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デイサービスにおける入浴の意味とは?

こんにちは、たくまです。
今日はデイサービスのお風呂の件ついて書いていきたいと思います。

デイサービスを利用する主な目的のひとつが、入浴です。
デイサービスでお風呂に入ると、基本料金とは別に入浴介助加算というものがかかるようになっています。
入浴介助加算は、利用者がお風呂に入るのを手伝ってもらうとかかる料金です。デイサービスに来る人は皆さん何かしらのお手伝いが必要な方なので、お風呂に入る方は入浴介助加算がかかる形となっています。

この入浴介助加算、今までは50単位(1割負担の人で自己負担額約50円、施設の収入は約500円。)でした。安い!
ですが2021年度の改定で、なんと40単位へ引き下げられてしまったのです。
ただでさえ安かった入浴介助加算が、この改定でさらに安くなってしまいました。
500円ですら安かった費用を400円まで下げたのですから、これはかなりの暴挙と言えるでしょう。
いまどき400円じゃ、スーパー銭湯だって入れませんよね。
こんなに安くなってしまっては、デイサービスの経営的にかなり厳しいです…。

さらに、暴挙はこれだけにとどまりません。
入浴介助加算の引き下げと合わせて国は、「デイサービスの利用者を家でもお風呂に入れるようにする」という取り組みを打ち出し、新たに入浴介助加算Ⅱという加算をつくりました。

「利用者が家でお風呂に入れるように、家のお風呂の様子をデイサービス職員が確認して、デイサービスのお風呂のときに練習してくださいね。そしたら加算をあげますよ。」
入浴介助加算Ⅱの内容をかみ砕いて説明すると、こんな感じです。

この入浴介助加算Ⅱは、正直言ってほとんど意味のない加算です。
なぜなら、デイサービスの利用者はそもそも家でお風呂に入れないからデイサービスに来ているわけでして…。
だから、家でお風呂に入れないというのが前提なのです。
お風呂はデイサービスで入れればよいわけで、家でお風呂に入れるようになりたいだなんて、多くの利用者は思っていません。

「デイサービスでお風呂に入っている人を、家のお風呂に入れるようにする」
聞こえがよく理想的ですが、これはつまり机上論です。

事実、この入浴介助加算Ⅱを算定する事業所は少なく、お風呂のあるデイサービスの約1割にとどまっています。

このデイサービスのお風呂に関する一連の流れを見て思うこと、それはADL偏重主義だということです。

入浴介助加算を50単位から40単位に削減したということは、利用者のQOLに対するデイサービスの貢献を低く評価されたことを意味します。

そして入浴介助加算Ⅱを新設したことは、利用者の意向にかかわらず「家でお風呂に入れる」というADLの向上が目的です。

入浴介助加算Ⅱのように、できなかったことができるようになる(ADLの向上)のは尊いことです。
それを否定するつもりはありません。

しかし、できないなりに満足した生活を送る(QOLの向上)という発想もまた大切です。
特に高齢者というライフステージにおいては、後者の発想が現実的であることの方が多いでしょう。

デイ利用者がデイサービスに来て、スタッフの介助によってお風呂に入ること。
単純なことと思われるかもしれませんが、これは利用者のQOL向上に大きく貢献しています。
お風呂に入ったあと、利用者の方はいい顔されています。
そこに答えは出ているんじゃないでしょうか。

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