28.強くてニューゲーム_1

 毎日課題に励み、泥のように眠りにつく。
 これはそんな日々を過ごしていたある日のことだ。

 自室には私のパソコンが煌々と明かりを放っている。
 部屋はどこか薄暗く、私自身の身体も若干重いように感じた。
 
(いけない。昨日パソコンつけっぱなしで寝てしまった)

 エンジニアへの就職、JAVA、機械学習、AI……。
 ブラウザ上ではネットサーフィンをした残骸が残っていた。
 
 そう、これは私が過去にITジャングルへ彷徨った時の記憶だ。あれから3か月、本当に色々あった。何度も心は折れかけながら最終課題まで辿り着いたのだ。

 しかし、昨日の夜に私はこのブラウザ画面を開いた記憶はない。
 無論、お酒を飲んで寝たわけでもない。

 釈然としないまま、朝起きて教室に向かう準備を始めるが、
 ――借りているパソコンが見当たらない。

 青ざめながらも状況を整理しようと、昨夜から現在までの行動を振り返る。
 昨日は確か、結合テストで個人情報が筒抜けなことに気づいた日だ。プログラミングにおいて、『なんとなく使うというのは危険である』ということを痛感した。GETとPOSTに翻弄されるのはこれ以後ないようにしたい。

 そんなことを考えながら帰路についたはずだ。
 決して、勢いで夜の街に繰り出したりはしていないし、ここは実家であり、私のベッドに見知らぬ人は寝ていない。

 まさか、終末世界に転移してしまったのだろうか。
 急にゾンビが溢れる世界になってしまったみたいな?

 ……。

 母と会話をして気づいたことがある。
 これは約3か月前の世界だ。
 IT道場に通う初めての日。

 どうしてこうなったのか全くわからないまま、私の足は自然と教室へと向かっていった。

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登場人物
最強のエンジニアを目指す人 堂城一斗(たかぎ かずと)
※この話は完全なフィクションです。
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