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全経簿記は意外と転職で強い



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WARCに所属している公認会計士・税理士の皆さんで組織された会計コンサルチームであるCo-WARC(コワーク)のサービスサイトがオープンしました。
是非御覧ください。


はじめに

前回、日本で最も有名な資格の一つである「日商簿記」という資格を解説させていただきました。

この日商簿記とほぼ同じ分野の同じような資格として「全経簿記」というものが存在します。

会計分野の勉強をしたことがある人にとっては有名な資格ですが、それ以外の方々からすると全く知らないという人も多いでしょう。
しかし、その有益性は日商簿記と大差ありませんし、両方の資格を持っている人からすると、全経簿記の方が取得しやすいと評価されることも多いので、簿記の学習には最適かもしれません。

ということで今回は、この全経簿記について解説していきます。


1.全経簿記とは

全経簿記とは、正式名称を全経簿記能力検定といいます。
公益社団法人全国経理教育協会が実施する、簿記の能力を測る検定試験です。

日商簿記と同様に、最上級の検定に合格すると、税理士試験の受験資格が与えられます

日商簿記との違いとしては、実施機関が異なる点等級と難易度が異なる点試験範囲が異なる点の3点が挙げられます。

実施機関については、日商簿記は商工会議所が実施しています。
等級と試験範囲については後述していきます。


2.受験資格及び試験料

全経簿記に受験資格はございませんので、誰でも受験することができます。

次に、試験料についてです。

3級 商業簿記        2,000円
2級 商業簿記        2,200円
2級 工業簿記        2,200円
1級 商業簿記(会計学含む) 2,600円
1級 工業簿記        2,600円
上級             7,800円

上記のとおり、全経簿記は、日商簿記と異なり各級を科目別に受験することができます
そのため、商業簿記と工業簿記を別々の試験日に受験して、一つずつ合格することが可能です。
したがって、一歩ずつ着実に歩んでいきたい方には向いていると思います。

しかし一方で、日商簿記のようなCBT試験(パソコン受験)がまだなく、ペーパーテストを受験しないといけません。
1級~3級については、毎年4回実施されておりますが、上級については年に2回のみとなっているので注意が必要です。


3.試験の内容

さて、試験の内容についてですが、この点が日商簿記と大きく異なるところです。
日商簿記と比較して覚えていくとわかりやすいので、簡易的な図を作成いたしました。
なお、全経簿記3級についてはあまりに簡単で、通常は受験せずに飛ばしますので記載しておりません。

日商簿記と全経簿記の比較(瀧田作成)

上図のとおり、全経簿記と日商簿記では、難易度と等級が一つズレております。

それゆえ、初級レベルについては、日商簿記では「3級」となっていますが、全経簿記では「2級」が同等の難易度となっています。
しかし、出題範囲が若干異なりまして、日商簿記3級では工業簿記は出てきませんが、全経簿記の2級では工業簿記も出題科目として設定されております。
なお、全経簿記は「商業簿記」と「工業簿記」をそれぞれ別々に受験することができます

続いて、中級レベルについては、日商簿記では「2級」となっていますが、全経簿記では「1級」が該当します。
そして、全経簿記では、2級のときと同様に、商業簿記と工業簿記を別々に受験することができます。

そして、中級レベルでも、日商簿記と全経簿記で出題範囲が微妙に異なりまして、日商簿記では主に計算能力を測る問題が出題されることが多いのですが、全経簿記では理論を理解していることを重視しているような問題(若干深い理解が必要な問題)を出題してくるので、同じレベルではあっても、全経簿記の方が難しく感じることも多いかなと思います。
ただ、全経簿記は、日商簿記と異なり、科目別に受験できるため、相対的な難易度は大して差はない(むしろ全経簿記の方が取りやすいかも)という感じです。

最後に、上級レベルですが、日商簿記では「1級」が該当します。
一方で全経簿記では「上級」が該当します。
上級レベルについては、全経簿記も日商簿記と同様に「科目ごとの受験ができません」ので、一発で日商簿記・工業簿記の両方に合格しないといけません。
極めて難易度が高い試験なので、日商簿記1級の合格率は10%程度、全経簿記上級も15%前後となっております。


4.全経簿記は転職で役に立つか

では、全経簿記は転職で役に立つのでしょうか。
この点について日商簿記と比較しながら検討していきたいと思います。


(1)日商簿記 vs 全経簿記


全経簿記も日商簿記と同様に、間違いなく役に立ちます
転職市場でも高く評価されます。

しかし、日商簿記と比較した場合、日商簿記の方が圧倒的に知名度が高く、評価も高くなる傾向があるので、簿記検定を受けるなら日商簿記を受けたほうが良いと思います。

また、全経簿記は、テキストや問題集があまり出ておらず、勉強のツールが限られているという難点もあります。
多くの受験生が、この公式テキストと問題集を使って学ぶことになります。


