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介護業界

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記事一覧

なぜ介護職員は利用者にタメ口なのか?

なぜ介護職員は利用者にタメ口なのか?

こんにちは、たくまです。
介護施設で働いています。

わたしが介護業界に入って最初の違和感、それは利用者に対する「タメ口」でした。

利用者にタメ口が多い介護業界「〇〇さんご飯食べようねぇ~」

「ちょっと待ってて~」

「そっち行かないで~」

わたしが入ったばかりの介護施設では、こんな言葉が日常的に飛び交っています。

コンビニや飲食店など、接客業やサービス業の人でタメ口を使う人はほとんどいま

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ADL向上はQOL向上のための手段

ADL向上はQOL向上のための手段

ADLの向上は、QOLを向上するために必要な手段のひとつに過ぎません。
ですから、必ずしもすべての人にADLの向上が必要なわけではないのです。

ADLは、日常生活動作(Activities of Daily Living)のことを言います。
それに対しQOLは、生活の質(Quality of life)のことを言います。

介護は、QOLを高めることが目的といえます。
その目的を達成するうえで、

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デイサービスが要支援の利用者を受けたくない理由

デイサービスが要支援の利用者を受けたくない理由

デイサービスが要支援の利用者を受けたがらない理由は、介護報酬が安いからです。

うちのデイサービスのある地域では、要支援1の利用者は1ヵ月(週1回利用)あたりおよそ1,800円です(自己負担割合が1割の場合。食費等の自費を除く)。
利用者は1割負担ですので、実際にデイサービスに入る金額は、残りの9割を加えたおよそ18,000円となります。

つまり、要支援1の人を1日デイサービスで預かったとして、

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科学的介護における効果とは何か?

科学的介護における効果とは何か?

「科学的介護」という言葉が、最近の介護業界をにぎわせています。
科学的介護とは、数字やデータなど客観的な根拠に基づいて行われる介護のことです。

この科学的介護に対して、わたしはある疑問を感じています。
その疑問とは、「科学的介護における効果とは何を指すのか?」ということです。

たとえば、介護サービスを利用した結果、歩けなかった人が歩けるようになったとします。
これはとても素晴らしいことです。

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居宅介護支援の逓減性緩和の効果は限定的

居宅介護支援の逓減性緩和の効果は限定的

逓減性とは、ひとりのケアマネジャーの利用者担当件数が一定数を超えると基本報酬が引き下げられる仕組みのことです。
これまでは、担当件数が40名以上になると基本報酬が減額されていました。
2021年の介護保険制度改正により、この担当件数が40名以上から45名以上へ緩和されています。

逓減性が緩和されることで、ケアマネジャーはより多くの利用者を担当することができ、より多くの介護報酬を得ることができます

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困ってる人を助けることができるのが介護だと思ってた

困ってる人を助けることができるのが介護だと思ってた

介護業界は社会におけるセーフティネットだと言われています。
ですから、困っている人がいれば利益度外視で助けられるのがこの仕事の魅力だと思っていました。

ですが、実際にこの業界で働いてみて、困っているすべての人を助けることは不可能だということがわかりました。

たとえば、認知症があり片時も目が離せないような、俗に言う「手のかかる利用者」がいます。
このような人を助けることで、誰ひとり取りこぼさない

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ショートステイの困った利用者

ショートステイの困った利用者

今日は、ショートステイで困る利用者を紹介したいと思います。
困る人には色々な人がいますが、今日紹介する困る人は、熱があるのにショートステイを退所しない人です。

ショートステイのような通所系の介護サービスは、利用中に本人が発熱などの体調不良になった場合、家に帰るのが原則となります。
その理由は、ショートステイが在宅サービスに分類されるからです。

施設サービスの場合、利用者は施設で生活しているため

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デイサービスにおける入浴の意味とは?

デイサービスにおける入浴の意味とは?

こんにちは、たくまです。
今日はデイサービスのお風呂の件ついて書いていきたいと思います。

デイサービスを利用する主な目的のひとつが、入浴です。
デイサービスでお風呂に入ると、基本料金とは別に入浴介助加算というものがかかるようになっています。
入浴介助加算は、利用者がお風呂に入るのを手伝ってもらうとかかる料金です。デイサービスに来る人は皆さん何かしらのお手伝いが必要な方なので、お風呂に入る方は入浴

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ショートステイはなぜ利用者のお迎えを忘れてしまうのか

ショートステイのお迎え忘れによる事故が起きました。

うちの事業所でも、事故には至らなかったものの、利用者のお迎え忘れは過去に起きています。
なぜショートステイは利用者のお迎え忘れをしてしまうのでしょうか?

お迎え忘れが起きる理由を考えてみましたところ、以下の4つの原因が考えられました。

①送迎職員のチェックミス
②配車表作成時のミス
③ケアプランチェック時のミス
④システムトラブル

順に解

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身寄りのない人の緊急連絡先はケアマネジャー?

身寄りのない人の緊急連絡先はケアマネジャー?

こんにちは、たくまです。

わたしはショートステイの窓口担当として、ショートステイに泊まる人を受け入れる業務を行っています。
そんなわたしが受け入れに困ってしまうケースを、今日は紹介させてください。
わたしが困ってしまうケース、それは身寄りのない人を受け入れるケースです。

ショートステイのような家から通うタイプの介護サービスは、利用中に本人が発熱など体調不良になったら、基本的に家に帰ってもらうこ

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ケアプランデータ連携システムが浸透しない理由

ケアプランデータ連携システムが浸透しない理由

2023年4月より、「ケアプランデータ連携システム」が開始となりました。
ケアプランデータ連携システムとは、居宅介護支援事業所とほかの介護サービス事業所とのケアプランやサービス提供票などのやりとりを、オンラインで効率的に行うことができる仕組みです。

介護サービス内容を調整するケアマネジャーは、介護サービス事業所に対しサービス予定を送ります。介護サービス事業所は、ケアマネから送られてきた予定を受け

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介護離職を減らすために必要なこと

介護離職を減らすために必要なこと

総務省は今年7月に、2022年の「就業構造基本調査」の結果を公表しました。

この調査を前回(2017年)の調査と比較すると、介護をしている労働者は5.3%(18万人)増加しています。
また、直近1年間で介護や看護のために離職した人は10万6000人とのことです。この数字は2017年の調査から7000人増えています。

以上のことから、介護離職問題が改善される見通しは未だ立っていないと言えるでしょ

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デイサービスの送迎職員は運転のプロではない?

デイサービスの送迎職員は運転のプロではない?

介護サービスのひとつに、デイサービスというものがあります。
デイサービスとは、介護が必要な人に食事や入浴などの介護サービスを日帰りで提供するサービスのことです。

多くのデイサービスでは送迎のサービスを実施しています。
デイサービスを利用する人は自分ひとりではデイサービスに通えない方が多いため、デイサービス側が利用者宅と施設の送り迎えを行うのです。

デイサービスの送迎職員は運転のプロではないデイ

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【2023.5.29】財政審、サ高住への提言について考察

財務省の財政制度等審議会(財政審)は5月29日、政府への提言を鈴木俊一財務大臣へ提出しました。
財政制度等審議会とは、財務省の中にある組織で、財政健全化に向けて国の予算編成などを話し合う機関のことです。

この提言の中で、財政審は介護分野に向け、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に入居している高齢者に対する給付の現状を問題視し、その是正を要請しました。

具体的には、「画一的なケアプランや過剰な

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