【経営学36】3C分析とは?(マーケティング分野)
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はじめに
今日はマーケティング分野でメジャーなフレームワークである「3C分析」について解説していきます!
3C分析の提唱者はなんと日本人で、あの有名な大前研一さんです。
しかも、1982年にアメリカで出版した書籍で初めて提唱しました。
最初の出版がアメリカなんですね😱
やはり規格外の男は違いますね。
その後、1984年に日本語にも翻訳され、現在も販売されております。
英語版が先で、日本語翻訳が後という極めて珍しい書籍です。
しかも、日本人なのに自分では書かずにあえて翻訳を学者に任せるという🙄
もっというと、その翻訳の出来の悪さを前書でディスるという(笑)
色んな意味で面白い書籍です。
ちなみに、2014年に新装版も出ています。
興味のある方は是非原著をお読みください😁
1.3C分析とは
3C分析とは、事業計画、経営戦略等を練る際のフレームワークで、Customer(顧客・市場)、Company(自社)、Competitor(競合)という3つの「C」について分析する手法です。
マーケティング分野ではすでに広く知られているフレームワークなので、誰でも一度は聞いたことがあるだろうと思います。
しかし、このフレームワーク、一つ一つの概念がかなり広いので使いこなせる人は極僅かだろうと思います🤔
そもそもCustomerの中に「顧客」と「市場」が一括りにされていますが、厳密にはこの2つは異なる分析が必要でしょうし、顧客も市場も概念が広いので、どのような定義で分析を行うかも人それぞれです。
同様に、Company(自社)の分析やCompetitor(競合)の分析でも、どのような定義でどのような方法を用いて分析を行うかによって分析結果は異なってくるでしょう。
したがって、3C分析を行うと一言で表現したところで、その内容・方法は分析者によって大きく異なってくることになります😁
そして、他のフレームワークと同様、3C分析を知っているからといって、それだけで良い戦略が生み出せたり、良い事業計画を策定できるわけではありません。
フレームワークは所詮思考の整理術の一つなので、3C分析の視点で情報をまとめて、分析をしやすくするという程度のものだとお考えください。
2.3C分析の実践例
3C分析には分析者によってやり方が異なるので、必ずこの方法で分析を行わないといけないというルールは存在しません。
また、前述の通り、3C分析は一つ一つの概念がとても広いので、他のフレームワークを併用することで分析を進めていく方法が一般的です。
今回は、Customerの「顧客」と「市場」を別々のものとして検討し、他のフレームワークを応用することで分析していきましょう。
なお、今回ご紹介する分析方法もただの一例だと思ってくださいませ。
分析者のやりやすいやり方で分析してください😁
(1)Customer(顧客)
私が思うに、3C分析で最も難しい論点はここだと思います。
自社にとって「顧客」は誰なのかという論点です。
「顧客」という概念をどう定義するかは各社によって異なります。
どのような人をターゲットにして製品・サービスを提供しているのか。
顧客とは、あまりに身近過ぎて、意外と言語化できない言葉です。
自社から製品・サービスを買ってくれるすべての人を顧客と捉えてもいいでしょうが、おそらくそれでは分析もボヤッとしていてあまり意味を成さないと思います。
より具体的に、よりイメージできるように言語化していく必要があるでしょう。
3C分析の最終ゴールは、事業計画や経営戦略、マーケティング戦略等の策定・実行にありますから、誰を顧客として狙っていくのかは具体的に定義したいところです。
それによって「市場」の広さや定義が変わってきます。
国籍、年齢、性別、年収、居住地、学歴、リテラシーなど様々な要素を検討して、顧客を定義していくと良いでしょう。
(2)Customer(市場)
(1)でお伝えしたとおり、顧客の定義が確定すれば、自ずと市場も明らかになっていきます。
その市場をどのように分析するのかについては、他のフレームワークを活用した方が良いでしょう!
最も有名なフレームワークはPEST分析だろうと思います。
PEST分析については以前解説させていただきましたので、詳しくはそちらをご覧ください。
PEST分析の主な考慮要素は以下のとおりです。
P:Political(政治分野)
E:Economic(経済分野)
S:Social(社会分野)
T:Technological(技術分野)
自社の主戦場となる市場について、政治的・経済的・社会的・技術的な視点からマクロ的な分析を行っていくのがPEST分析です😁
様々な情報を自社にとって有利または不利な情報に分類し、今この市場を狙っていくのが適正なのかどうかを判断してください。
王道は、今後の市場拡大が十分に見込めて、規制も緩く、競合が少なく、自社の技術やノウハウが活かせるような市場を攻めていくことです。
新規参入者に対する参入障壁が築きやすい市場なんかも良いですね。
しかし、そんな美味しい市場はなかなかないのが現実です。
実際のところは、美味しい市場≒競合他社も多く参入する市場となることが多いので、スピードと資本の勝負になります。
(3)Company(自社)
仮に(2)において、良い市場が見つかったとしましょう!