そのため、最初はテキストや問題集が豊富な日商簿記から受験し、日商簿記2級を取得したあと、全経簿記の1級(商業・工業)を取得すると良いかなと思っています。

経理・財務などの専門職を目指す場合は、日商簿記2級が最低限必要となってきますが、日商簿記2級と1級の間には、かなり大きな難易度の開きがあるので、日商簿記の2級を取得後に、全経簿記1級を経由しておけば、ちょうどよい肩慣らしにもなるでしょう。

そして、履歴書の見栄えという点でも「全経簿記1級」と書かれていれば、簿記2級よりはすごく見えます😂
それに、どんな資格でも「1級」を持っているとちょっと嬉しくなると思うので、会計専門職を志す若手の皆さんは、是非全経簿記も取得しておきましょう!

ちなみに、日商簿記2級に合格した若い社員の人たちが、全経簿記1級を受けたときに、半数近くが落ちておりましたので、難易度としては同等ですが、日商簿記2級に受かったからといって、対策無しで全経簿記1級に受かるほど甘くはありません。
1~2ヶ月ほど全経簿記の過去問題集などで対策をして、問題形式に慣れた上で受験しないと落ちると思います。

経理や財務にとって、日商簿記2級は最低限必要となる「前提条件」という位置づけですが、全経簿記1級(商業・工業)まで持っていれば、日商簿記2級のみの人よりは評価が高くなりやすいといえるでしょう。

異論もあるかと思いますが、私の中では、日商簿記2級と日商簿記1級の間にある資格が全経簿記1級であると考えています。
そのため、日商簿記2級のみの人だと「2級で満足したんだな」と感じますが、全経簿記1級まで取っていると「この人は日商簿記1級か全経簿記上級を目指している人なんだろうな。少なくとも、最上級資格を目指したことがあるのだろう」という推定が働きます。
その結果、学習意欲がまだ消えていないのでは?というプラスの推定が働きやすいです。

経理や財務の転職市場においては、日商簿記2級保有者が大量に存在します。
それゆえに日商簿記2級だけだと差別化が図れない状態です。
そこで全経簿記1級まで取っている人がいると、少し目を引きます。
そういう意味でも、持っておいて損はない資格だと思います。


(2)今からでも受けるべきか


全経簿記は、比較的マイナーな試験であるため、転職での効果を期待するのであれば、日商簿記2級を取得する方が知名度的に良いだろうと思います。

一方で、経理や財務、IRや経営企画などの会計専門職を目指すのであれば、全経簿記1級以上を視野に入れて取得を試みると良いかと思います。

また、先々税理士になりたいという方で、受験資格がない人の場合は、受験戦略上、全経簿記の上級を目指すのもありだと思っています。
前述のとおり、日商簿記1級の合格率は10%程度で、試験によっては一桁の合格率となっています。
一方で、全経簿記上級は15%前後で推移しているため、日商簿記よりは合格し易いことがわかります。

わずかな差でしかないのですが、それでも税理士試験の受験生にとっては大きな数%だと思います。
それに、日商簿記を受けたことがある人はわかると思いますが、あの試験は難易度のバラつきが本当に激しくて、意地の悪い問題も多く出題されます。
それに比べると、全経簿記の方がまだ素直な問題が多く、努力量でカバーできる部分が大きいと言えるでしょう。

そういう意味でも、全経簿記はとても有益な資格だと考えています。

そして、全経上級(又は全経1級でもOK)を取得した経理経験者の皆さん、ぜひWARCにお越し下さい🤣
コンサルタントを募集しております!


他にも、経理経験が豊富な若手人材、中堅人材については、副業をすることもオススメしたいです。
会計専門職はニーズが高いので、副業案件も多く存在しています。
興味がある方は、是非WARCMOREにご登録ください。
もちろん無料ですし「公認会計士のための」と書いていますが、まだHPの編集が追いついていないだけで、公認会計士じゃない人も登録可能です👍


おわりに

ということで今日は全経簿記について解説させていただきました。
全経簿記を知っている人は会計分野の人達くらいなので、マイナーな資格ではありますが、1級以上を持っているとカッコイイと思いますので、若手の皆さんでもし会計に興味がある人がいれば、取得をご検討ください。

そして、すでに日商簿記2級や全経簿記1級を取得している若手の皆さんは、是非SYNCAに登録してみてください😁
会計専門職は常に人手不足なので、スカウトが来やすい職種です。

SYNCAは、ベンチャー企業の経営管理部門(経理・財務・法務など)に特化した転職サイトで、ベンチャー企業から直接スカウトが来るダイレクトリクルーティングサービスなので、先々転職を検討する際の情報収集に活用いただけると思います。


では、また次回!


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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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