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33.マイインターン
「堂城ちゃん、待ってたよ」
営業担当の相原さんが、机の上に広げた資料は、私の今までの記録と特徴、そして様々な就職先だった。
「ウェブでもよかったけど、こういうのって雰囲気も大事だと思うんだよね」と、二人で資料を囲みながら内容を吟味していく。
就職活動と言えば、孤独な戦いだ。
エントリーシートやSPA、グループディスカッション……挙げ始めたらキリがないような、重箱の隅を楊枝でほじくるよう
32.何を伝えたいか--終着点--
「それじゃ良さが生きない」
私はもう何度目かわからないダメ出しを受けていた。
「どういう思いがあってその機能を実装したのか。それをプレゼンターとして訴えかけないで、機能の説明だけをされても『おっ?』とは思わないし、オブザーバーの方が質問したくなるような気持ちにはならないよ」
大島英雄塾長。普段は講師の岡田先生に一任している姿しか見ていなかったが、今日この日は違った。
「堂城くんはロジカ
31.明けない夜はない
どんなバグにも明けない夜はない。
回避するのか保有するのか、移転か軽減か。それは時と場合によるが、私はリスクを回避(解消)する茨の道を突き進んだ。なぜならこれは課題であるからだ。
一つ一つを紐解いていく道は、膨大な時間を要したが決して遠回りではなかった。きっと顧客目線で考えた時には必ずしも正解ではないだろうし、上手く伝えられる自信はまだないが、一つの武器を持った瞬間であった。
「すべて
30.強くてニューゲーム_3
私は自宅でキッティングを終えると、翌日には教室へと向かった。
通いなれた道に、こじんまりとしたビルの2階。最初は入るのに躊躇した扉の中には見慣れた仲間たちがいた。
岡田先生、楊さん、晴子さん……。
つい、晴子さんを見たとき、声を掛けそうになってしまった。
当然のことながら、彼女や彼らは私のことを知らないだろう。
「今月から入った堂城くんだね。俺は講師の岡田です。さっそくだけど自己
27.NeverEndingStory
「あ、そろそろ部屋閉めるよ?」
確かに毎日同じような言葉を言われているが、これは決してループものの物語ではない。
テストの消化率は上がっているのにバグの数は依然として放物線を描いてはくれない。まるでこれは私の伸びしろだと言わんばかりに右肩上がりの真っすぐな線が引かれている。
私はウォーターフォールモデルにいる魚であり、何度目かの滝登りを成功させている。鮭界隈ではきっと期待のホープだろう
20.ただいま屈伸中
堂城一斗(たかぎ かずと)は焦りに焦っていた。
それはあっという間に2ヵ月という時が過ぎようとしていたからだ。
……
私がやってきたことは、本当に『社会』で、『IT』で戦えるのか。
そう思わずにはいられない。なぜなら、スライムやゴブリンを倒す実戦経験をしていないからだ。木人に剣を振りかざしていても、人斬り抜刀斎にはなれないでござるよ。IT道場どの。
まあ木人抜刀斎にはなれているかも
19.ステータスウィンドウ
ロールプレイングゲーム風の世界なら、「ステータス、オープン」と呟くだけで、自分の能力が見られるだろう。ではもし現実でそれができたのなら私はどんな能力値でどんな技術を持ち、どんな特性があるのだろうか。
「ステータス、オープン」
堂城一斗
経歴
・IT関連のスキル未経験から開始。
・JAVA歴 1ヵ月と10日
能力
・課題の進捗△ 少し遅れ気味
・忍耐力○ 諦めずに取り組んでいる
・傾聴姿勢◎