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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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2020年5月の記事一覧

かさぶたを引き剥がす

かさぶたを引き剥がす

悪癖も美点も、ある程度パターン化されていると感じる。「考えた結果、こう動いた」のではなく、「反射的にこう感じてしまい、ついこう動いてしまう」みたいな。美点については、何も言うことはない。そのまますくすく育ってくれたらいいなと思うくらいだ。

しかし、悪癖はそうはいかない。「悪癖だ」と自覚していたらなおさらだ。どうにかして少しでも良くなりたい、改善したい、何なら自分を変えたいと思うこともあるけれど、

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【日常スケッチ】5月28日、自宅

【日常スケッチ】5月28日、自宅

メンタルがぺしゃんこになった。心臓がばくばくする。些細なできごとでも簡単に揺らぐ己のメンタルを恨みながら、脳内がノイズだらけになり身体まで重だるくなったところで、寒気がしてきて布団にくるまる。そのまま泥のように眠った。目が覚めたら5月28日の朝だった。

寝たら忘れる人がいるけれど、わたしはあいにく寝たところでそんなに大きくは変わらない。身体をひたりひたりと浸してくるような嫌な感じこそ軽減したよう

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キノコ、増殖中。

キノコ、増殖中。

日々生きていると、ままならないことがたくさんある。喉から手が出るほど欲しくても、手に入れるために努力をしても、どうしたって手に入らないものもある。そういうもんだよなあ、と思う。そして、この「そういうもんだよなあ」は、おとなになるほど増えていった。キノコとかカビとか、はたまた我が家の本や漫画みたいに。

「そういうもんだよなあ」は、時に薬になり、また別の時には毒にもなる。やっぱりキノコみたいだ。昔は

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【日常スケッチ】5月24日午後18時、自宅

【日常スケッチ】5月24日午後18時、自宅

4月からこれまでの間、夫の仕事が休みになった。飲食業のため、リモート化したわけではなく、文字通り「休み」だ。

一方のわたしは、外出を伴う取材案件こそ時期未定の延期になってはいるけれど、幸いにして100%休みになったわけではない。子どもたちは休校となり、学校から提示される課題をこなす日々だ。

「明日から仕事が休みになった」と夫から告げられたとき、「じゃあ、自炊係を頼む」と返した。わたしは料理がめ

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その一線を越えるな。覆水は盆に返らない

その一線を越えるな。覆水は盆に返らない

胸が痛むニュースに触れて気分が悪くなり、数時間睡眠に逃げてしまった。

その人についてわたしは全然知らなかったし、彼女が出ていたテレビ番組も個人的に興味を抱いたことがなく、これまでに一度も見たことはない。それでも、そのニュースはわたしにダメージを与えるものだった。事実の正誤はわからないけれど、SNS上での誹謗中傷が元となって起きた出来事らしい。



機械ひとつを挟むだけで、一気に感情の歯止めが

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「ちゃんと」の呪い

「ちゃんと」の呪い

我が家の小三は、小一の頃から登校渋りの気がある。友達は好きで、先生も別に嫌いとまではいかなくて、給食も好き。ボランティアの読み聞かせが好きで図書室に通っているらしいし、昨年まで通っていた学童も好きだった。

それでも、「学校に行きたくない」とぐずり、わんわん泣いた。行ってしまえば楽しく過ごしているそうだから、ときどき休みながらも何とか通う生活を送ってきた。

そこにきたのが休校だ。「学校」がまだど

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名前に邪魔をされないように

子どもの同級生に、学校では声を一切出さない(出せない)子がいる。幼稚園時代からなのだそうだ。詳しい事情は知らない。「話さないんだよ」と子どもから聞かされているだけだ。参観日に目にしたとき、確かにその子は一言も口をきかず、仲良しの子の隣でにこにこしていた。

