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キノコ、増殖中。

日々生きていると、ままならないことがたくさんある。喉から手が出るほど欲しくても、手に入れるために努力をしても、どうしたって手に入らないものもある。そういうもんだよなあ、と思う。そして、この「そういうもんだよなあ」は、おとなになるほど増えていった。キノコとかカビとか、はたまた我が家の本や漫画みたいに。


「そういうもんだよなあ」は、時に薬になり、また別の時には毒にもなる。やっぱりキノコみたいだ。昔はなかなか「そういうもんだよなあ」を心に置いておけなかったから、歳を重ねるのもいいもんだと思う。ただその一方で、「そういうもんだよなあ」を増やし続けてはいけない、跳ねのけなければならない、と思うこともある。自分に言いわけしているだけのように感じてしまうのだ。

なかなかのポンコツで、どうしたものかと思う。自分のダメさは紛れもない事実で、だけどそれを言葉にするとき、それが単なる事実なのか言いわけに過ぎないのか、しょっちゅうわからなくなる。つべこべ言わずに上昇志向を中心に据えて、とにかく進めよのぼれよと先を指差すわたしと、「無理ぃ……」と弱音をこぼして布団にもぐりこもうとするわたし。両者が同居していて、いつもゆらゆらと揺れている。

ポンコツでダメな自分のままではダメだと思うと、自己否定の感情が肥大化してしまってよくないのだろうなあと思うのだけれど、かといって「ありのまま」を受け入れているのも、それはそれで成長できなくなる気がして「ダメじゃね?」と思ってしまう。どうしたものかなあ。

もう何度目かの「そういうもんだよなあ」と、「そういうもんだとかわかった風に言ってんじゃねえ」とを繰り返し、今日も夜が更けていく。

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