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ケアプランデータ連携システムが浸透しない理由

2023年4月より、「ケアプランデータ連携システム」が開始となりました。
ケアプランデータ連携システムとは、居宅介護支援事業所とほかの介護サービス事業所とのケアプランやサービス提供票などのやりとりを、オンラインで効率的に行うことができる仕組みです。

介護サービス内容を調整するケアマネジャーは、介護サービス事業所に対しサービス予定を送ります。介護サービス事業所は、ケアマネから送られてきた予定を受けて実施したサービス実績を送ります。

現在の介護業界は、これらの書類について手渡しや郵送、FAXなどで行っているのが主流です。
しかし、これではとても効率的とは言えません。
そこでこのケアプランデータ連携システムを利用することにより、事務負担を軽減し生産性を向上させようというのが、当初の狙いです。

このケアプランデータ連携システムは、介護事業所に利用が浸透しないことが課題となっています。
ケアプランデータ連携システムが浸透しない理由、それは導入に費用がかかり、他事業所との足並みをそろえる必要があるからです。

より多くの事業所に導入してもらうために、はじめは無料でのシステム導入が検討されていました。
ですが、それでは作成したこのシステムの採算がとれないとの理由で、このケアプランデータ連携システムの導入には、年間2万1000円の費用がかかってしまいます。
この費用がシステムの浸透を阻害しているといえるでしょう。

また、このシステムは、自事業所だけが導入すれば活用できるわけではありません。自事業所と連携する事業所の双方が、このシステムを導入している必要があるのです。
無料であれば、試しに導入する事業所があったかもしれませんが、費用がかかるとなれば話は別です。
うちの事業所を含め、導入を見送る事業所は多いでしょう。

実際に、このケアプランデータ連携システムの利用事業所は、いったいどれくらいあるのでしょうか?
2023年7月31日より、ケアプランデータ連携システムの利用事業所が「WAMNET」で公表されています。
この情報から、うちの地域でこのシステムを導入した事業所を計算してみると、概算で約2%でした。

この結果からも、ケアプランデータ連携システムの導入率の低さが見て取れます。
周りの事業所が導入していなければ、自事業所だけ導入してもメリットはありません。
ですから、このまま何の手立ても取らずにいけば、この導入率はほとんど上がらないでしょう。
せめて無料にしていれば、もっと導入率は上がったはずです。

無料で提供していたら赤字だったから有料にしたのでしょうが、この導入率なら有料でも採算が取れず赤字でしょう。
同じ赤字ならせめて無料にして、そのシステムの便利さを体験させてほしかったと思っているのは、きっとわたしだけではないはずです。


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