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SDGs史 連載中

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SDGs を『Oh. 工学者、時々、哲学』的な視点で概説します。 SDGs が流行りだした潮流のトリビア的な知見を提供しています。
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#サイエンス

SDGs史#17 Goals 1が「貧困をなくそう」なわけ

SDGs史#17 Goals 1が「貧困をなくそう」なわけ

『ボヘミアン・ラプソディー(2018)』をご覧になりましたでしょうか?
ライブエイド(1985)でのQueenのパフォーマンス、そして、そこに至るまでのフレディ・マーキュリーのナイーブな軌跡を描いた名作ですよね。

映画を前振りに話をすすめますライブエイドは、20世紀最大のチャリティ・イベントと称されます。「1億人の飢餓を救う」をスローガンとし、「アフリカ難民救済」を目的としたものです。

当時、

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SDGs史#番外編 歴史はまどろっこしいが役にたつ

SDGs史#番外編 歴史はまどろっこしいが役にたつ

 『note』でSDGsの歴史を書く、その心を書きます。SDGのGoalsを詳細に解説することもできるし、行動指南を書くことはできると思います。実際、日々、そうした情報や知見を集めているし、業務として関連することも多く、皆さまに伝えたい事例もたくさんあります。でも、まどろっこしく、歴史を書いています。

 ここは、譲れない感覚なんです。

 そんな前置きを経て、今日のメッセージを1行で書きます。

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SDGs史 #4 「人間環境宣言」6ページから始まる世界の指南書

SDGs史 #4 「人間環境宣言」6ページから始まる世界の指南書

 1972年ストックホルム人間環境会議の最大の成果物「人間環境宣言」を解説します。

 会議では、11日間にわたるタフな対話を経て、「北」側と「南」側は、歩み寄りを見せました。妥協はあったものの合意宣言を出せたのです。
 両者の「人間」と「環境」に関する危機感が可能にしたと思います。
 会議開始の時の雰囲気は、先日、記事にしました。

 会議では、次の6つの主要テーマに絞り、議論を重ねたようです。

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SDGs史#5 レイチェル・カーソンさんを改めてご紹介

SDGs史#5 レイチェル・カーソンさんを改めてご紹介

 1972年ストックホルム人間環境会議の開催に大きな影響を与えたお方「レイチェル・カーソン」さんを改めてご紹介します。ある意味、SDGsの産みの親と言えるかもしれません。

 まずは、サムネの写真の説明。2003年4月23日、ピッツバーグにおりました。たままた「Silent Spring」展が開催されていて、フラッと立ち寄ったんです。サムネはその時の写真です。「Silent Spring」というの

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SDGsの科学的な裏付け#3 感性との融合

SDGsの科学的な裏付け#3 感性との融合

 SDGsの科学的な裏付け#1、#2でSDGsを裏付けるプラネットバウンダリーの考え方と科学的な対話を紹介してきました。
#3では 、科学と感性との融合をテーマに書いていきます。
 というのも、物事を「科学的」に全部を理解できる人って私も含め、ほとんどいないんです。私は、大学で偉そうに教えていますが、多分野の専門的な内容を理解するのは、容易ではありません。顕著さと未知への敬意は、個人の感性の中で育

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SDGsの科学的裏付け#2  対話する科学 SBT(科学に基づく目標)

SDGsの科学的裏付け#2 対話する科学 SBT(科学に基づく目標)

 科学者は「対話」と「協働」の道を模索しつつあります。もともとアカデミックの世界はその中ではオープンな世界です。ただ、外から見ると閉鎖的かもしれません。科学者の相互理解への努力の一端を伝えたいです。

1.プラネットバウンダリーをめぐる科学的な対話
プラネットバウンダリー・地球の境界線の指標をめぐり、科学者たちは、科学者間のみならず、政策担当者、ジャーナリスト、市民、企業等々と、繰り返し繰り返

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SDGsの科学的裏付け#1 プラネットバウンダリー

SDGsの科学的裏付け#1 プラネットバウンダリー

 突然ですが、皆さんは、科学・サイエンス、数値、専門知を信じますか?
 それとも、自分の感覚、センス、地域の知恵を信じますか?

 私は、どちらも信じています。科学の流れをくむ工学の世界で暮らし、なおかつ普段は生活者なので、どちらも信じています。なんとなく、その感覚はわかるのでは、と思います。。
 でも、その二つの確固たるものが矛盾するときが往々にしてあります。そんなとき、何を基準に「今」を選択し

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