23.軽自動車の旅
「よしっ」
久しぶりの自信がこもった一言。
そう、私だけの設計書が完成したのだ。
私はスペックの高いスポーツカーを乗りこなせる自信はない。それなのに、覚えたことを利用したいがため、無駄に難しいことをしようとしていた。
自分にとって乗り心地がよい、使い勝手がよいものを突き進めていった結果。
――コスパよし、燃費よし、長距離OKの軽自動車のような設計書ができた。
軽自動車の作りが簡単というわけじゃない。
要求したい操作にあった仕様にすることが大切だという意味だ。
小説を執筆したいだけなのに、何百テラバイトのSSDとプロゲーマー顔負けの最先端のGPUを積むだろうか。答えは否。それだとひたすらコスパが悪いだろう。
立ち止まった二週間近くは悪いものではなかった。
今なら、すべての設計の意味を私はきちんと説明することができる。
「先生、できました!!」
「どれどれ……」
そう言って、岡田先生は私の作業ディレクトリを隈なく見ていく。
カチカチっと動かされていくマウスの音が私の心臓を刺激する。もし、全く見当違いなことをしていたらどうしようか。ジャンピング土下座をして答えを教えてもらうしか思い浮かばなかった。
でも今回だけは自信があった。
「堂城くん! よく頑張ったね!」
「ありがとうございます!!」
私は自然とガッツポーズをとっていた。
しかし、試合は終わりではない。むしろここからコーディングやらテストやらが待っている。
私の軽自動車の旅はここから始まるのだ。
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登場人物
IT戦士を目指す人 堂城一斗(たかぎ かずと)
アカデミー事業部臨時講師 岡田啓介(おかだ けいすけ)
※この話は完全なフィクションです。
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