その上で、その市場を自社が攻略できるのか。
その視点で分析できる便利なフレームワークがあります。
つい先日ご紹介したSWOT分析及びクロスSWOT分析です。
上記SWOT分析・クロスSWOT分析を用いて、自社の強みと弱み、市場のチャンスや脅威などをよく理解し、実際のその市場を攻略できそうかどうか、今の時点でできないとしても何らかの手段があるかを検討していきます。
その上で「イケそうだ」と思えたら、さらに分析を進めていきます。
(4)Competitor(競合)
良い市場を見つけ、自社の能力的にもその市場を攻めることができそうだと感じた場合でも、まだ一つ重要な要素が隠れています。
それが「競合」です🙄
そもそも、美味しい市場なんて滅多に無いですし、あったとしてもみんながそこを狙います。
だからこそ、自社だけが知っている美味しい市場なんてものは存在しないという前提でいた方が良いです。
良さそうな市場を見つけたとしても、必ず競合調査を行いましょう。
この競合調査を行う際、自社が置かれている競争環境を分析する際に使うファイブフォース分析というフレームワークが活用できそうです。
ファイブフォース分析では、以下の5つの競争環境を分析していきます。
新規参入業者の脅威(Threat of new entrants)
代替品の脅威(Threat of substitutes)
買い手の交渉力(Bargaining power of customers)
供給企業の交渉力(Bargaining power of suppliers)
競合他社(Competitive rivalry)
これらの分析を通じて、自社が今置かれている競争環境をよく理解し、競合や新規参入者がいても十分に戦えると思えたら、GO!です😁
もっとも、ファイブフォース分析の5要素すべてで問題がないというケースはほとんどありません。
通常は2~4つ程度は問題を抱えていて、それらの問題を解決することこそが戦略の一つとなります。
3.3C分析は実務で使えるのか
3C分析の解説は以上ですが、実務で実際に使えるのかというと、使っている人はかなりいるという印象です。
マーケターが3C分析をそのまま使っているかどうかはわかりませんが、経営戦略の分野では広く一般的に用いられているフレームワークの一つだと思います。
例えば、IR資料(決算説明資料等)でも、直接的には3C分析とは表現されていませんが、資料内に「自社のターゲット層(顧客の定義)」「現在の市場の状況や将来の市場の予測」「自社の強み・弱み」「競合の状況」という内容が盛り込まれていて、3C分析の要素を取り入れていると思われるものをよく見ます😁
事業計画書や中期経営計画などにも多かれ少なかれ3C分析の要素は取り込まれているものです。
そのため、3C分析で掲げられている要素はどれも重要なので、今のうちに基礎の部分だけでも覚えておくと良いと思います。
実務で応用できるようになっていれば尚良です。
4.参考例(ロードスターキャピタル)
せっかくなので、上場企業の決算説明資料を例にとって見てみましょう!
今回の模範例はロードスターキャピタル株式会社です。
ロードスターキャピタル社は、先日東証一部から東証プライム市場へ移行しまして、業績もずっと右肩上がりです。
この会社の決算説明資料は非常にわかりやすく、3C分析の要素も含まれているので、良い勉強資料になると思います。
ではさっそく、2022年8月5日に公表された決算説明資料を見てみましょう!
