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公認会計士という資格は転職(及び副業)で最強かもしれない


【Co-WARCサイトオープン】

WARCに所属している公認会計士・税理士の皆さんで組織された会計コンサルチームであるCo-WARC(コワーク)のサービスサイトがオープンしました。
是非御覧ください。


はじめに

この連載では、主にベンチャー企業に勤めている方々、及びベンチャー業界への転職を検討している方々向けに、転職で役に立つ(かもしれない)資格の解説をしております。

今回は「公認会計士」という資格について解説させていただきます。

なお、この連載は株式会社WARCというベンチャー企業のnote内で執筆させていただいているのですが、このWARCという会社がIPO経験のある公認会計士らによって創業された会社で、社内にも公認会計士や税理士が多く在籍しています。
WARCではCFOなどのハイクラス層向けの人材紹介も行っているため、日頃から経理や財務、CFOなどの転職事例を見聞きします。

それもあって、私の中では転職市場で最強の資格は公認会計士ではないかと感じています。
それほど強い資格です。


1.公認会計士とは

おそらく公認会計士という士業名を知らない人はいないと思います。
ただ、実際なんの資格なのかと言われると、少し説明が難しいかもしれません。

公認会計士とは、その名のとおり会計分野の専門家なのですが、最も目立つのは「会計監査」という分野での活躍です。
この会計監査とは、会社が作成した財務諸表が、日本又は国際会計基準に則って適正に作成させているかをチェックする行為です。

主に株式会社についての話ですが、株式会社というのは、ある程度の規模に達すると、年に最低1回以上、会計監査人による会計監査を受けないといけません。
この会計監査人になることができるのは、監査法人又は公認会計士です(会社法337条1項)。

規模が大きな会社の場合は、公認会計士集団が設立した監査法人が監査を担当しますが、法律上は公認会計士1人だけでも監査して良いことになっています。
それほどの権限を与えられた会計の専門家こそが、公認会計士です。


公認会計士は、日本の三大国家資格(司法試験・不動産鑑定士試験・公認会計士試験)の一つですから、それ相応の権限と専門性を持っているということです。
※実際には大企業を一人で監査することは稼働時間的にほぼ不可能


2.受験資格及び受験料

公認会計士試験には、他の試験(司法試験や税理士試験)のような受験資格が存在しません
したがって、誰でも受験することができる素晴らしい資格です!

そして、受験料は19,500円となっています。
安くはないですが、高くもないです。


3.試験の内容

では、試験の内容はどのようなものでしょうか。
この点について、簡単に解説していこうと思います。


(1)短答式試験について


試験の種類としては2つあります。
一つが短答式試験(マークシート方式)で、もう一つが論文式試験です。

まずは短答式試験について詳しく見ていきましょう!

短答式試験は、年に2回実施されます!

第Ⅰ回:12月上旬(1月下旬に合格発表)
第Ⅱ回:5月下旬(6月中旬に合格発表)

上記のとおり、公認会計士試験は、短答式試験を年に2回もやってくれるんですよ!
どっちかの試験で合格すれば良いのです。
素晴らしい制度です。
問題を作成する先生方は相当大変だと思いますが……。

試験科目は、財務会計論・管理会計論・監査論・企業法(主に会社法)の4科目です。

採点の仕方が少し特殊で、1科目ごとに合否を判断するのではなく、4科目の総点数で合否を判定する試験です。
合格基準点は、総点数の70%を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率で決定されます。
ただ、足切り点というものが設けられていて、1科目でも40%未満の点数を叩き出してしまったら、不合格となることがあります

また、一定の要件を満たした人については、短答式試験の科目が免除になることがあります。
例えば、税理士資格を持っている人税理士試験の簿記論及び財務諸表論に合格している人については、財務会計論が免除になりますし、司法試験の合格者は、短答式試験自体が免除になります。
ほかにも、大会社で7年以上会計業務に従事した人なども、財務会計論が免除になることがあります。

さらに、会計専門職大学院で、一定の研究をして修士号を取った人については、財務会計論・管理会計論・監査論のすべてが免除になることがあります。

素晴らしすぎませんか?

公認会計士試験は、会計分野の最高峰の試験ですが、今まで学んできたことや努力してきたことが無駄にならない制度設計がちゃんとされているのです。
受験生の経済的負担がかなり軽減されているとても良い国家試験だと思います。


(2)論文式試験について


続いて、論文式試験については、毎年8月中旬に実施されます。

試験科目としては、必須科目と選択科目に分かれておりまして、まず必須科目が、会計学(財務会計論・管理会計論)・監査論・企業法・租税法となっています。

選択科目は、経営学・経済学・民法・統計学の中から1科目を選択して受験します。
私の予想では、民法を選ぶ人はほとんどいないでしょう!
勉強量がえげつないですからね🤔

論文式についても、1科目ごとに合否を判定されるのではなく、5科目全体で合否判定がなされます。
合格基準は、52%の得点比率を基準として公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率となります。
もちろんこちらも足切り点がありまして、1科目でも得点比率が40%未満になると、不合格となることがあります

