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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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2018年10月の記事一覧

描いた「将来の夢」はただの手段

描いた「将来の夢」はただの手段

長男の「将来の夢」は、コロコロ変わる。警察官になりたいと言っていたかと思えば、バスの運転手になりたいと言ってみたりなんかして、昨日も「うーん、オレ何になろっかなあ」と大げさに首を傾げながら思案していた。

わたしも、幼い頃はコロコロ夢が変わっていたなあと思い出す。そのすべてを憶えているのだけれど、これはふつうのことなのだろうか……という問いはさておき。

「何に」なるのか考えるのが、幼い頃の将来の

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換気して歓喜する

換気して歓喜する

わたしは内省的だ。「わたし」を主語にして物事を考えることが多いし、内に内に思考を向けて深めるのが好きだ。

「そうやって考え込むから病むんやで」

そう、友人にも家族にも言われたことがあるけれど、しょうがない。これはもう性分だ。

ただ、内側にばかり意識を向け続けるのは、やっぱり少し疲れる。内側は下、外側は上といったイメージがあるのだけれど、まさに内向きの思考は下。深みにはまって沈んでいく気がする

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外側の外側にいる人たち

外側の外側にいる人たち

朝から夕方まで、カフェでカタカタ書き続けていた。ビジネス街にある店だということもあり、自宅近くのカフェとは異なり仕事中の人が多い。窓際のカウンター席にはコンセントがあるため、パソコン作業をする客が大半だった。

両隣の客が何度か変わる。あるときは海外の人と仕事の打ち合わせをするビジネスマンが、あるときはどうやら最終面接を目前にしている就活生が。(でかでかと「最終面接」と書かれている用紙が見えてしま

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「いい」が指す条件の曖昧さ

「いい」が指す条件の曖昧さ

オリエンタルラジオの中田敦彦さん(あっちゃん)の、「いい夫やめます」という記事を読んだ。

記事はこちら。

妻がほかの女性たちと話す中で「いい夫」比較をしてしまい、求めるラインがどんどんうなぎのぼりになってしまっていたのでは、と。

妻のために求められることに応えてきたのに、結果的にそれが妻の中で「当たり前」になってしまい、夫婦にとってよくなかったのでは、と。

カウンセリングを受けてみたら、自

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「合う場所探し」に依存しない

「合う場所探し」に依存しない

大学を中退後、地元の眼科に勤めようとしたことがある。

「ようとした」からわかるように、結果的にわたしはここで働くことはなかった。2週間設けられていた研修期間で、女社会の悪い面をぶちこんだような人間関係に参ってしまったからだ。

雇用主である院長は正式雇用してくれるつもりだったらしいのだけれど、「ごめんなさい」と断った。食べているのに体重が減ってゆき、2週間で5kg以上激減しまったことも、「あ、無

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「稼ぐ」「儲ける」にそそられない

「稼ぐ」「儲ける」にそそられない

「稼ぐ」や「儲ける」といった言葉が、昔からどうにも苦手だ。

「日本人はお金の話をしたがらない」という言葉を見かけたことがあるのだけれど、話題としてではなく、単語としての苦手感が拭えない。

身も蓋もないけれど、お金は好きだ。あるに越したことはないし、あるから得られるものも多い。高い収入を目指すこと、目指している人にも嫌悪感はない。そもそも、生活し、子を育てるのにお金は必要だから。

この苦手意識

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織りなすために、丁寧にほどく

これまでに2度、精神科・心療内科の門を叩いたことがある。

1度目は学生時代、2度目は昨年のこと。どちらも継続して通院できず、今に至る。

継続できなかったのは、通院が面倒だったから、ではない。単に合わなかったからだ。合わなかったのは医師であり、またそのときに処方された薬だった。

そもそもの前提として誤解していたのは、「病院はあくまでも病院であり、患者の話を聴くことがメインではない」ことだった。

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あえて、あなたを選んだ

あえて、あなたを選んだ

先日、「わたしがいなきゃ」と仕事を抱え込む人のことをnoteに書いた。自らの必要性を高めることで、己の価値を見出している、といったような内容だ。

実際には、「この人でなきゃ」という事態は仕事上そうそう起こらない。どれだけ頼られていようが、いなくなれば何だかんだ問題なく進むものだ。いや、先日書いた通り、回らなければ(回さなければ)いけないわけだけれど。

「わたしがいないと」という思いは、独りよが

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逃れたかった、朝

逃れたかった、朝

昔、朝は逃れる対象だった。

二十歳の頃、わたしは不眠症で、かつ今よりも精神的なアップダウンが激しかった。

大学に出す診断書が必要になり、はじめて心療内科を訪れた。そこの先生との相性が悪くトンズラしたため病名こそ付けられなかったけれど、躁鬱状態であったと思う。(今もアップダウンは激しめだけど)

加えて親ともうまくいっていなかった。実家暮らしだったため、親と顔を合わせないよう、寝静まったのを見計

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スイッチの切り替え

スイッチの切り替え

仕事を終えきれずに子どもの迎えのタイムリミットを迎える。雑踏の合間を縫うように小走りに駆け、帰宅ラッシュの電車に飛び込んだ。

あと少し。あと少し時間があれば終わったのに。

そう、思っても仕方がないことを心の中でつぶやく。埼京線の車内は満員御礼で、手すりも吊り革も持てない。両足の裏に力を込め、バランスを取りながら揺られていた。

強制的に仕事モードから母親モードに切り替えバタバタと過ごすわたしの

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“抱え込み”で感じられる存在意義は本物か?

はじめてのバイト先だった文具店に、仕事を抱え込むのが好きな人がいた。

彼女がひとりで回していた仕事のひとつが、鉛筆の名入れだ。新入学生に贈るための鉛筆に子どもの名前を焼き入れる。バイト先は地域に根ざした文具店だったこともあり、年度末から新年度にかけて大量の名入れを受けていた。無料だったことも理由のひとつだろう。

名入れにはちょっぴりコツがいる。失敗したものはお客さんに差し上げられないし、売り物

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曖昧な別離

曖昧な別離

生まれてしまったが最後、人は死ぬしかない。手に入れてしまったが最後、いつかくる失うときが怖くなる。そして、出会ってしまったが最後、必ずどこかで別れが訪れる。

「さよならだけが人生だ」というフレーズが、頭の中でぐるぐる巡っていた。漢詩の「勧酒」を井伏鱒二が訳したもので、恐らくわたしがはじめて知ったのは、マンガ「最遊記外伝」。わたしはこのマンガが好きすぎてたまらないのだけれど、それはまあ、今はさてお

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妹

日曜。妹から突然のビデオ通話。

床に仰向けに倒れ込んでいたため、いつも通り電話に出た。突然画面に映し出された妹と自分の顔に慌てて起き上がる。

大阪の実家からだった。名古屋の祖父母が大阪に来たため、ひ孫を会わせるために帰省したらしい。

画面越しに見える祖父母は元気そうで、少し安心する。夏の終わりに祖父に電話したときには、「最近しんどいんだわ」と言っていたから。

父もいて、母もいて、妹もいて。

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じんわりと染み込むような刺激がほしい

じんわりと染み込むような刺激がほしい

昨日書いたnoteを上げぬまま、朝を迎えた。

何となくお蔵入りにする。そういうことが、時たまある。

ホルモンバランスなのか、お天気なのか、季節の移り変わりなのか、原因はわからないけれど、どことなくバランスが悪い。……バランスを崩したのは夏前からだから、季節は関係ないのかもしれない。

楽しいことや心地いいことを見つけて、何とか立て直しながら生活している。それは、この間書いたシャンプーだったり、

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