ロードスターキャピタル社は、以下の4つの事業を展開しています。
・オフィス用不動産投資事業(安く買って、高く売る)
・アセットマネジメント事業(不動産の賃貸管理等)
・不動産コンサルティング(仲介等)
・クラウドファンディング事業(ソーシャルレンディング)
このうち、わかりやすい事例はクラウドファンディング事業だと思うので、その部分の資料を参考にしたいと思います。
ロードスターキャピタル社は、ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)という比較的新しい事業を行っていて「OwnersBook:オーナーズブック」という投資プラットフォームを運営しています。
簡単にいうと、ロードスターキャピタルのグループ会社が他社に貸付を行う際に、当該貸付資金を一般投資家(一般の個人)からクラウドファンディングで集めるというビジネスモデルです。
その貸付の際には、必ず不動産を担保としてとるので、貸し倒れが発生したとしても、当該不動産価格まではリスクを軽減できます。
そして、貸付先から利息が返済される際に、一般投資家は当該利息を配当金として受け取れます😁
通常、一般の個人は法人同士の貸金業に手出しできませんが、ソーシャルレンディングというビジネスモデルを通じてであれば、そこに参入することができます。
オフィスビルという資産価値の高い不動産を担保にして、比較的高利率で貸付を実行できるので、通常の貸金業よりも安全に貸付を行うことができ、かつ、法人貸付であることから、通常の貸金業よりは利息も高いです。
したがって、ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品といえます。
そして、一般投資家(原則として個人)を「顧客」と考える以上、その顧客がどういう志向を持っているのかをよく理解する必要があります。
ロードスターキャピタル社が顧客についてどういう見解を持っているのかが伺える記述がP.27にありました。
3C分析でいう「Customer(顧客)」に関する部分です。
上記のとおり、ロードスターキャピタル社は、「個人投資家の投資意欲は依然として高く、投資家需要を満たす商品を提供していく。」としつつも、「投資家の皆様の大切な財産の運用であることから、投資家会員に過度なリスクを負担させないことを優先し、マーケットを見定めながら事業拡大を図っていく。」と記載していることから、一般投資家を「ある程度保守的な志向を持っている個人」と考えていることが伺えますね😁
また、一般投資家の投資意欲(需要)に振り回されることなく、しっかりと顧客の資産の保全・リスク回避にも目を向けていて、ロードスターキャピタル社が顧客に対してどういう姿勢でいるべきと考えているのかが伺えます。
顧客は誰か、顧客に対してどう向き合うかをしっかり考えているのでしょう。
ソーシャルレンディングは、ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品なので、ターゲットとなる顧客(一般投資家)もそういう志向を持った人が多いのです。
リスクが高くなりすぎないようにコントロールしないと、あっという間に競合他社に奪われます。
そして、このソーシャルレンディングの市場の成長可能性は、P.39で触れられています。
3C分析でいう「Customer(市場)」の部分です。
そして、当該市場を攻めるにあたって、ロードスターキャピタル社にどのような強みがあるのか。
3C分析でいう「Company(自社)」の分析については、P.34で触れられています。
最後に、3C分析の「Competitor(競合)」については、上記P.34において参入障壁について触れられていること以外は、決算説明資料上では明確に言及している箇所はありません。
ただ、間違いなく社内での分析はなされています😁
競合を分析した上で自社の「競争優位」がどこにあるのかという点をP.35に記載していることからもそれが伺えます。
ロードスターキャピタル社はすでにソーシャルレンディング事業を8年間実践していて、競合他社よりも経験値・ノウハウ・実績が積み上がっています。
ちなみに、現時点では、ソーシャルレンディング事業者の中で唯一のプライム市場上場企業です。
その上、不動産投資におけるプロフェッショナルが経営陣(P.45-P.46参照)に揃っているので、高い専門性を持ったプロ集団が運用を行っています。
また、競合他社が仮に現れようとしたとしても、第二種金融商品取引業の登録と貸金業登録を両方しないといけないので、参入障壁が極めて高いです。
これらの点が競争優位であると認識しているのです。
競合分析をしていない会社はこういうことを記載しないと思うので、しっかりと競合分析を行っていることがわかります。
以上が3C分析の視点が実際の実務で応用されていることの実例です。
素晴らしい会社の多くは、決算説明資料の中に3C分析やSWOT分析、ファイブフォース分析の要素が散りばめられているので見ていて勉強になります。
おわりに
ということで、今日は大前さんが提唱した3C分析について簡単にではありますが解説させていただきました。
3C分析は比較的シンプルでわかりやすいフレームワークですが、実際に分析を行おうとすると、様々なフレームワークを応用する必要が出てくるので、難易度は高めです。
このnoteの連載でも、先に他のフレームワークをご紹介して、最後に3C分析を解説したのですが、それは上記のような理由からです😁
このnoteはベンチャー企業で働く若手社員を主な読者層として想定しているので、若手の皆さんは是非今のうちから様々なフレームワークに触れて、思考の整理術を身に着けておいてくださいませ!
そして、数年後にベンチャー企業の重要な役職を任されるようになったとき、後輩たちに教えてあげてください。
これからも一緒にベンチャー企業を盛り上げていきましょう。
ベンチャー企業に転職したい!という方も随時募集中です。
転職の際は是非SYNCAをご利用ください。
では、また書きます👍
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