26.ひたすら地味な攻略

 私は淡々と画面を見ていた。

 そう、『エラーが表示される画面を』だ。

 正しく設計した【つもり】であってもどこかしらにケアレスミスは生じる。
 むしろ「エラーが表示されてくれてありがとう」と端末に向かって感謝のような感情が芽生え始めている。今、見逃してしまったら最後まで気づかずに進んでしまう可能性がある。今ならわかる、それはとても恐ろしいことだ。

「堂城くん、もうそろそろ閉めなきゃいけない時間なんだけど……」

 時刻は22時を回っていた。
 岡田先生はこの時間まで何も言わずに私を見守ってくれていた。

 しかし、ここにきてタイムオーバーだ。

 一日で上手くいくなんてことはないと思っていたが、自分で全ての工程を担当するというのは想像以上に過酷だと感じた。

 自分の答えが合っていると思っているからこそ気づけない。
 これまでやってきた課題で第三者の視点を貰えていたことが、如何にありがたいことなのかを知った。きっと、岡田先生や先輩に聞けば的確なアドバイスを貰えることだろう。

 でも、そればかりではいけない。

 もし、これが自分がリーダーとして受け持つプロジェクトであった時に、自分の担当箇所を人にやってもらうことを前提で考えていたら、間違いなく炎上することは想像に難くない。

 ・当事者意識
 ・自分の完遂能力
 ・仲間からのフォロー

 今、まさに総合力を試されている。
 まだだ、まだ慌てる時間じゃない。

「あ、そろそろ閉めるよ?」
「はい。すみませーーーん!!」

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登場人物
IT戦士を目指す人 堂城一斗(たかぎ かずと)
アカデミー事業部臨時講師 岡田啓介(おかだ けいすけ)
※この話は完全なフィクションです。
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