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ロックンロールの教科書

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不定期に配信します。ロックにまつわる小説仕立てのエッセイ集です。
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2020年10月の記事一覧

ワイルドサイドを行け #1

ワイルドサイドを行け #1

 ロックとポップスの決定的な違いは、かっこよく言えば、毒があるか否か、アンチであるか否か、怒りがあるか否か、という点だと思うわけです。もっとよく言えば、少年たちの永遠の夢の世界を体現しているのがロックかと思います。
 ですから、例えば「大人のロック」なんていうフレーズもありますが、「大人」だとか「親」だとか、「世間」「社会」「会社」「先生」「学校」「警察」「政府」「国家」「法律」といった、大小を問

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ワイルドサイドを行け #2

ワイルドサイドを行け #2

 誤解を恐れずに申し上げますれば、文学にとどまらず全ての学問は、既存のシステムに対するアンチテーゼであります。ですからよいこのみんなはけっして学問なんかしてはいけませんよお。あれはわるいこがもっとわるいこころをもつためにするものなのです。

 ところで、その「わるいこころ」とは何か?

 「わるいこころ」すなわちあらゆる物事を疑って見るという姿勢です。これを別名知的好奇心と呼びます。バンドマン同様

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ワイルドサイドを行け #3

ワイルドサイドを行け #3

 さて、これまで述べましたとおり、ロックは中身のないただのかっこつけです。

 しかしながら、かっこつけはとても大切です。 なぜなら、他者の視線を自己に内在化する最も初めの段階が、かっこつけだからです。多くの人が自我に目覚め始める思春期にかっこつけし始めるのもうなずけます。
 自我に目覚める、というのは、他者を意識することに外なりません。言い換えるならば、自己を俯瞰する試みであり、その初めの一歩が

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ワイルドサイドを行け #4(最終回)

ワイルドサイドを行け #4(最終回)

 みなさん、おわかりでせうか?

 つまり、かっこわるいダサいヤツというのは、かっこつけしないヤツのことなのです。かっこつけないヤツがかっこよく見えるわけがない。

 たまに
「おれはかっこなんて気にしない」
なんてかっこつけているメタ認知のメの字すら持ち合わせていないB層的な可燃ゴミがいますが、かっこつける努力もしないのに「天然かっこいいヤツ」なんているはずがありません。
 もしいたら、おまえは

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