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ADL向上はQOL向上のための手段

ADLの向上は、QOLを向上するために必要な手段のひとつに過ぎません。
ですから、必ずしもすべての人にADLの向上が必要なわけではないのです。

ADLは、日常生活動作(Activities of Daily Living)のことを言います。
それに対しQOLは、生活の質(Quality of life)のことを言います。

介護は、QOLを高めることが目的といえます。
その目的を達成するうえで、必要になる指標のひとつがADLです。
ですから、ADLの向上がQOLを高めるための十分条件となるわけではありません。

例えば、同じ「時間をかければなんとか着脱可」というADLの人でも、 その人が 「やれることは自分でやりたい人」なのか「着替えは手伝ってもらってさっさと自分のやりたいことがしたい人」 なのかによって、支援の内容は変わります。  
この場合、前者は「自分でできるように介護者は見守る」後者は「介護者はできないところを介助する」 というように、その人が生活の中で何を目的とするか、さに大きく言えばどう生きたいかによって、支援の方法は変わるということです。

一概にADLを向上させることを介護の目的にしてしまうと、誤った方向へ行ってしまいます。
あくまでADLの向上はQOL向上の手段であって、それ自体が目的ではありません。これを間違って捉えないように注意が必要です。

このように、手段の目的化が起きてしまうことは、ADLとQOLの話だけに限らず他の事象でも起き得る話です。
例えば 「本当は幸せになる手段としてお金を稼ぐのに、気が付いたらお金を稼ぐこと自体が目的になっていた」という事象は、日常の中で比較的陥りやすいのではないでしょうか。
手段の目的化を防ぐためには、「そもそもこの目的って何だっけ?」 と、いつもやっていることに疑問を持ち、 ちょっと立ち止まって考えてみることが大切です。
本質を見失わないようにしたいですね。        

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