33.マイインターン

「堂城ちゃん、待ってたよ」

 営業担当の相原さんが、机の上に広げた資料は、私の今までの記録と特徴、そして様々な就職先だった。

「ウェブでもよかったけど、こういうのって雰囲気も大事だと思うんだよね」と、二人で資料を囲みながら内容を吟味していく。

 就職活動と言えば、孤独な戦いだ。
 エントリーシートやSPA、グループディスカッション……挙げ始めたらキリがないような、重箱の隅を楊枝でほじくるようなことまで想定しておかなければならない。

 そのように考えていた。

「でも結局は『人』なんだよ」

 相手方の採用担当が何を知りたいか。
 その会社に求められる最低限の能力と向上心、そして、『人間力』だ。

 『人間力』これを測定するのは何よりも難しい。だから突拍子もないことを質問したり、面接の仕方がコロコロと変わったりする。決して、面接希望者をいじめたいわけではない。

 どちらかと言えば、会社は同志を探している。
 同じ志で仕事に向き合える仲間となれるのか。

 もし、就職活動が孤独に感じるとすればそれは『相性が良くなかった』ということだろう。ストライクゾーンは企業によって、自分によっても違う。面接はそこを合わせていく作業に過ぎないからだ。

 ストライクゾーンが広いということは、それに見合うだけの能力を兼ね備えていなければなりたたない。じゃなければ空振りばかりが量産されてしまう。では、ストライクゾーンを狭くすればよいか。すると、見逃しが多くなってしまうだろう。

 言えることは、どちらも非常にもったいないということ。

「絶好球を空振りすることもあるでしょ」
 プロ野球の試合で素人目から見ても、「なぜあれを空振りするんだ」なんて思うことは多い。彼の能力なら打てるはずだ。と、それがプレッシャーになったりもする。

 でも結局は、一打席一打席を丁寧に準備していくに限る。

 ――人生の打席はいつだって立てるのだから。

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登場人物
IT戦士を目指す人 堂城一斗(たかぎ かずと)
営業担当 相原左之助(あいはら さのすけ)
※この話は完全なフィクションです。
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