なお、論文式試験においても免除制度がありますが、該当者は少数なので説明を省略します。



(3)その他の免除制度


公認会計士試験で最も素晴らしいと思う点は、様々な試験免除制度が整っている点です。
前述で触れたもの以外にもあるので、お話させてください。

通常の国家資格では、基本的には全部1回で合格しないといけません。
司法試験なんてまさしくそうで、短答式と論文式試験に、全部一発で受からないといけない試験です。

しかし、公認会計士には、各種の免除制度がありまして、前述したもの以外ではまず、短答式試験に合格すると、向こう2年間は短答式試験が免除さます!
これは本当にありがたいことです。

短答式試験の勉強というのものは大した内容ではないくせに、大量の時間を取られます。
それゆえ、論文式試験に集中すべき時期でも、地味に邪魔をしてきます。
その点、公認会計士試験では、一度合格すればそれ以降2年間は免除されるので、論文式試験だけに集中することができます。
大変素晴らしい制度です。

さらに、論文式試験においても同様の制度がございまして、一定の成績要件を満たした科目については、向こう2年間一部科目が免除される制度があります。
これは、論文式試験の試験科目のうち同一の回の公認会計士試験における合格者の平均得点比率を基準として、審査会が相当と認めた得点比率以上を得た者を一部科目免除資格取得者として認定する制度で、該当した人はそれ以降の2年間、その科目の論文式試験を受ける必要がなくなるのです(免除申請は必要)。

控えめに言って最高です。


以上のような素晴らしい制度が整っているので、私としては学生に全力でオススメしたい国家資格だと思っています。


4.公認会計士は転職で最強!?

それでは、公認会計士という資格が、転職でどれほど有益なのかという点について語っていきましょう!


(1)会計人材に対する旺盛な需要


公認会計士が転職に強いというのは、おそらく多くの方の共通認識であり、実際にとても強いです。
転職市場では、ハイクラスのエンジニアと並んで最強の部類に属すると思います。
その理由の一つは、会計人材に対する旺盛な需要にあります。

特にベンチャー企業での需要は常に旺盛で、ここ10年くらい衰える気配すらありません。
というのも、ベンチャー企業は常に資金調達の悩みを抱えているからです。

そして、資金調達をするためには、自社の財務状況に関する正確な情報が必要になります。

しかし、普通のベンチャーには、会計に詳しい人材はほとんどいないので、原則は経営陣だけでなんとかしないといけません。
ただ、経営陣が正確に帳簿をつけ、必要な情報を抽出し、見やすくスライドに落とし込むというのは至難の業(ほぼ不可能)です。
そのため、比較的早い段階で外部から採用することを選びます

また、資金調達に成功したとしても、その後IPOやM&Aによるエグジットのことも考えないといけないので、会計に関連する業務が非常に多くなっていくのです。
これをCEOやCOOが事業の片手間で行うのは非効率的です。
その結果、事業の拡大と共に、引き続き会計専門職の需要があり続けることになります。

さらに、いざ上場できたとしても、その後上場を維持し続けたり、市場変更(スタンダードやプライムへ行く)なども見据えないといけないので、会計・財務に詳しい人が常に必要です。
これは業種に関係なく必要となるので、幅広い分野(ほぼすべてのベンチャー)で常時会計人材が求められています。

会計という分野は、例外なくすべての事業分野で必須の知識なので、会社の数だけ需要があると言っても過言ではないほどです。
それゆえ、公認会計士への需要は今後も尽きることはないでしょう。


(2)会計人材の希少性


前述のとおり、公認会計士は常に求められていますが、ただそれだけであれば最強とは言えません。
公認会計士が転職市場で、他の職種よりも無双状態になれている理由は、会計人材の希少性にあります。

皆さんが日頃生活している中で、公認会計士や税理士に出会う回数は、そこまで多くないですよね。
それもそのはず、公認会計士協会に登録している公認会計士は、2023年6月30日時点で34,356人しかいません。
日本の人口が1億2,000万人だとすると、約0.029%です。
国民の3,500人に1人くらいしか公認会計士はいないのです。
超レアキャラですね!

