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歴史本書評

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オススメ歴史本の読書記録。日本史世界史ごちゃ混ぜです。
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#政治

文学からパレスチナ問題を知る①~G・カナファーニーの生涯

文学からパレスチナ問題を知る①~G・カナファーニーの生涯

 イスラエルによるパレスチナのガザ地区に対する攻撃は、極めて深刻な人道危機となっています。イスラエル・パレスチナ紛争は毎日のようにニュースの見出しに登場しますが、詳しくは分からないという人が多いと思います。

 イスラエル・パレスチナ紛争の入門的知識については、是非下記をお読みください。

 さて、歴史家や国際政治学者、ジャーナリストなどが書いたノンフィクションとしての本を読むことも大切ですが、小

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【書評】清水唯一朗『原敬』(中公新書)

【書評】清水唯一朗『原敬』(中公新書)

 歴代総理大臣の中でも、「平民宰相」原敬の知名度は高い方でしょう。中学校の歴史教科書にも、大正時代に「初の本格的な政党内閣を率いた首相」として登場します。

 しかし、原が具体的にどんな業績を残したのかを知っている人は多くないように思います。また、「初の"本格的"政党内閣」の「本格的」とはどういうことかも気にならないでしょうか。

 原敬個人の業績だけでなく、近代日本が歩んだ政党政治の歩みを知るこ

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【書評】ニコラス・スパイクマン「平和の地政学」(芙蓉書房出版)

【書評】ニコラス・スパイクマン「平和の地政学」(芙蓉書房出版)

 今世紀に入ってブームとなった感のある地政学。今や、書店には「地政学」を冠した本が数多くあります。私も最近、下記の本に関わりました。

 手に取りやすい本で入門するのはいいことですが、やはり古典的な書物を読んだ方が本当の教養につながるでしょう。

 とはいえ、地政学の祖とされるマハンやマッキンダーの著作は、一般にはハードルが高いように思われます。マハンの文章は非常に難解ですし、マッキンダーの著書は

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【書評】『風刺画で読み解く英国宰相列伝』(ミネルヴァ書房)

【書評】『風刺画で読み解く英国宰相列伝』(ミネルヴァ書房)

※著者はケネス・ベイカー、訳者は松村昌家。

 同時代の政治や世相を鋭く描く風刺画は、後世の人間からみても非常に面白いものです。本書は、18世紀に最初の首相となったロバート・ウォルポールから、20世紀のサッチャー、メイジャーまでの300年弱の政治史の流れを、風刺画をもとに描いています。

 18世紀ごろの風刺画は時に下品、猥褻な表現さえあるなど、時代による特色も読み取れます。

 具体的な作品とし

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【書評】木村幹『誤解しないための日韓関係講義』(PHP新書)

【書評】木村幹『誤解しないための日韓関係講義』(PHP新書)

 日本と韓国の間には、歴史認識問題を始め多くの難題があります。「韓国崩壊」を見出しに掲げるウェブ記事や、書店に平積みにされる嫌韓本も今や見慣れたものとなりました。

 日韓関係はなぜここまで拗れてしまったのか。なぜ両国の国民の間ですれ違いが起きてしまうのか。これらの疑問に答えるのが本書です。

 著者は韓国政治の専門家ですが、学生の質問に答えて講義するという形式をとっており、丁寧でわかりやすい説明

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