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ボディポジティブ、ティラミス

「マリトッツォを題材にUXについて語る」なんていう奇襲をはかったつい先週。twitterでは「何を言っているかわからない」なんてコメントも頂いたのだが、先の記事で培った "何か" をもとに、今週も平然とティラミスのUXについて語ろうと思う。

図らずもまたイタリアスイーツ

そもそもティラミスはケーキなのか、なんて疑問が私の頭をよぎる。ケーキといえば食べる時はフォークに限るけど、ティラミスを食べる時はスプーンを差し出されることが多い。果たしてそれをケーキと呼んでもいいのか。
そういえば、ティラミスはいつもだらしがない。とりわけ用の大きなスプーンでひとすくいされたものが、ぐちゃっと、それは簡単に盛り付けられている。「………ボディポジティブの先駆け?」ってくらい崩れているティラミスを、私はやっぱりケーキなんて呼べない。そんな私を前に、ティラミスは「整ってないケーキがあったっていいじゃないか〜」なんて諭してくる。ティラミスはスイーツ界のメーガン・トレイナーだった。たまに、ティラミスは可愛いコップみたいな容器に入って出てきたりもするが、ケーキの製作工程と比べてみたら手抜きも手抜き(ちがう)。ティラミスの語源「Tirami su!」の意味は「私を引っ張り上げて」らしいがなんか自堕落で他力本願だった。
そんなティラミスを強いて褒めるとすれば、最初からぐちゃっとなってるので、緊張感はなく1口目が食べられるということ。また、オーダーメイドとも言えるあのかたちは不確定要素であり、いわゆるライブ感に近い楽しさがある。そうなってくると、あのぐちゃっと感もあまり悪い気がしない。なんなら、崩れてれば崩れてるほど嬉しい気もしてきた。『食べたい量だけ取り分けられる』っていうのは言ってしまえばSDGsだし、なんか今っぽい。

カステラに見えてしまうのは気のせいだ

私たちにゲリラ的パフォーマンスを仕掛けてくるティラミス。そんなワイルドさを鑑みれば、多分ティラミスのティはティラノサウルスのティなのだろう。でも、ティファニーのティという説も個人的には捨てがたい。子供の頃はビーズネックレスの方が100倍いいと思っていた私も、今となってみれば喉から手が出るほど欲しい代物。要するに、大人になればなるほど魅力的に感じるものとティラミスは頭韻を踏んでいる。

そんな大人なスイーツはモードに白と黒で決め込んでいる。膨張色の白と、収縮色の黒がこう交互にこられると目がチカチカする。そっと、上の方に目をやればそこに見えるはココアパウダー。あれを見ると私は○ゲ隠しの粉を思い出す時があるが、ティラミスが隠しているとすればそれは一体なんなのか?それ考えた時に私は、たぶん「自分を大きく見せたい白とそれを謙虚さで隠そうとする黒が交互に積み重なった成れの果て」「そんな沸々とした思いを隠そうとした結果、上に粉をかけることにしたのだろう」と思った。人間より人間らしい。いつの日かティラミスが真っ白になる日が来るのかもしれない。私はそんな日を夢見ている。

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