一方で税理士は全国に約80,000人いるので、まだ出会えそうです。
顧問税理士などは街中にも結構いますから、まだ身近に感じられます。
ただそれでも全国民のうち0.067%しかいないので、1500人に1人くらいです。
十分にレアキャラです。

そして、公認会計士も税理士も、その多くが監査法人又は会計事務所(税理士法人)に勤めてしまうため、転職市場にほとんど出てきません。
転職市場に出てきたとしても、その多くが外資コンサルやM&Aコンサルなどの高所得職種に転職していきますし、事業会社に行くとしても、待遇の良い名だたる超大手企業に転職します。
そのため、日本の企業99%以上を占める中小企業・ベンチャー企業、ないしは中堅企業の経理、財務、経営企画などに応募してくれる可能性は極めて低いと言わざるを得ないです。

その結果、需要と供給のバランスが崩壊しております。
公認会計士が転職市場で無双状態になるのも、当然といえば当然ですね🤔

それもあって、最近では、公認会計士や税理士の皆さんは、普通に転職活動をするより、副業で手伝う方が多くのお金を稼げたりします。
会計専門職自体が、圧倒的に数が少ないので、副業でもスポットでもいいから手伝ってほしいというケースが多くあるのです。

それゆえ、WARCが運営するWARCMORE(公認会計士や税理士などの会計専門職の皆様の副業プラットフォーム)が盛況なのだろうと思います。
※会計専門職の皆さん!登録、お待ちしております👍


私がもし公認会計士資格を持っていたら、こんな無能な自分でも副業だけで生きていける気がしています
それほど需要が旺盛ですし、私がベンチャー業界に関わるようになってから、一度もその需要が衰えたところを見たことがないです。
常になにかしらの案件がある状態なので、本当に最強だなと感じています。
もちろん、横のつながりのようなものは必要だと思いますが、その程度の人脈は1年もあればすぐに構築できると思うので、何ら問題なしです。

最近では、公認会計士や税理士でなくても、簿記1級(又は全経上級)くらいを持っていれば、十分に生きていけるほどの需要があるので、公認会計士という資格に限らず、会計という分野そのものが強いのかもしれないと思っています。
もっといえば、簿記2級程度しか持っていなくても、十分な実務経験があれば仕事には困らない状態です。

WARCでも実務経験者をコンサルタントとして募集しておりますので、ぜひご検討ください!
なお、前述したWARCMORE(副業プラットフォーム)についても会計系の実務経験者であれば登録可能です!


(3)今から公認会計士を目指すべきか


では、公認会計士を今からでも目指すべきでしょうか。
この論点については場合分けをして考えていきましょう。

まず、20代前半の若手や学生の皆さん、あるいは20代で高度な会計を学んだことがある人の場合は、是非目指していただきたいと思っております。
日本の三大国家資格の一つなので、難易度は極めて高いですが、合格してしまえばリターンも大きいと思うので、リスクを取る価値があると思います。

ただし、滑り止めとして、日商簿記1級又は全経簿記上級は取得しておきましょう。
公認会計士試験に一発でストレートで合格する人は少数派で、その後も落ち続けるという人も一定数いますので、リスクヘッジはとても重要です。
私の知り合いに20年以上公認会計士試験を受け続けている人がいますが、リスクヘッジをしていなかったので、非常に不味い状態になっております。
難易度の高い国家資格を目指すときは、必ず他の中難易度の資格などでリスクヘッジをしておきましょう。


次に、20代後半の他職種(会計専門職以外の職種)の方や会計を学んだことがない人については、いきなり公認会計士を目指すのはリスクが高い行為だろうと思います。
公認会計士の前に、まずは日商簿記1級・全経上級を目指すべきです。
それを余裕でクリアできたのであれば、公認会計士を目指すのもありだと思います。

ただ、仕事は辞めないようにした方が良いでしょう。
無職の専業受験生になるのは、ある意味勇気があって格好の良いことですが、何年も落ち続けたら洒落にならないほど不利な状態に陥るので、働きながらの合格を目指したほうが良いと思います。
そして、公認会計士を目指すよりは、科目合格制が永年の税理士試験を目指した方が良いかもしれないなとも思います。


最後に、30代以降の方については、あまりオススメはし辛い状況です。
30代以降から目指し始めた場合、公認会計士として実務に出るのは、早くても30代半ば、普通は40代目前の頃です。
そこから公認会計士としての下積みを経て、実務家として一人前になる頃には、40代半ば~50代になっていると思います。
そもそも合格する可能性が低い難関資格なので、よほどお金と心に余裕がある人以外は、得策ではないと思われます。
ただし、若い頃に会計の勉強をしていて、簿記1級以上をすでに持っているのであれば、働きながらの受験もありかもしれません。



おわりに

ということで今回は、公認会計士という素晴らしい資格について解説させていただきました。
誰がどう見ても強い資格なので、持っていて損をすることはほぼないと思います。

WARCが運営している転職サイトであるSYNCA(シンカ)でも、公認会計士の人気は飛び抜けていて、スカウトが量産されます。
SYNCAはベンチャー企業の経営管理部門(経理・財務など)の求人に特化した転職サイトで、企業が直接スカウトを送れるダイレクトリクルーティングサービスです。


会計専門職そのものの希少性が高いので、公認会計士の転職市場での人気は凄まじいものがあります。
日商簿記1級や全経上級、又は会計専門職としての実務経験がある方(経理や財務の経験が2年以上が目安)についても人気があるので、是非上記のSYNCA、又は副業マッチングプラットフォームのWARCMOREにご登録ください!


では、また次回!


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この記事は、株式会社WARCの瀧田が担当させていただいております。
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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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