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日曜。妹から突然のビデオ通話。

床に仰向けに倒れ込んでいたため、いつも通り電話に出た。突然画面に映し出された妹と自分の顔に慌てて起き上がる。

大阪の実家からだった。名古屋の祖父母が大阪に来たため、ひ孫を会わせるために帰省したらしい。

画面越しに見える祖父母は元気そうで、少し安心する。夏の終わりに祖父に電話したときには、「最近しんどいんだわ」と言っていたから。

父もいて、母もいて、妹もいて。画面の向こうは賑やかで、それでいて穏やかで。こちら側はというと、その直前にしこたま叱られていた長男が不貞腐れて押し入れに立てこもり、次男はその火に油を注ぐことばかりしていたから、なんというか、まあ地獄絵図だった。

結局、ふてくされた長男は電話に一切出なかった。スマホを手渡して場を離れてみたけれど、ひとことも口をきかなかったらしい。


ひょいと帰省できる距離に住んでいる妹を羨ましく思いながら、あまり近くなりすぎると、それはそれでわたしの場合はよくないだろうなとも思う。

親の価値観に巻き込まれ、ストレスを溜め込む様が想像できるから。親に対して穏やかな気持ちでいられるようになったのは、結婚して家を離れてからだ。それまでの関係性も別に悪いものではなかったけれど、わたしはどこかでいつも親の顔色を窺っていた。


それでも、心身に疲れが溜まっているとき、ふっと力を抜かせてくれるのは実家家族だなあと思う。本来は今の家族であればいいのかもしれないけれど、我が家の場合、子どもはまだ手がかかる年齢だし、今の夫にはわたしの力を抜けるほどの余裕はないから。(余裕がない夫と妻の組み合わせという状況にあっぷあっぷしている)


特に二歳年下の妹とのやりとりは、たぶん互いにいいガス抜きになっている。幼い頃はさんざん「ふたりしかいない姉妹なんだから」とケンカを咎められては「知らないよ」と思っていたけれど、今は確かに妹がいてよかったと思っている。気さくに話せ、かつ信頼のおける他人(妹だけど)は、そうそう見つからないから。


たぶん、わたしは妹が思っている以上に彼女のことを知っているし、妹もわたしが知らないわたしを知っている。何とも不思議な関係性だと思いながら、姉妹っていいよなあと思っている。

親はさておき、妹とはもう少し近い距離に住みたかったなあ。いつでも姪っ子の面倒を見てあげられたし、ランチやお茶ができたのにな。なんていう話を互いにしている。性格も顔も似ていないけれど、何だかんだ仲違いせず大人になれて良かったなと思う。


最近、長男は「なんでオレには弟がいるの。弟、いらなかった」と愚痴っていたけれど、まあ、きっとそのうちわかるよ。……というか、「兄弟っていいな」と思える日がくることを、そんなふたりでいられることを、わたしは祈っているよ。

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