琥珀

23歳、物書きです

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記事一覧

自己肯定

自分を満たすためには 「肯定してくれる人が周りにいる」 ことよりも 「否定する人が周りにいない」 方が大切だったりして。

琥珀
3週間前
1

甘い悪夢 / 20字小説

泡の中で眠る私達は、大きな怪獣の非常食。

琥珀
7か月前
18

一等星 /20字小説

仲間外れの白鯨は、月の光を受けて瞬いた。

琥珀
7か月前
16

ハムスターは飼えない

ハムスターがすき。 ちいさくてふわふわなところも、 ずっと鼻がひくひく動いてるところも、 眠ると平べったくなるところも、 ぜんぶ可愛くて、愛おしくて好き。 でも私…

琥珀
8か月前
9

こんな近くにテーマパーク

変に潔癖で人見知りなわたしは、銭湯が大の苦手でした。 大勢の知らない人の前ですっぽんぽんになるのも、石鹸でぬるぬるしたタイルを裸足で歩くのも、ぜんぶきらい。 そ…

琥珀
8か月前
6

オレンジジュースがあって良かった

社会人になって、はじめての夏。 地元に帰省できなかったお盆は、これがはじめてです。 東北の夏の涼しさ、おばあちゃんちのにおい、酔っ払った大人たちの笑い声。 観光業…

琥珀
11か月前
7

取り憑いたのは

久々に雑記帳を見返していたら、半年ほど前に見た夢の記録を見つけた。 悪夢だった。とてつもなく怖い夢。自分の叫び声で目を覚まし、前髪は冷や汗で湿っていた。 それでも…

琥珀
1年前
6

立つ鳥跡を、│ 短編小説

俺は今、最高に満ち足りている。 薄暗いバーのカウンターで男は1人、酒を飲んでいた。シワの寄った黒いシャツからは、ツンとした絵の具の香りがする。 「どれでもいい。強…

琥珀
1年前
6

音の中を泳ぐ車

朝7時30分。私はかなりイライラしていた。 【髪の毛が襟に付く場合は、お団子にしてシニヨンネットでまとめること】 入社前説明会で渡された身だしなみチェック表には、確…

琥珀
1年前
8

ヨルシカの詩#2

「今の暮らしは I の2乗 君が引かれてる0の下」 (六月は雨上がりの街を書く) 「花瓶の白い花、いつの間にか枯れたみたいだ 本当に大…

琥珀
1年前
5

ヨルシカの詩 #1

「ずっと叶えたかった夢が あなたを縛っていないだろうか? それを諦めていいと 言える勇気が少しでもあったら 」 チノカテ…

琥珀
1年前
4
自己肯定

自己肯定

自分を満たすためには

「肯定してくれる人が周りにいる」
ことよりも

「否定する人が周りにいない」
方が大切だったりして。

ハムスターは飼えない

ハムスターは飼えない

ハムスターがすき。

ちいさくてふわふわなところも、
ずっと鼻がひくひく動いてるところも、
眠ると平べったくなるところも、
ぜんぶ可愛くて、愛おしくて好き。

でも私は、ハムスターは飼えない。

昔、小学生のころ、1匹のハムスターを飼っていました。
ジャンガリアンハムスターのジャンくん。
グレーの、つやつやした毛並みの、周りより少し大きな男の子。
ペットショップで500円で売られていたのを、クリス

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こんな近くにテーマパーク

こんな近くにテーマパーク

変に潔癖で人見知りなわたしは、銭湯が大の苦手でした。
大勢の知らない人の前ですっぽんぽんになるのも、石鹸でぬるぬるしたタイルを裸足で歩くのも、ぜんぶきらい。

そんなわたしが銭湯好きになったのは、つい最近のこと。
家の給湯器が壊れて、やむなく近所の銭湯に1家揃って頼ったことがきっかけでした。
10年以上裸の付き合いをしてこなかった母と同じお湯に浸かったことで、照れくささのブロックが完全に取れたのだ

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オレンジジュースがあって良かった

オレンジジュースがあって良かった

社会人になって、はじめての夏。
地元に帰省できなかったお盆は、これがはじめてです。

東北の夏の涼しさ、おばあちゃんちのにおい、酔っ払った大人たちの笑い声。
観光業に就職してしまった私にお盆休みなどある訳がなく、今年は何もかもがおあずけです。

しかも、お父さんもお母さんも、愛犬まで連れて、家は4日間すっからかん。
大学生のときはそれでも「自由だ!!!」なんて思っていたけれど、今のわたしは少しちが

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取り憑いたのは

取り憑いたのは

久々に雑記帳を見返していたら、半年ほど前に見た夢の記録を見つけた。
悪夢だった。とてつもなく怖い夢。自分の叫び声で目を覚まし、前髪は冷や汗で湿っていた。
それでも私は、起きてすぐにその夢を記録しようと、雑記帳を引っ張り出したのだ。忘れてしまわぬうちに、何もかもを鮮明に記録したくて。
そのくらい衝撃的で、心にひっかかる夢だった。

少し怖い話になるけれど、夏なので怪談話だと思って聞いていただけたら。

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立つ鳥跡を、│ 短編小説

立つ鳥跡を、│ 短編小説

俺は今、最高に満ち足りている。
薄暗いバーのカウンターで男は1人、酒を飲んでいた。シワの寄った黒いシャツからは、ツンとした絵の具の香りがする。
「どれでもいい。強いやつをくれ。俺は今最高な気分なんだ」
バーテンダーは何も聞かず、ただ無言で頷いた。

そう、俺は満ち足りている。
ついこの間までは、こんな高い店で酒を飲むなんて、夢のまた夢だった。

死んだ母親が、俺の絵を褒めてくれた。
画家の仕事を始

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音の中を泳ぐ車

音の中を泳ぐ車

朝7時30分。私はかなりイライラしていた。

【髪の毛が襟に付く場合は、お団子にしてシニヨンネットでまとめること】
入社前説明会で渡された身だしなみチェック表には、確かにそう書かれている。

それなのに。
何度やり直しても、何度鏡を見ても、長くて多い私の髪は上手く纏まってくれなかった。

「出来ないなら、どうして前から練習しておかなかったの!」
後ろから飛んでくる母の声。
そんなこと言われずとも、

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ヨルシカの詩#2

ヨルシカの詩#2

「今の暮らしは I の2乗
君が引かれてる0の下」
(六月は雨上がりの街を書く)

「花瓶の白い花、いつの間にか枯れたみたいだ
本当に大事だったなら
そもそも買わなければ」
(チノカテ)

「こ

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ヨルシカの詩 #1

ヨルシカの詩 #1

「ずっと叶えたかった夢が
あなたを縛っていないだろうか?
それを諦めていいと
言える勇気が少しでもあったら 」
チノカテ

「嗚呼、音楽なんかを選んだ
あの日の自分を馬鹿に思うね」
踊ろうぜ

「一つでいいん

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