クラス全員が一人ひとり描いた絵を持って一言ずつ言葉を言う発表の際には、絵を持ち立つその子の代わりに、隣の子が紙の裏に書かれた言葉を読み上げてい

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【日常スケッチ】5月18日・渋谷、そして埼京線

【日常スケッチ】5月18日・渋谷、そして埼京線

仕事に行くため、一ヶ月ぶりに電車に乗った。昨日のことだ。行きの埼京線車内は座れない程度には混んでいて、ただそれでもこれまでよりは空いていると感じた。

二ヶ月以上ぶりに降りたった渋谷。駅には駅員さんたちが書いたらしい貼り紙が並んでいた。どこから湧いて出たのだろうと思えるほど人の多い駅内も改札も、信号待ちの人で溢れかえっている宮下坂交差点も、人は少ない。内心、(歩きやすっ)と思ってしまった。

仕事

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指を咥えて王子を待つな

指を咥えて王子を待つな

先月、長野県根羽村に住むご夫婦のnote執筆を手伝った話を書いた。

公開された記事はこちら。

お話のなかで印象に残っている内容のひとつが、「移住は魔法じゃない」だ。移住したら、すぐさま人生バラ色ハッピー! ……になるわけじゃないよ、ってこと。まあ、当たり前ですね。



ただ、案外そういうことって起こりがちだなと感じていて。それは別に移住だけじゃなくて、「どこそこに属したら仕事がもらえるだろ

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シャキッとしてしまう症候群

「うん、まあ大丈夫そうだよね。要するに診断書を出せばいいんでしょ?」

そう心療内科医に言われ、心のシャッターがガラガラピッシャーンと閉店したのは、ハタチの頃のこと。「要するに診断書が必要だった」ことに間違いはないのだけれど、「本当は大丈夫だけど、単位取得のために必要だから診察に来た」わけではなく、「診断書が必要になったことを機にちゃんと診てもらおう」と思って足を運んだ先でのことだったから、その軽

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おうちカラオケのススメ

おうちカラオケのススメ

カラオケが好きだ。

20歳前後の頃は、飲み会後に友達とふたりオールで8時間歌いつづけたこともある。「ここからアニメソング縛りで」「ここから某バンド縛りで」とルールを決めることもあったっけ。

今はもう、さすがにふたりで8時間は喉がもたない。(そもそもまだオールができたとしても、翌朝以降しばらく使いものにならなくなりそうだ)

複数人で行くものだったカラオケに、ひとりでも行けるようになったのはここ

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政治とわたし

政治とわたし

Twitterで、「#検察庁法改正案に抗議します」がトレンドに入っている。わたしのタイムラインに表れたのは、昨夜23時頃だった。そこからどんどんツイート数が増加。表明している人のなかには、多くの著名人も含まれている。

詳しくはTwitterで見てほしい。図解してくれているツイートもたくさんあるから。あとは、せやろがいおじさんの動画とか。政治に関するわけのわからなさを緩和してくれる(ハードルを下げ

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明日のために蓋を閉じよ

明日のために蓋を閉じよ

昨日、学校へ課題を引き取りに行った。その予定を耳にしていた小一次男が、家を出る前にぐずってしまった。どうやら、自分も一緒に行けるものと思っていたらしい。「せんせいの顔を見たかった」と泣く彼に、胸が塞がる。「そうだよね」と寄り添うことしかできなかった。(彼はまだ一度も学校に行っていない。担任とは一度電話で話したきりである)

学校の廊下には、「新入・進級おめでとう」と色紙で彩られた模造紙が飾られたま

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半冬眠な日

半冬眠な日

学校がほぼ機能しなくなって、3ヶ月。今年度、子どもたちはまだ一度も学校に足を踏み入れていない。

わたしはわたしで、予定されていた仕事が見通しのない延期になり、ふうむ、となっている。なっているだけで、積極的に何か動けているわけではない。今日を昨日に送り出すことで手一杯な日も多くて。

「今このときをどのように過ごすかで、これからが変わる」と方々から聞こえてくる。事実だろう。大人も子どもも、ここをど

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