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映画ラブ

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素人の映画感想文的な何かです。
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2022年12月の記事一覧

映画『アバター』(復習と予習)

映画『アバター』(復習と予習)

 神をも上回る力を得た人間は、自然を従属させ利用することによって文明を発達させてきた。エゴイスティックな享楽を得るために破壊の限りを尽くし奪えるものは奪ってきたのが人類の歴史であった。
 かつて畏れた自然は驚異ではなくなって、ただの野蛮なリソースに成り下がった。

 こうして無敵になった私たちにとっての敵は何なのか。

 公開当時に映画館で観た時には、3D映画の目新しさと、当時は馴染みの無かったア

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映画『パラサイト 半地下の家族』

映画『パラサイト 半地下の家族』

 エンドロールが終わってゆっくりと明かりが灯る。穏やかな照明の館内を進む。建物から出ると想像以上の明るい陽射しが降り注いでいる。それに反応して瞬間的に閉じようとする瞳孔が痛い気がした。
 見上げると青い空をバックにゆっくりと雲が移動している。街の喧騒はいつものようにビルの谷間を響き、歩道を行き交う人々を縫うように駅に向かった。
 歩きながら少しずつ映画の中の世界から現実に戻る。そうして架空の話だっ

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映画『逃亡者 カルロス・ゴーン 数奇な人生』

映画『逃亡者 カルロス・ゴーン 数奇な人生』

 起訴に至れば有罪率99.9%と言われる日本の刑事裁判。
 司法のあり方や勾留中の扱いついて疑義を唱えるのは良いとして、保釈中に国外逃亡するのは、日本人の感覚からすると悪人以外の何者でもない。
 「罪証隠滅や逃亡のおそれなどがなく、勾留しないで刑事事件を進行する事件」と判断して保釈してしまった判断は、結果論に過ぎないが間違っていた。そして、私達日本人が世界について無知だったことを思い知らされた。

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映画『CRISIS クライシス』

映画『CRISIS クライシス』

 人間は何かに依存せずには生きられない。
 その依存が健全かどうかは、時代が判定する。
 美味しい食事や、便利な都市生活。ショッピングモールでの買い物。テーマパークや旅行。私達の周りにあるこうしたことも、それが失くなってしまうと生きていけないほどの依存性がある。しかし誰もこれらを依存とは言わない。
 普通の生活につきまとうストレスを解消するためには、一定程度の依存が必要だからだ。

 解消しきれな

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映画『グリーンランド ―地球最後の2日間―』

映画『グリーンランド ―地球最後の2日間―』

 万が一にも起こる可能性が無いと思われることが起きたとしたらどうするか。
 それを考えて対策をしておくのが本当のリスク・マネジメントだ。
 今まで遭遇したことが無いから自分の身にそんなことは起こらないと人は思いがちだが、これまで遭遇したことが無い分だけ、あなたにとってみれば、これから遭遇する確率は上がっているのだとも言える。もし、それがいつかは起こることなのだとしたらだ。

 いわゆるディザスタ

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