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立庭和奈のこの言葉に響きあり 10その2
この事を別の角度からお話ししてみましょう。良く戦争と平和は二者択一の概念のように語られます。それはあたかも破壊と創造のように、一定のサイクルで繰り返される現象であるということです。もしくは二項対立として、片方の極が平和な状態であり、もう一方が戦争の時期であり、世の中はこの間で行ったり来たりしている、そのな説も散見します。 確かにこのような論には一理あります。しかしそれはある一面の状態を物語っ
もっとみる(仮)エドリューション その13
このように平安時代には、唐から渡来した文明が日本で消化、吸収され国風文化となり、主に貴族の間で花開きました。そして江戸時代には、当時日本では南蛮と呼ばれたスペインやポルトガルから、中世の日本に流入した文化を取り入れながら、自然と共生する循環型の文化を完成させ、今日知られるように一般大衆にまで浸透しました。これと同じ視点で見るならば、今後日本は、産業革命以後の欧米で発達した文明を取り入れながら、日
もっとみる(仮)エドリューション その12
これまで見てきましたように、今日、世界中の人類が恩恵や影響を受けているといえる現代文明は、その発生当初から、一元性、軍事や戦争、テクノロジーといった方面において発達する傾向を示したのに対して、約300年の間、日本において熟成された江戸文化では、多様性や共生、民衆や平和、文化や教養といったものが特徴になっています。環境問題をはじめ、現代の社会問題が根っこを同じくするものであれば、それと対極の特徴を
もっとみる(仮)エドリューション その11
多様性ということを考えると、今の社会が抱える生きづらさということにも大きく関係しているかもしれません。例えば、現代の日本の若者の自ら命を絶つ割合が、先進国の中で一番になっているということですが、彼らを取り巻く教育制度一つとっても、江戸時代における寺子屋では不登校ということがありませんでした。しかしそれもそのはずで、生徒により入学時期もバラバラ、授業の内容も進度も個人で別々、先生の個性も経験も多彩
もっとみる(仮)エドリューション その10
別の角度から見てみてもそのことは理解できると思われます。テクノロジーが最も発達しやすい時期は戦争の時であり、最も発達しやすい場所は軍事機関においてです。原子力発電所は核兵器開発の産物ですし、私たちの身近にあるカーナビやスマホといったものは、もともと軍事技術であったものが下げ降ろされて民間で利用されるようになったものです。よく言われることですが、米軍や某国の軍の内部では、私たちが利用するはるか先
もっとみる立庭和奈のこの言葉に響きあり 8
虎は死して皮を留め人は死して名を残す 虎や豹などの動物はその死後に役に立つ美しい毛皮を残し、それを利用する人々に恩恵を与えることとなる。人は生き様が美しかったり世の中に貢献をすれば、死んだのちにも名が語られ、その功績が世の中を潤すことになる。東大寺の大仏造立の勧進活動を行ったとされる、奈良時代の行基菩薩が残した言葉とされています。虎は毛皮という実態を伴う物をこの世に残していくのに対して、人は時と
もっとみる立庭和奈の知れば知るほど 9その2
もう少し詳しくお話しします。「豊かさ」とは心の状態を表すバロメーターの一つですので、本来、何を所有しているのか、収入がどれくらいなのか、買いたいと思うものが買えるのかとは、関係しないはずです。とはいえ、物の見方や考え方に大きく影響されてしまうのも事実です。これは「豊かさ」だけに限ったことではありません。「幸せ」「楽しい」「安らか」など、心の状態を表すものは何であれ、思考や環境に左右されながらも、
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