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こんな近くにテーマパーク
変に潔癖で人見知りなわたしは、銭湯が大の苦手でした。
大勢の知らない人の前ですっぽんぽんになるのも、石鹸でぬるぬるしたタイルを裸足で歩くのも、ぜんぶきらい。
そんなわたしが銭湯好きになったのは、つい最近のこと。
家の給湯器が壊れて、やむなく近所の銭湯に1家揃って頼ったことがきっかけでした。
10年以上裸の付き合いをしてこなかった母と同じお湯に浸かったことで、照れくささのブロックが完全に取れたのだ
立つ鳥跡を、│ 短編小説
俺は今、最高に満ち足りている。
薄暗いバーのカウンターで男は1人、酒を飲んでいた。シワの寄った黒いシャツからは、ツンとした絵の具の香りがする。
「どれでもいい。強いやつをくれ。俺は今最高な気分なんだ」
バーテンダーは何も聞かず、ただ無言で頷いた。
そう、俺は満ち足りている。
ついこの間までは、こんな高い店で酒を飲むなんて、夢のまた夢だった。
死んだ母親が、俺の絵を褒めてくれた。
画家の仕事を始