRN6wFk-uZiiFjQ)
成熟。それは近代市民社会を通貫するタームであり、個人の実存に分かちがたく食い込んだ生臭く、重苦しいミームの一つだ。
子どもから大人へ、未熟から成熟へ。発達というもの、個人の身体が被る宿命的な変化というものを、科学の原理・規範の原理へと回収せしめんとする欲動。それが